2010年 酒類企業社長年頭挨拶
酒類企業社長から年頭挨拶が全飲連に寄せられましたので、その概要を抜粋して掲載させていただきます。
アサヒビール株式会社
代表取締役社長 荻田 伍世界品質企業を目指し、
発想と行動の変革に努める
新年あけまして、おめでとうございます。
平素は格別のご支援、お引き立てを賜り、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。
アサヒビールグループは、事業を取り巻く環境の変化を見据えて、2015年までの「長期ビジョン」と、その達成に向けたマイルストーンとして2012年までの「中期経営計画」を策定いたしました。
長期ビジョンでは、“自然のめぐみを、食の感動へ。「世界品質」で信頼される企業を目指す”ことを掲げ、自然由来の素材を活かした“ものづくり力”を強みとして、より高いレベルでのお客様満足を追求します。更に、製品はもちろん、経営や人材などの企業品質が、世界で通用するレベルの企業集団となることを目指していきます。
新たにコーポレートブランドステートメントとして「その感動を、わかちあう」を掲げ、私たちが創り出す価値がお客様の感動につながる「最高レベルのお客様満足を追求することが私たちの使命である」と定義いたしました。この定義に基づいて、アサヒビールグループ全体で目指すべき方向性を共有し、社外にも私達の存在価値を明確に表明することで、
コーポレートブランド価値の向上に努めて参ります。
本年は「中期経営計画2012」の初年度として、各事業において主力商品のブランド強化に経営資源を集中すると共に、コスト兢争力強化など収益構造改革を積極的に推進いたします。
酒類事案においては、市場環境やお客様の価値観が変わっていく中、その商品を選択いただける理由となる、新たな価値を付加していきたいと考えております。ビール類では既存ブランドの活性化を進め競争力の強化を図ります。ビール主力商品の「アサヒ・スーパードライ」は、1987(昭和62)年の発売から累計販売数量が、昨年12月の出荷をもって30億箱を突破しました。発売3年目の1989(平成元)年以来、21年連続で年間販売数量は1億箱を超えています。これも偏に流通の皆さまの積極的なご拡販と、お客様のご愛顧の賜物と心より感謝申し上げます。
また、2009年度に初めて展開しましたスーパードライ1本につき1円を全国47都道府県の自然や環境、文化財等の保護・保全活動に役立てて戴く「うまい!を明日へ!」キャンペーンを本年も引き続き実施していきます。地域のお客様と共に、社会貢献活動や地域活性化に対するアサヒビールグループの活動に更なるご賛同を頂戴できるよう取り組んで参ります。
お客様の期待にお応えする味・価値を追求した結果、従来の豆系から新たなご提案として新ジャンル「クリアアサヒ」を発売いたしましたところ、発売以来3000万箱を超えるご支持を戴きました。お客様が節約志向を強める中、商品選択への目は厳しい状況にあります。だからこそ、生活を豊かにする発想が求められていると考え、お客様の新たな需要を喚起・創造するため商品提案を行ってまいります。
RTDカテゴリーは、“果肉が入って、カロリー最少級”という独自の価値提案が大好評を頂戴した「Slat(すらっと)」のブランド育成を本年も一層推進。缶カクテル売上N0.1ブランド「カクテルパートナー」などと併せて、差別化された商品ラインナップで、多様化するお客様の期待にお応えしてまいります。
焼酎カテゴリーは最重要ブランドである「かのか」及び本格芋焼酎の育成に注力し、お客様から必要とされるブランドの構築と価値の提供を目指し、焼酎市場でのアサヒビールブランドの存在感を強めてまいります。
洋酒カテゴリーでは30ヶ月連続で前年実績を上回るブラッククリアを中心に竹鶴、シングルモルト余市・宮城峡、スーパーニッカの価値最大化を図ります。また、昨年もWWAやISOなど国際的な賞を受賞するなど、ジャバニーズ・ウイスキーの評価も高まってきており、ニッカの世界品質を訴求してまいります。
ワインカテゴリーはお客様視点と売場視点で重点業態と重点ブランドの考え方を明確にし、ビール類の営業活動と連動した拡販で効率的な基盤作りを目指します。
