世界禁煙デーは5月31日(土)。禁煙週間は5月31日(土)〜6月6日(金)
受動喫煙防止対策
神奈川県では飲食店などが全面禁煙へ

 2003年に健康増進法が施行されて以来、受動喫煙防止のための取り組みが全国で行なわれてきました。
 健康増進法第25条では「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とあり、官公庁や病院、学校ではいち早く実施されています。
 大勢の人が利用する公共交通機関。鉄道各社は段階的に取り組み、ホームでの全面禁煙から始まり、現在JR東日本では新幹線・特急列車の全面禁煙化が導入されています。またタクシーの全面禁煙は各地で進んでおり、大分県で2007年6月に導入されたのを皮切りに、長野、神奈川、静岡、富山、山梨、岐阜、愛知、千葉、秋田、茨城、新潟、東京、埼玉、福井、群馬、香川、沖縄、福島、栃木、岡山の21都県で実施、奈良も5月末より実施される予定です。
 「歩きたばこ禁止」条例も各自治体で施行されています。東京都千代田区が全国に先駆け2002年にスタート。1年間で過料(2千円)を科せられたのは約5,500人でしたが、開始から1年後の吸殻は定点観測で1割以下に減ったというデータが出ています。
 また神奈川県では、4月15日に「飲食店やホテルなどを含む不特定多数の人が利用する県内の施設での喫煙を全面的に禁じる」禁煙条例制定に向けた基本方針を明らかにしました。これは25条の「努力義務」から一歩踏み込んだ「喫煙の禁止を定める」とした条例案で、成立すれば屋内を対象とした禁煙条例としては全国初となります。
 規制対象は、官公庁、学校、病院だけでなく、デパート、喫茶店、レストラン、居酒屋、バー、パチンコ店などで、施設の管理者には灰皿の撤去や喫煙者への注意などを義務付け、違反者(喫煙者と施設の管理者)には罰則を設けることも検討されています。
 県民アンケートでは公共的施設での喫煙規制について88.5%が賛成でしたが、たばこ業界や飲食店業界との意見交換会では「喫茶店はたばこを吸うために来る客が多い。売り上げが落ちる」「分煙で対応できる」などといった反対意見が相次ぎ、「飲食店や娯楽施設は段階的に禁煙にする激変緩和措置が必要ではないか」などの意見も上がっているようです。
 この件について日本たばこ産業株式会社は、全面禁煙や完全分煙を一律的に強いる考え方に強く反対し、問題点と現実的かつ具体的な解決策を挙げ「@公共性が高く代替性の低い施設(官公庁や病院等)に対しては、施設管理者に対し適切な喫煙場所の指定・設置を推奨し、スペースの都合等によりその実施が不可能であれば、禁煙を推奨する。Aその他の施設(飲食店、宿泊・娯楽施設等)は、各施設管理者が自らの施設について、利用者の要望、スペース、売上への影響などを考慮し、喫煙スペースの設置、時間分煙、喫煙可能、全面禁煙などの喫煙に関する具体的な対応を判断。県は施設管理者に対しその施設が喫煙可か、禁煙か、分煙であればその詳細を施設の入口等へ掲示することを奨励する」といった提案をしています。
 今後、専門家らによる検討委員会や県民からの意見聴取を経てまとめていくことになりますが、飲食店など喫煙者も多く利用する場所が対象になるだけに、論議を巻き起こすのは必至です。