平成23年度生衛振興推進事業 一般飲食店における省エネルギー対策 報告書(要約)
1. はじめに
●ポスト3・11の省エネルギー
原発事故による電力需給逼迫に対して、昨年夏は15%の節電目標を掲げて取り組んだ結果、東京電力管内ではピーク時電力で184%の削減を達成することができました。3・11以降の経験によって、節電・省エネルギーの重要性が十分に浸透したと言えるでしょう。
●新たな社会づくりへ向けて
わが国の食料自給率は、カロリーベースで39%と先進国の中で最低な数値が続いています。少なくとも食料自給率50%以上にもっていかなければいけませんし、地球全体の資源の状況を考えると、石油に頼らない社会をいかに作っていくかが問われます。
●レコーディング・ダイエットのススメ
ある外食チェーン店では、開店準備中に空調や照明が100%使用されていたり、閉店後に学生アルバイトが冷房の効いた店内で試験勉強をしていたことなどが判明し、これらを削減したところ、消費電力量は15%も減少しました。
毎日の体重や体脂肪をチェックすることで、やる気を引き出すレコーディング・ダイエットの効果を、省エネの現場にも導入。@まず現状を把握し、A減らすべきところを見極めて実施し、Bどれくらい減ったかを確認し、それを記録していくことで、更なる省エネが実現できます。
2. 電力消費の現状と省エネルギー対策のポイント
●飲食店の電力消費の現状
資源エネルギー庁の推計によると、夏季のピーク時(飲食店の場合、午後8時前後)では空調が46%、照明が29%、厨房機器等が22%とされています。
●ピークカット(kw)と使用量削減(kwh)
夏の電力消費のピークは午後2時前後。ランチ営業の場合、午後1時台には客数も減少すると思われますので、冷房を少し控えていただくとピークカットになります。冬は午前9時前後と午後6時前後にピークが発生します。
●冷暖房
日射は、遮熱フィルム、ブラインドなどで遮光・遮熱する必要があります。窓の外側で遮光する方が遮熱効果は高くなり、ゴーヤーなどの緑のカーテンも真夏の対策には大きな効果を発揮します。
厨房の熱はフロアに影響しないよう、扉やのれん、カーテン等で仕切ることも考慮しましょう。室外機の排気が壁や塀で遮られて吸気側に戻ってしまうことがよくあります。これをショートサーキットと言い、冷暖房効率を極端に低下させるので注意が必要です。
●照明
店内のエリアごとに必要な照度を見直し、安全性や雰囲気を損わない範囲で照度を下げてみましょう。
空調と同様に時間帯に応じて点灯するエリアを決め、不要な箇所は消灯しましょう。最近は、省エネタイプの電球型蛍光灯やLED電球にも電球色のものがあり、価格も手ごろになってきたので、早めの切り替えがお奨めです。同じ明るさでの消費電力は電球型蛍光灯が5分の1、LED電球が8分の1程度まで下がります。
●厨房
冷凍冷蔵庫は、配置に注意しましょう。コンロやオーブンなど、発熱する調理器具の近くに冷凍冷蔵庫がある場合、可能ならレイアウトを変更しましょう。
3. 食品廃棄物の減量化
●発生抑制
これはある旅館ホテルで実際に行われている事例です。通常は捨ててしまうかぼちゃの種とじゃがいもの皮を油でカリカリに揚げて、サービスでおつまみに出しています。それからにんじんを花型に抜いた残りを煮物にしたり、大根や人参の皮をきんぴらにして出したりしています。魚の骨、うなぎの骨なども油で揚げて一品にしています。生食用の素材も、使いきれなかった場合は加熱して使い切ります。
軽井沢の星野リゾートでは、結婚式の披露宴で当日の出席者に洋食か和食か選んでもらう方式にしたところ、食べ残しが16%も減ったということです。旅館ホテルの場合にはビュッフェ方式を採用しているところが増えています。日本人もこの方式に慣れてきましたから、取り過ぎて結局残すということは少なくなってきたようです。
●減量・再生利用
ゴミの減量については、まずは水切りです。これが一番簡単にでき、10%程度は減量できます。調理くずは家畜の飼料として再生利用する取組も行われています。近隣で再生利用事業者があれば活用するのもお奨めです。食品リサイクル法では再生利用においては飼料化を最優先するという方針となっています。
パンフレットを作成
この報告書を見やすくまとめたパンフレットを作成しました。省エネのポイントがイラストで分かりやすく解説されています。各組合に配布いたしますので、是非、ご活用ください。また、内容については、pdfデータをご覧ください。