2016年 酒類企業社長年頭挨拶

酒類企業社長から年頭挨拶が全飲連に寄せられましたので、その概要を抜粋して掲載させていただきます。


 

 

アサヒビール株式会社
代表取締役社長 小路 明善

新たな価値の提供で消費を刺激
スポーツを通じて
社会を元気に


 昨年を振り返りますと、ハロウィンの盛り上がりに代表されるように、実体験や楽しみ方の提供、いわゆる“コト”を訴求する商品・サービスが大きな話題となりました。また海外からの観光客も過去最高を大幅に更新し、インバウンド消費も活性化。こうした動きが消費を押し上げる原動力になるなど、消費動向については明るい話題も多かったように感じます。
 2015年当社では、「ブランド価値の向上」と「新価値の創造」を推進してまいりました。ビール類におきましては『スーパードライ』のブランドテーマを“限界無き挑戦”と掲げ、ブランド価値向上に取り組んできました。春、秋、冬といった季節に合わせたスペシャルパッケージの発売、超辛口の味わいを実現した『スーパードライ エクストラシャープ』を期間限定で発売するなど、新たな価値提供に積極的に取り組み、消費を刺激する提案を進めてまいりました。『スーパードライ』本体も、一昨年の「ワールドビアカップ(WBC)」金賞受賞に続いて、「ブリュッセルビアチャレンジ(BBC)」にて日本のビールメーカーとして初となるゴールドメダル受賞など、世界からも評価されるブランドに成長しています。
 ビール類以外の酒類やノンアルコールカテゴリーにつきましても、洋酒やワイン、ビールテイスト清涼飲料を中心に、お客様から高い評価を頂戴し“総合酒類提案を通じた最強のパートナー企業”を目指してきた我々にとって、飛躍を遂げた一年になりました。
 さらに、スポーツを通じて社会を元気にする活動にも力を入れています。昨年1月にはビールメーカーで唯一の「東京2020ゴールドパートナー」に決定しました。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向け、日本選手団を応援していくとともに、限定記念缶の発売等を通じて市場を盛り上げてきました。12月にはラグビー日本代表の五郎丸歩選手とパートナーシップ契約を締結。商品プロモーションだけでなく少年少女へのラグビー教室や講演会を通じて、勇気と元気をお届けする「All for One!プロジェクト」を推進していきます。
 2016年の国内市場は、お客様の“商品選択眼”がより一層厳しくなり、自分のこだわりにあわせて丁寧に価値を見極める「自分流こだわり消費」という流れが強くなると予測しています。だからこそ私どもは、こうしたお客様の消費スタイルに寄り添いながら、独自性を持って価値を創造し、新たな一歩を踏み出していく所存です。

 

 

