飲食業活性化をめざす食文化創造セミナー
(全青連セミナー)
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今年3月24日に群馬県高崎市で開催された全青連セミナーでは、地元国府地域の伝統野菜の復活と地産地消などに取り組む群馬県高崎市の「農事組合法人国分野菜本舗」の真塩光枝代表理事と、世界に向けて日本酒の魅力を発信する群馬県利根郡川場村の永井酒造鰍フ永井則吉社長を講師にお迎えし、新たな市場開拓へ向かう意気込みなどをうかがいました。お二人のお話には、業種業界を越えて経営の共感とヒントがあります。
特に、飲食店を経営される組合員の皆さんには、食事のシーンに合わせた日本酒を提案するという永井社長のお話に刺激を受け、自分の店でも試してみたいという声が多く聞かれました。翌日の酒蔵見学で、さらに興味が膨らんだようです。。
国府地域のブランド野菜復活と地産地消 |
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講師/農事組合法人「国分野菜本舗」代表理事
真塩 光枝氏 |
榛名山の噴火による火山灰の堆積でできた肥沃な土地が広がる国府地区。ここで栽培される白菜は柔らかく甘みがあり、昔から『国府白菜』と呼ばれて親しまれてきました。この特産の白菜漬けを無添加の家庭の味で届けたという想いから、真塩さんをはじめとする「農家のかあちゃん」たちが加工研究所を立ち上げ、3年後には漬物や惣菜の直売を開始しました。
また、この地区は大正時代にフランスから伝えられた長にんじんを品種改良した伝統野菜の『国分にんじん』の産地としても知られたところです。甘くて柔らかく料理に使っても煮崩れしない国分にんじんは市場で人気となりました。しかし、丈が長く冷蔵庫に収まらない、持ち運びしづらいなどの理由から消費が減少し、生産者が最後の1軒になってしまったことから、国府野菜本舗は伝統野菜を次代に残す活動を開始しました。
その他に、農家レストランの経営や、お弁当の宅配、出張料理教室なども行うほか、国分にんじんを使ったジュース、ピクルス、ドレッシングなどの新商品開発を進め、近年では、新たな加工事業として地元の旬の野菜などを使ったジェラートの製造販売が注目されています。
農事組合法人となったことで、農業関係団体だけでなく、商工関係団体にも加入できるようになり、組織の信頼度や活動範囲、取引先なども広がって販路拡大に大きな成果を上げています。地域ブランドの創造と育成、人材活用などを通して、地域活性化につなげています。
日本酒の魅力と永井酒造の酒造り |
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講師/永井酒造株式会社 代表取締役社長
永井 則吉氏 |
国内の日本酒需要が落ち込む中、生き残りをかけて、世界に向けた新商品開発を展開する群馬県利根郡川場村にある永井酒造梶B上州・武尊山に降る雨や雪が尾瀬の大地で濾過された天然水と、こだわりの原料米。先人たちから引き継いだ五感で感じる酒造りの技と、“お客さんの喉を通過するときが酒造りのゴール”という視点に立った貯蔵方法と物流システムの構築などで、高品質な酒造りに取り組んでいます。代表的な銘酒は「水芭蕉」「谷川岳」。
世界に通用する日本酒を造りたいという想いを実らせ、平成20年にはシャンパンと同じように瓶の中で二次発酵させる独自製法で、発泡する清酒「MIZUBASHO PURE」を完成させ業界を驚かせました。永井社長自らシャンパーニュ地方に滞在し本場の製法を体験し、構想から10年経ってようやく実現しました。世界で最も予約の取れないといわれるスペインの「エル・フジ」をはじめ、各国の有名レストランで採用されています。
ソフトな味わいが和洋問わず様々な料理に合い、乾杯酒に最適な「MIZUBASHO PURE」、純米大吟醸から特別本醸造までのLight Sake「水芭蕉」は食中酒、純米大吟醸を中心としたエレガントなテイストの「Vintage Sake」はメインディッシュとのペアリングに最適。スイーツやフルーツ、チーズに合わせて食後にいただく「Dessert Sake」と、飲むシーンの提案が『NAGAI STYLE』で、世界初の試みと言えます。
今後も、世界に名の通る日本酒を造ること、そして、フランスのシャンパーニュ地方のように生産者と一体になって酒造りをし、観光客が訪れる地域にしていくことをめざして、確かな歩みを進めています。
