2017年 酒類企業社長年頭挨拶
酒類企業社長から年頭挨拶が全飲連に寄せられましたので、その概要を抜粋して掲載させていただきます。
アサヒビール株式会社
代表取締役社長 平野 伸一技術に裏付けられた
新たな価値の提案当社は、「№1ブランドの育成、創出を通じて“総合酒類提案のリーディングカンパニー”を目指す」という方針のもと、ブランド価値の向上とイノベーションの創出を推進してきました。
ビール類では、基幹ブランドである『アサヒスーパードライ』において、超辛口の『アサヒスーパードライ エクストラシャープ』や氷点下の温度帯で提供する「アサヒスーパードライ エクストラコールド」などの更なる拡大に取り組みました。
また、『アサヒ ザ・ドリーム』は、アメリカの国際的ビールコンテスト「ワールドビアカップ2016」でのシルバーメダルに続き、ベルギーの国際的ビールコンテスト「ブリュッセル・ビア・チャレンジ2016」においてゴールドメダルを受賞。『クリアアサヒ プライムリッチ』が、世界的な食品・飲料品のコンテストにおいて、最高レベルの優秀味覚賞である三ツ星に認定されるなど、当社の品質・技術が高い評価をいただきました。
ビール類以外の酒類においては、収穫後24時間以内に搾汁された果汁のみを採用したチューハイ『アサヒもぎたて』が発売から高い支持をいただくことができました。また、昨年、誕生60周年を迎えました「ブラックニッカ」は、氷点下で楽しんでいただく「ブラックニッカ フリージングハイボール」などの新たな価値の提案を強化してきました。
ワインも輸入チリワイン『サンタ・ヘレナ・アルパカ』が引き続き市場を牽引し、ノンアルコール市場においては『アサヒ ドライゼロ』が大幅に伸長するなど、それぞれのカテゴリーにおいて存在感を引き上げると共に、多様化するお客様のニーズに応えられるよう、新しい価値を提供することを心がけてきました。
本年は、構造改革を進め、高い収益性と成長性の両立の実現を目標にしています。
ビール類は、『アサヒスーパードライ』が本年発売から30周年の節目を迎え、限定商品の発売、飲用機会や飲用の場を創出する“コト”販促のご提案など、ブランド価値向上に向けた取り組みを強化。本年発売10周年を迎える『スタイルフリー』は、機能性市場を盛り上げる提案を実施。新ジャンルについては、クリアアサヒブランドの更なる品質の向上に加え、飲用シーンを訴求する広告や販促などのマーケティング活動を引き続き展開することで、市場での存在感をさらに高めます。
ビール類以外の酒類に関しては、それぞれのカテゴリーにおいて中核ブランドの育成と強化を進めます。洋酒については、本年、発売20周年を迎える『ブラックニッカ クリア』を、更に多くのお客様に体験いただく取り組みを行い、輸入ウイスキーでは、『ジャックダニエル』ならではの世界観を伝えられるような各種プロモーションを通じて、さらなる情報発信を展開していきます。
焼酎については甲類乙類混和焼酎の№1ブランド「かのか」、RTDについては発売2年目を迎える『アサヒもぎたて』の更なるブランド価値向上を進めます。ワインについては、昨年も数量を伸ばした『サンタ・ヘレナ・アルパカ』で市場の活性化に努めます。
ノンアルコールカテゴリーにおいては、「ドライゼロ」ブランドで積極的なマーケティングを展開するとともに、更に多くのお客様からご支持をいただけるよう、品質面についても磨き続けていきます。
従来とは違った新しい発想を持ち、イノベーションを進めていきたいと思います。そして、お客様一人ひとりを見据え、技術に裏付けられた新しい価値の提案で、市場を活性化させたいと考えています。
キリンビール株式会社
代表取締役社長 布施 孝之より地域密着へ
再びのチャレンジ
「47都道府県の一番搾り」昨年末に発表された10年かけてのビール類酒税一本化を先取りし、早くもビール各社では、ビールのメインブランドに対し、積極的なマーケティング投資が行われ、一昨年19年ぶりにプラスとなった「ビール」では、従来からの主力ブランドの一部がプラスをキープするなど、10年先の市場がどのようになるか、非常に神経質な様相を呈してきた1年でした。