すべての事業において多様化する市場・お客様の変化に素早く適応するために、発想・行動の変革に全員が努めてまいります。
最後になりますが、今後も酒類業界の健全な発展に向けて、邁進する所存でございます。
本年も皆様のご理解とご協力を賜りたく、よろしくお願い致します。
新年を迎え、業界の皆々様のご多幸と益々のご発展をお祈り申し上げます。
キリンビール株式会社
代表取締役社長 松沢 幸一あらゆる環境変化を乗り越える
企業体質の強化へ
明けましておめでとうございます。
平成22年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げますとともに、旧年中のご愛顧に対し厚く御礼申し上げます。
昨年は、8月の総選挙で政権交代が起こり、大きな転換期となりました。また、新型インフルエンザの世界的大流行や一昨年の米国発金融危機による経済不況の更なる世界的広がりが見られ日々の生活に直接影響を及ぼす事象も多い1年でした。こうした多難な状況のなかで、皆様には格別のご支援をいただきましたことを深く感謝申し上げます。
昨年当社は、「エビデンスマーケティング」をかかげ「定番強化」、「健康志向への対応強化」、「総需要拡大」を3本柱として全力で取り組んでまいりました。お陰様で、3月に麦芽100%にリニューアルした「一番搾り」や発泡酒「淡麗」群、新ジャンルの「のどごし〈生〉」などの定番商品が好調に推移しています。また4月発売の世界初アルコール0.00%のノンアルコールビールテイスト飲料「キリン フリー」は、驚異的な勢いで支持を拡大しています。
さて、本年2010年は、「2010―2012年キリングループ中期経営計画(「KV2015ステージU」)の基本方針で掲げる量的拡大から「質的拡大」を目指し、いかなる環境変化も乗り越えられる「企業体質の強化」と収益性の改善を実施していきます。また、生産部門においては更なる高効率・高生産性の実現を目指してまいります。
国内酒類事業は引き続き「誰よりもお客様の近くに。そして、もっと豊かなひとときを。」をテーマにビール・発泡酒・新ジャンル・RTDを中核カテゴリーとしてお客様ニーズにお応えする価値の創造を目指してまいります。くわえてキリンビバレッジ社、メルシャン社をはじめ各グループ企業との連携をより深め総合酒類化、綜合飲料化に向けた活動を積極的に展開いたします。さらに公正取引の推進による業界の健全な発展や、環境・適正飲酒等のCSRの取り組みも一層強め、あらゆる面でお客様の笑顔と豊かなひとときに貢献できる企業となるべくチャレンジしていきます。
景気低迷、少子高齢化の進行といった酒類業界を取り巻く環境は厳しさを増していくことが予想されますが、どうか本年も皆様から一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ではございますが、この新しい年が皆様にとって素晴らしい1年となりますよう心から祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。
サントリー株式会社
代表取締役社長 佐治 信忠“やってみなはれ”精神で積極的な
企業活動を推進
新年明けましておめでとうございます。旧年中は格別なお引き立てを賜わり誠に有難うございました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年は、酒類食品市場に目を向けてみますと、消費者の生活防衛意識の高まりに加え、天候不順、冷夏の影響もあり、特にビール系飲料や清涼飲料は厳しい年となりましたが、「安全・安心」や「健康」「環境」など、お客様の求める価値を実現した商品には、高い支持を頂戴できることを改めて感じた1年となりました。
弊社は、昨年4月より完全持株会社制に移行、新しいサントリーグループとしてスタートを切りました。ビール事業では昨年は市場全体としては厳しい年となったものの、「ザ・プレミアム・モルツ」「金麦」の基幹商品が引き続き好調に推移し、競合の厳しいビール系飲料市場で、お客様のご支持をより強固なものに出来ました。
