生活衛生営業指導センター
補助事業の縮減・廃止についての全飲連の考え方
国民生活の基盤を支える生衛業
守り育てるのが国の役割!全国飲食業生活衛生同業組合連合会
会長 加 藤 隆生活衛生業界の全ての業種は、地域の小企業や零細な個人経営により支えられている。とくに日本の飲食業は地域の飲食店が支え、国民生活の食を支えている。
生活衛生業界の高い衛生水準は各生活衛生業界の組合組織と生活衛生営業指導センターの長年の活動や事業の推進により維持されてきたことは明白な事実である。
一方で、経済構造や社会構造の変化、国民の意識やニーズの変化、行政や政治の改革への国民の期待などなど、生活衛生業界を生活衛生営業指導センターも、その存在意義と国民生活をより豊かで、安心・安全なものにしていくことが大きく問われている。
このような状況の中で、生活衛生業界を生活衛生営業指導センターも自らが、国民生活の向上と国民の期待に応えていくために革新を図り、身を削った自助努力を重ねていくことが急務である。
しかしながら、他の業界、とくに工業、商業、農業、流通業、情報産業、運輸交通業等々の業界と異なり、生活衛生業界に対する、行政の専門的な担当セクションや窓口の存在や、支援施策や政策は、極めて希薄であるのが現状である。そのなかで唯一、生活衛生営業指導センターが、かろうじてその希薄な状況を補っているのが現状である。
例えば、年間30兆円とも言われる売上高を占めると言われる飲食業は、大手資本の外食産業の存在もあることながら、その多くは地域の零細な事業主により支えられている。衛生面では保健所などの行政機関の指導や支援があるものの、経営面での支援を担当する専門的な行政的な窓口は皆無と言っても過言ではない。それは国も地方自治体でも同様である。
飲食店が日本の事業所の中で占める数は、正確な統計はないが、80万件とも言われており、かなりの数である。また地方における商店街においても、店舗の中で飲食店が占める割合はかなり高いものがあり、実態としては小売業の数をはるかに凌ぐと思われる。飲食店は他の産業や業界を遥かに凌ぐ従事者が存在し、日本経済の中でも大きなウエイトをしめ、国民生活の安心と安全を支えている。しかも、それを何度も繰り返しますが、零細な家族経営を主体とした極めて脆弱な地域の飲食店がこれを担っているのが現状である。
しかしながら、国内においては飲食店営業の基本法は存在しないし、現在、厚生労働省生活衛生課において、生活衛生16業種全般にわたり、指導監督していただいているが、飲食店営業課のような行政の専門窓口がないのが現状である。
これは飲食業ばかりでなく、生活衛生業界の全ての業種に共通して言えることである。
このような現状の中で、生活衛生営業指導センターは、生活衛生業界を支える唯一の支援、指導、相談機関となっている。
確かに、生活衛生営業指導センターが、抱える問題点や今後改善すべき課題は多々あることは明白であるが、現状において、直ちにそれぞれの連合会等が行う振興推進事業等が廃止されることは、生活衛生業界が壊滅的な打撃を受けることになり、全国の零細な事業者の営業や生活を脅かすことになり、経営環境の改善が図られない昨今において、組合組織が完全に衰退することは間違いない。
中・長期的には生活衛生業界の各組合の連合会組織や県組織の基盤の強化や、先ほど指摘した国、地方自治体、などに、生活衛生業界の経営や、業界育成や振興に関する専門的なセクションを設けるなどの施策や、業界の基本法の制定、振興育成政策の立案などを、国と生活衛生業界が一体になり推進していくことが望まれる。その上で、生活衛生営業指導センターのあり方を論議していくことが重要だと考える次第である。
したがって、火急な生活衛生営業指導センターの行う補助事業の縮減・廃止については、充分な御検討を願いたい。
平成22年5月