外食産業の〈発展と歴史〉 注目の日本食 ●増える食の外部化率
外食産業の市場規模は平成9年の29兆702億円をピークに一時期やや減少したものの、近年は復調傾向にあり、平成27年は1人当たりの支出や外国人観光客の増加などもあって前年から2.2%増の25兆1816億円でした。また、中食産業はコンビニエンスストアやスーパーの惣菜人気などから右肩上がりに成長をしています。
日本人の飲食料消費の3分の1を占める外食ですが、これに中食の支出を加えた「食の外部化率」は44%となり、この広義の外食産業の市場は30兆円を超える規模となっています。●消費者ニーズの追求磨かれてきたクオリティ
外食産業をこのように発展させてきた原動力として企業努力は見逃せません。味の追求はもちろん、接客指導の徹底、安心・安全の重視、健康への配慮、厨房やセントラルキッチンのハイテク化などによる生産性の向上などが行われてきました。
また、食材の国産化や自社農場の経営、生産者を指定したりするなど、こだわりの食材を活かしたメニューを開発する企業も増えています。
消費者ニーズを追求しながら、切磋琢磨して成長してきた日本の外食は、国際的な評価も高く、訪日外国人が期待することのトップになっており、海外進出を果たす外食産業も多くなっています。●大阪万博が日本の外食元年
日本における戦後の飲食店の歴史が語られるとき、「外食元年」とされるのが1970年。この年、大阪府で日本万国博覧会が開催されました。とりわけ米国の大手外食チェーンが人気を博し、次々と日本上陸を果たしました。すると、国内資本も相次いで外食分野に参入し、ファミリーレストランやファストフードチェーンが急速に全国に広がりました。
外食の50年史
■1970年〜 日本万国博覧会(大阪)
・「ケンタッキーフライドチキン」が実験販売
・すかいらーく1号店(東京・府中)
・ミスタードーナツ 1号店 (大阪・箕面)
・マクドナルド1号店(東京・銀座)
・セブン‐イレブン1号店(東京・豊洲)
・持ち帰り弁当店1号店(埼玉・草加)
・ファミレス24時間営業店「デニーズ」(千葉・幸町)■1980年〜
・コーヒーチェーン1号店「ドトールコーヒーショップ」(東京・原宿)
・宅配ピザ1号店「ドミノ・ピザ」(東京・恵比寿)
◎外食市場規模が20兆円を超える
◎消費税3%導入■1990年〜
・ファミレス「ガスト」で初のドリンクバー
・マクドナルド」が日本の外食チェーン初の2000号店到達
◎消費税5%導入へ 外食市場規模が29兆円超に■2000年〜
・牛丼チェーン初の1000店舗到達「吉野家」
・回転ずしが5000億円市場に
◎リーマ・ンショック■2010年〜
・「和食・日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録
・お一人様、立ち食いスタイルなどの新業態が流行
・カレーチェーン店舗数でギネス世界記録に認定「カレーハウスCoCo壱番屋」
◎消費税8%へ
◎ミラノ万博(ミラノ国際博覧会)
◎訪日外国人観光客2000万人突破
◎東京オリンピック・パラリンピック開催※aff「あふ」5月号(農林水産省発行) より