一昨年の21年ぶりのビールカテゴリープラスの勢いそのままに、V字回復を本物にする1年と位置付け、「お客様のことを一番考える会社」の具体策として発売した「47都道府県の一番搾り」は、おかげさまで各方面より大きな反響をいただき、当初予定の2倍を上回る販売で「一番搾りブランド」は3年連続でプラスとなりました。売上げの一部は熊本地震の被災地の復興支援策に活用させていただきました。
一方洋酒、中でもウィスキーは市場全体の傾向と同じく、順調に売上げを伸ばしています。国産の「富士山麓」は今春リニューアルし、価格・中身とも一新。価格改定の影響も心配していましたが、幸い味覚評価も高く、継続的なお取り扱いをいただくケースが多く、計画を大幅に上回る結果となりました。
またRTDのうち「氷結」は、年初からのリニューアルとWEB上での若者層への浸透が順調で、新しい愛飲者の獲得につながったものと確信しています。今後はストロング系市場での存在感をどう出していくかが課題と言えます。
さて今年については、これまでの戦略の柱が大きく変わるわけではありません。「お客様のことを一番考える会社」、さらにいうならば、「もっと身近なビール屋」になりたいということです。
今年から、キリンビールの販売組織もより地域密着の体制としました。私も先頭に立って、的確な商品・営業戦略の舵取りを行っていきます。
具体的には、ブラッシュアップした「47都道府県の一番搾り」への再びのチャレンジです。“お客様のことを一番考える会社”を標榜する中で、より象徴的な取り組みとして「地元を元気にしたい」の気持ちを込めて活動もパワーアップします。
もう一つは、クラフトビールへの本格的な取り組みを、多くの皆さんに実感いただける初年度にぜひともしていきたいということです。こちらは、間もなく具体的な発表をさせていただくことができると思います。
業界を取り巻く環境は依然として厳しい状況ですが、需要の維持拡大に向けた様々な価値提案を通じて、業界発展に邁進していきます。
サントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長 新浪 剛史信頼されるグローバル
総合酒類食品企業を
�目指して
確かな価値のあるモノ、自分の嗜好に合致するものに、お客様の購買意欲が拡大する傾向が見られる今日において、消費者の求める価値を追求し、高い支持を頂戴できる高付加価値の商品を開発・育成することが、勝ち抜くための唯一の方策と確信しています。
〈飲料・食品セグメント〉
サントリー食品インターナショナル㈱は、“ナチュラル&ヘルシー”“ユニーク&プレミアム”をキーワードに商品を提案し、ブランド強化や新規需要の創造に注力したほか、グループ各社の知見を活かしたコスト革新による、収益力強化や品質の向上に取り組みました。また、将来の持続的な成長に向け、各エリアにおける事業基盤の強化にも注力しました。
〈酒類セグメント〉
日本においては、サントリースピリッツ㈱で、「ジムビーム」が“ビーム ハイボール”を中心とした積極的なマーケティング活動を行い、大きく伸長。ハイボール缶を含めたRTDも前年を大きく上回る結果を残しました。
サントリービール㈱は、「ザ・プレミアム・モルツ」で、金曜日など休前日のプレミアムビール需要を喚起するキャンペーンを展開し、お客様接点の拡大を図りました。新製品の「ザ・プレミアム・モルツ〈香るエール〉」は“エールビール”需要を創造し、「金麦」ブランドや「オールフリー」も堅調な推移です。
サントリーワインインターナショナル㈱は、国産ワインでは“酸化防止剤無添加”ブランドや国産ぶどう100%ワイン“日本ワイン”、輸入ワインでは「カーニヴォ」など“特定の料理や食材に合うワイン”が好評いただいたほか、中高価格帯商品が伸長しました。
〈文化・社会貢献、環境活動〉