キリンビール株式会社
代表取締役社長 布施 孝之

「47都道府県の一番搾り」へ
大きなチャレンジ

 昨年の酒類業界をみると国産ウィスキーやRTDは継続成長、ビール類では、オフゼロを中心とする機能系商品やクラフトビールに注目が集まりましたが、全体を牽引するには至らず、かつてない数の新商品が投入されたものの総需要は前年を下回った模様です。その中で当社は計画通り「一番搾り」に代表されるビールでの売り上げ拡大を柱に、ビール類合計で前年並みの売り上げを収めることができ、シェア反転への基盤固めの年となりました。
 具体的には、ビール類やRTD、洋酒等の各カテゴリーで主力ブランドの強化に向けた施策を展開するとともに、昨年はクラフトビール市場への本格取り組みも新たにスタートしました。とりわけフラッグシップ化して2年目となる「一番搾り」については「一番搾り麦汁しか使わない、こだわりの製法」の価値を店頭・工場・ショップを含めて立体的に訴求しながら各種の施策を展開しブランド強化に努めました。販売促進面でもマイレージキャンペーン等のタイムリーな実施もあり、ブランド全体で前年を上回り、キリン社全体の売り上げを牽引しました。
 一昨年来ゼロゼロ発泡酒で話題が喚起された機能系商品群も、主力の「淡麗グリーンラベル」「淡麗プラチナダブル」の淡麗シリーズに新たに新ジャンルの「のどごしオールライト」を加え、引き続き市場活性化と成長の加速を実現しました。新ジャンルの「のどごし生」については効果的なエクステンションのラインアップによりご支持を大きく拡大、新たに制度がスタートした機能性表示食品にもノンアルコールの「パーフェクトフリー」でいち早く参入し、新しい需要層を開拓しております。
 RTDにおきましては、発売以来100億本を達成し、全国の「ニッポンの果実」にも注目をしながらラインナップを拡充している「氷結」に加えて、「本搾り」「ビターズ」も高い伸長率で着地しました。また、市場拡大が続く国産ウィスキーでは「富士山麓」が2年連続でインターナショナルスピリッツチャレンジ金賞を獲得し、続伸と共にブランドの評価を高めています。
 今後に向けては、回復の足取りも不安定な個人消費の下、酒税改正の行方も次年度以降へ持ち越され、来年春の消費税増税との兼ね合いの中で、更に的確な商品・営業戦略の舵取りが求められます。
 その中で本年も引き続き主力の「一番搾り」の価値拡大を目指しますが、中心となる計画が「47都道府県の一番搾り」への大きなチャレンジです。“お客様の事を一番考える会社”を標榜する中で、象徴的な取り組みとして昨年末まで各地域の皆様と対話を続け、その地域の誇りや想いをこの商品に込めて現在も開発が進んでいます。ぜひ発売を楽しみにしていただきたいと思います。


 

 

サントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長 新浪 剛史

信頼されるグローバル総合
酒類食品企業を目指して


 

 

サッポロビール株式会社
代表取締役社長 尾賀 真城

オンリーワンを
積み重ね、No.1へ

 サッポロビールは本年も「オンリーワンを積み重ね、NO.1へ」というビジョンのもと、お客様に驚きと感動を実感いただける企業を目指していきます。
 「ビール強化元年」をテーマに掲げ、「黒ラベル」「ヱビス」を筆頭にビールカテゴリーの強化を進めます。「黒ラベル」は、発売以来のブランド価値である「生のうまさ」を引き続き追求し、お客様接点の拡大に努めてまいります。ヱビスについては「100年プレミアムブランド」としてより一層存在感を高め、CMには滝川クリステルさんを引き続き起用していきます。
 新ジャンルの「麦とホップThe gold」は、麦とホップ史上最大の麦芽量で麦とホップ史上最高のコクを実現すべく、2月よりリニューアル発売します。ノンアル史上初のトクホである「サッポロプラス」については、昨年末にパッケージリニューアルを実施し、「プリン体0」「カロリー0」「アルコール0.00%」「糖類0」の4つの機能をよりわかりやすく訴求していくことで、ノンアル市場の活性化を目指していきます。
 ワイン事業においては、日本ワイン「グランポレール」やシャンパーニュ「テタンジェ」といったファインワインの強化や、エントリーユーザー向けの提案強化を進めています。昨年3月に発売した「グランポレール 安曇野池田ヴィンヤード」シリーズは、ロンドンで開催された「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション2015」(IWSC)において銅賞を受賞するなど、作り手のこだわりを凝縮させたワインとして高く評価されています。
 スピリッツ事業においては、「男梅サワー」や「ネクターサワーピーチ」といったRTDをはじめ、バカルディ社が扱う世界NO.1ラム「バカルディ」、北米NO.1スタンダードスコッチウィスキー「デュワーズ」など、個性あふれる商品群でお客様のニーズに応えていきます。
 若年層向けに開発された梅酒ベースのRTS(Ready to Serveの略)「ウメカク 果実仕立ての梅酒カクテル ピンクグレープフルーツ」は、発売からわずか8週で年間販売計画を達成しました。また、甲類乙類混和芋焼酎市場において売り上げNO.1の「芋焼酎 こくいも」も引き続き売上を牽引しています。
 本年はサッポログループ創業140周年です。今後も当社の様々なブランドや独自の取り組みを通じて、お客様へ「楽しさ」や「喜び」、「明日への活力」といった価値を提供していきます。