地域に根ざした食の安心・安全なお店づくり

全国飲食業生活衛生同業組合連合会

食文化創造21世紀ビジョン

【時代が変われば組合も変わる21世紀に繋がる組合活動を今考える】
 飲食店営業を取り巻く環境は、バブル崩壊後景気回復の兆しは見えてきたものの、依然低迷感は尾を引く気配であるが、過般発表された政府日銀短観では緩やかな回復の傾向との発表であった。
 今後の我が国はこれまでの経済大国から豊かさとゆとりの生活大国を求めることであろう。むしろ今こそ新たな食と生活文化の価値感を創造し、あと半年で到来する21世紀に備える絶好のチャンスと思われる。“豊かさ”や、“ゆとり”は、一定水準以上の衣食住、その他の経済的条件が満たされることを指すものであるが、われわれ飲食業者という立場から最も重視すべきなものは、食文化についての新たな価値観の創造を考えなければならない。

 「食」は人間生活を営むうえにおいて、生命を維持するための極めて重要なものである。しかし、現在の文明社会は食の嗜好が多様化や、本格的に到来する高齢化社会の時代にある。単に美味にお腹を満たすものではなく、へルシー性、芸術性、ファッション性、そして産地の素材を生かした地域性、特殊性等更には食空間の創造、演出によって、人と人とのふれあいと憩いの場を創造することが望まれてきている。
 またサービスの面ではお客様への真のサービスつまり心のこもった歓待である。そしてより良い人材確保のためには職場環境の改善向上、労働時間の短縮間題や福利厚生制度の充実を飲食業界全体で整備しなければならない。
 これらの問題を総合して全飲連21世紀食文化ビジョンと意義づけている。また本年4月10日施行された環衛法の一部改正により目的規定に振興が加えられたことに鑑み、地域社会の福祉の増進に関する事業が行えることとなり、飲食業者として一層の国民生活の安走に寄与することが求められている。
 なお、全飲連食文化ビジョンの概要は次のとおりである。

1.個性のあるメニューの研究

 近年の消費者二一ズの多様化や健康志向が高まる中で、高齢者社会の到来に対応すべく、メニューの開発が必要とされている。ヘルシー性を重視したカロリー表示等のサービスも同様である。21世紀の強まる国際化に伴い、日本独自の特徴を求める芸術性やファッション性も取り入れるべきではないだろうか。日本特有の山の幸、海の幸を四季に富んだ地域特産素材を取り入れたメニューの一層の開発により地域の行政とタイアップした観光振興にも寄与することも大切である。
 また一方では地球環境問題、ゴミ処理問題にも飲食業者として真剣に取組み、ゴミの減量化や、現在政府がすすめている食品廃棄物の再商品化促進方策にも対応しなければならない。

2.食空間演出の研究

 食卓文化、食事をする環境、即ち心豊かな食空間の新たな創造が必要で環境(食空間)の演出によってその価値は大きく変わるのである。日本人の風習は昔から食事は「姿勢を正し、黙って食べる。」というのが家庭での躾であった。
 一方、欧米等では食事の時間はコミニュケーションの場としてゆっくりと時間をかけるといわれている。国際化の本格的な到来により、家庭でも現在では欧米スタイルに徐々に変化しつつある。こうした食事をとる雰囲気が人間の心の豊かさと、ゆとりが生まれてくるものであり、食空間とは食器、テーブル、インテリア、植物、絵画、景観、照明、音楽、空調、香り等の新たな演出がなされることをいう。
 これらについて、飲食業者は創意工夫し、21世紀にふさわしい施設の環境整備を構築しなければならない。

3.ホスピタリティの研究

 ホスピタリティとは「医者が病人を看護する」が原語である。21世紀の高齢者社会の本格的到来に対応し、飲食業者は福祉事業への取組みが必要とされている。
 このたびの環衛法の一部改正により地域行政とタイアップした福祉事業を組合は推進し、例えば地域社会福祉協議会と連携した配食サービス事業に参入するなどの振興事業を図ることが重要とされている。
 また、施設面においては高齢者等にやさしいお店づくりを推進し、段差解消等のバリアフリーの対策を構築するよう努めなければならない。

4.真のサービスの向上の研究

 地域の特性を充分に生かした心のこもったお客への歓待であり、単なるサービスではない。例えば地域の郷土料埋などの設備等も含めた特色を研究することも必要である。

5.労働時間短縮ヘの対応

 比較的中小零細な飲食店営業にとって、労働時間短縮問題は深刻な問題である。特例事業所の労働時間は、週46時間制から平成13年4月より週44時間に短縮されることになった。
これに伴い、飲食業界における従業員の定着性やより良い人材確保等の観点からも福利厚生面の充実を含め職場環境の整備が急務である。
一方では人手の少ない中での営業を行うにあたっては、省力化機器の導入や、同様の食材の導入も今後は充分検討しなければならない。

 
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