また、弊社は創業の精神である『利益三分主義』に基づき、文化・社会貢献、環境活動などにも取り組んでいます。そして、『水と生きる SUNTORY』というコーポレートメッセージのもと、社会と自然との共生を目指したさまざまな活動を展開しています。
熊本地震の復興支援活動は、発生直後に救援物資として「サントリー天然水」を供出したほか、5月に義捐金1億円、10月に復興支援活動金として3億円を拠出。東日本大震災の復興支援活動は、震災以降累計108億円の規模で継続して実施しています。
環境活動では、水源涵養活動を展開している「サントリー 天然水の森」において約9,000ha の面積を涵養。子どもたちに水の大切さを伝える次世代環境教育「水育」は、国内での活動に加えベトナムでも実施。また、ペットボトルに関しては容器包装の軽量化のほか、米国企業と共同で植物由来原料100%使用ペットボトルの開発に取り組んでいます。
コーポレートメッセージ「水と生きる」には、「水を育む環境を守りたい」「社会に潤いを与える企業でありたい」、そして「水のように柔軟に常に新しいテーマに挑戦していきたい」という思いが込められています。企業理念「人と自然と響きあう」のもと、持続可能な社会の実現を図りながら新たな価値を創造し続ける「Growing for Good」な企業を目指しています。
サッポロビール株式会社
代表取締役社長 髙島 英也一番お客様の近くで
選んでいただける企業に本年1月1日より、サッポロビール社長に就任しました髙島英也です。次代へ向かうためのたすきを、前社長の尾賀から引き継ぐことになりました。その責任の重さをしっかり受け止めながら、『お客様起点』、『凡事徹底』を実践することで、お客様感動№1企業となりたい、そんな強い想いを抱きつつ、より一層お客様に選んでいただける企業となるべく前進してまいります。
昨年は創業140周年という節目の年でもあり、「ビール強化元年」と位置付け、ビールブランドを強化し、ビールは好調に推移することができました。
本年、「ビール復権宣言」を掲げ、一気呵成に攻めていきます。
2年連続で前年超えを果たした「サッポロ生ビール黒ラベル」は40周年を迎えますが、本年もお客様に「完璧な生ビール」を体験・実感いただく機会を提供していきます。「ヱビス」ブランドは、昨年は6年ぶりの通年商品「ヱビス マイスター」の発売などブランド力を向上させることで、競争が厳しいプレミアム市場においても売上は前年越えと堅調で、本年さらなる飛躍を目指します。
新ジャンルの「麦とホップ The gold」は、本年1月に「コク」をさらに進化させて再びリニューアル発売します。
ワイン事業では、ビールに次ぐ「第2の柱」と位置付け、日本ワイン「グランポレール」、シャンパーニュ「テタンジェ」、TWE「ペンフォールズ」などファインワインの強化に重点を置き、デイリーワインなど多様な商品で様々な飲み方を提案します。
スピリッツ事業においては、「男梅サワー」や「ネクターサワーピーチ」といったRTDをはじめ、若年層向けに開発された梅酒ベースのRTS「ウメカク」シリーズや、甲乙混和芋焼酎の「こくいも」、バカルディ社のラム「バカルディ」をはじめ、「ボンベイサファイア」、「デュワーズ」、「マルティーニ」など、個性あふれる商品群でお客様のニーズに応えていきます。
当社は本年より〈突き抜ける〉をテーマに4年間の新中期経営計画をスタートさせます。変化をチャンスと捉え、一人ひとりが今の当たり前の殻を破る。まさに突き抜ける存在となり、ビール事業を中心に、各事業でスピードを持って大きく成長軌道に乗せたいと思っています。ビール・ワイン以外でもチャンスがあれば、今までの常識にとらわれることなく、新たな取り組みに挑戦していきます。
私は、変化のスピードが速い時代において、出来る限りお客様一人ひとりの声に触れ「一番お客様の近くにいて、選んでいただける企業」になりたいと考えています。
最後に、私たちは創業以来140年にわたって引継いできたビールをはじめとしたブランド、文化などの資産をさらに磨き上げ、より一層お客様の楽しく豊かな生活に貢献していく所存です。