また、スピリッツ部門では一昨年から伸長の芽が見えていた「角ハイボール」が更に大きな拡がりを見せ、業務用のみならず、家庭にも需要が拡大。「角瓶」が大きく牽引したウイスキーは、トータルでも二ケタの伸びを記録するなどウイスキー復権となる、大きな飛躍を果たした年となりました。
RTDでの若者の家飲み需要提案商品の低アルコール飲料「ほろよい」は、Webを活用した販促を含め、新たな酒類需要創出への挑戦と、業界内外で話題となりました。
食品飲料部門では、市況低迷の中、働く人たちの気持ちを大事にした缶コーヒー「BOSS」が伸長、さらにミネラルウォーター「サントリー天然水」の好調な動きが牽引し、事業トータルで市場を上回り、更に事業基盤を強化することが出来ました。
国内事業での基盤強化と共に、2月のニュージランドの飲料メーカー「フルコアグループ」、11月のフランス大手飲料メーカー「オレンジーナ・シュウェップス・グループ」の買収等、海外ビジネスの更なる拡大に向けた体制強化にも成果をあげた年となりました。
昨年11月に青色遺伝子をほぼ100%有した世界初の「青いバラ」(SUNTORY blue rose APPLAUSE)を上市しました。およそ20年の歳月をかけて、不可能の代名詞といわれた青いバラの開発に成功したのです。商品名は、「喝采」を意味する“アプローズ”、花言葉は“夢かなう”です。
本年も“美味しい商品を最高の状態でお客様に味わっていただくこと”をテーマに、魅力ある商品の開発に向けてのR&Dへの取り組みの一層の強化と、高付加価値商品の創出による新たな需要創造をはかるとともに、M&Aをはじめ積極的な企業活動を推進、“やってみなはれ”精神を発揮して、新たな革新に果敢に挑戦し、更なる成長を実現する年にしてまいります。
何卒、本年も倍旧のご指導とお引き立てを賜わりますよう、お願い申し上げます。
サッポロビール株式会社
代表取締役社長 福永 勝エビスビールなどビールブランド中心に
企業価値向上を図る
明けましておめでとうございます。旧年中は、弊社ならびにサッポロビール商品に格別のご高配を賜り誠にありがとうございました。
さて、厳しい市場環境の中、弊社のビール事業では、全体では前年を下回ったものの、ヱビスブランドでは総需要を上回り、ビール市場内で17年連続シェアアップを果たしたと考えます。また新ジャンル市場では、2年目を迎えた「麦とホップ」の「ビールと間違えるほどのうまさ」がお客様に支持され、前年比2倍以上の売り上げを達成、新ジャンル全体でも2割増となりました。
本年、弊社は「サッポロ生ビール黒ラベル」、そして本年2月に誕生して120周年を迎える「ヱビスビール」の2つのビールブランド中心に企業価値向上を図る取り組みを開始します。又、「麦とホップ」のメガブランド化、昨年秋に発売した機能系新ジャンル「オフの贅沢」の市場定着に注力するとともに、新たな成長ブランドの創出と育成に邁進して参ります。
ワイン事業では、輸入ワインの「イエローテイル」や、「ベリンンジャー」、「ミティーク」、「サンタリタ」が堅調に推移し、本年もこの4商品を軸に注力して参ります。国産ワインでは、健康・安全・安心志向の高まりを背景に「アロマルージュ/ブラン 酸化防止剤無添加」、「ポリフェノール/有機酸たっぷり酸化防止剤無添加ワイン」等の酸化防止剤無添加ワインや、国産ぶどう100%にこだわった日本ワインの「グランポレールシリーズ」が前年を上回り、本年もこの両輪を軸に、中高価格帯市場に積極的に取り組んでいきます。
焼酎事業では、乙類商品の「和ら麦」「からり芋」が前年超えを果たし、またジンジャーハイボールで話題となった「トライアングルスムーズ」が健闘、焼酎市場全体がマイナスとなる中、弊社は焼酎事業全体で前年を越える結果となり、本年も特徴ある商品展開に努力していきます。
本年、弊社はお客様に「おいしさ」で評価され、強く心を動かしていただける商品を全社でつくり、育てることに傾注するとともに、その基礎となる様々な企業活動を通じて、サッポロファンの拡大に努力して参る所存です。引き続き、サッポロビールにますますのご支援を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。