2008年 酒類企業社長年頭挨拶

 酒類企業社長から年頭挨拶が全飲連に寄せられましたので、その概要を抜粋して掲載させていただきます。

asahi  

アサヒビール株式会社
代表取締役社長 荻田 伍

新しい価値を提案し
お客様の支持・共感を広げる

 新年あけまして、おめでとうございます。平素は格別のご支援、お引き立てを賜り、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。
 国内の酒類消費は、1998年をピークとして減少傾向が続いております。若者を中心に「お酒」に対する価値観が変わってきております。あらためて、お酒のおいしさ・楽しさ、お酒の文化を積極的に発信していくことが大切であります。一方で、健康志向の高まりや社会的規制などの動きから、適正飲酒の啓蒙活動の推進も求められています。
 アサヒビールグループでは、「食と健康を事業領域として、アジアを中心に、お客様へ生涯を通じた喜びと感動を提供し続けることにより、成長性溢れるリーディングカンパニーとなること」を目指し、2007年から第3次グループ中期経営計画をスタートしました。カゴメ社との業務・資本提携を行い、「食と健康」の事業領域での基盤強化を図り、両社の持つ技術・資源を活かし、シナジーを生み出して新しい価値を提案してまいります。飲料事業では、酒類事業に次ぐ柱へと強化すべく、アサヒ飲料の完全子会社化を決定し、TOBを行いました。グループの経営資源を飲料事業へより積極的に投入・活用し、飛躍的な成長を目指します。研究開発部門では、グループの持続的な成長を図ることを目的として、大規模な組織改定を行いました。今後、技術シナジーの創出や新たな価値を提案する新商品・新事業の開発を推進していきます。また、茨城工場の総合飲料製造化によるグループの最適生産・物流体制構築の本格的スタート、杭州ビール新工場の竣工・出荷開始など、グループの成長基盤強化を進めることができ、結果、グループ全体としては概ね計画通りの成果が見られました。
 酒類事業においては、発売20周年を迎えた「スーパードライ」を中心として、競争力の強化に取り組みました。「スーパードライ」は“鮮度”“うまい樽生ビール”の活動に加えて、積極的な情報発信により、最盛期以降に伸ばすことができ、19年連続で1億函を超えました。新商品では、糖質ゼロの発泡酒「スタイルフリー」、カゴメとの共同開発第一弾の「トマーテ」が、お客様のご支持をいただき、計画を超える売上げがありました。お客様の選択眼が厳しくなる中、明確な価値を持った商品がお客様にご評価いただいたものと考えております。焼酎の「かのか」「さつま司」、低アルコール飲料の「旬果搾り」、ウイスキーの「ブラックニッカクリアブレンド」「シングルモルトシリーズ」、ワインの「サントネージュ無添加シリーズ」「ルイ・ラトゥール」「パイパー・エドシック」「カリテラ」「ガンチア」など、主力ブランドで売上げを伸ばすことができました。これらは、流通の皆様の積極的なご拡販のおかげであると、あらためて感謝申し上げます。
 2008年は、酒類事業を中心に飲料・食品薬品・国際のそれぞれの事業において、さらなる成長に向けて、積極的な活動を展開し、グループの成長を図ってまいります。また新しい価値をご提案し、お客様のご支持・共感を広げていきたいと考えております。
 ビール類では、「スーパードライ」のブランド価値をさらに磨くとともに、「スタイルフリー」の育成や既存ブランドの活性化を進め、競争力を強化してまいります。焼酎・低アルコール飲料・洋酒・ワインなどでは、カテゴリー内での存在感を高めるべく、ブランド育成を図ります。そして、市場・お客様の変化に素早く適応するために、発想・行動の変革に全社員が努めてまいります。


kirin  

キリンビール株式会社
代表取締役社長 三宅 占二

2008年は次の100年に向けて
新たなスタート

 明けましておめでとうございます。
 平成20年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げますとともに、旧年中のご愛顧に対しまして有難く厚くお礼申し上げます。
 昨年は原油の急激な値上がりに端を発しました原材料の高騰やドル高ユーロ高により輸入産業にとりまして大きな苦難を強いられた年となりました。また一部食品の賞味期限偽装や中味の不当表示など、食の安心安全に対して消費者の厳しい目が向けられた年であったといえると思います。このような多難な状況の中で、皆様には当社に対し心強いご理解ご支援を寄せていただきました。改めまして心よりお礼申し上げます。
 昨年当社は、創立100周年を迎えることができました。これもひとえに皆様からの永年にわたるご支援、ご協力のおかげであり、ここに深く感謝申し上げます。
 また昨年はキリングループにとりまして「KV2015」に向けた第1ステージのスタートの年となりました。7月には純粋持株会社制に移行し、当社はキリンホールディングス株式会社のもとで、より自律性を持ってグループの牽引車としての役割を担うこととなりました。同じく7月にはメルシャン社との業務提携が始まり、総合酒類メーカーとしてより広範なご提案をすることができるようになりました。
 また資材調達や営業・販売促進活動の分野では同業他社や異業種企業との協働取組を始めることといたしました。「競争と協調」の考え方で従来の枠組にとらわれない新たなビジネスモデルの構築に積極的に取り組んでまいります。
 さて、2008年は当社にとりまして次の100年に向けた新たなスタートの年となります。2月には原材料の急激な高騰によりやむをえずビール・発泡酒・新ジャンル商品および清涼発泡飲料の価格を改定させていただきます。生販三層の諸経費高騰の折からコストオンの考え方に基づいた円滑な価格改定が実施されますようご理解ご支援をお願いいたします。
 また4月からは和洋酒類および一部チューハイ類をオープン価格制に移行させていただくとともに新自主ガイドラインを導入いたします。公正取引推進に向けて引き続きご協力をお願い申し上げます。
 本年も当社は「酒類事業の誓い:誰よりもお客様の近くに。そして、もっと豊かなひとときを。」の実現に向けてもっともっとお客様に近づけますよう努力を重ねてまいります。何卒、皆様から一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。


santory  

サントリー株式会社
代表取締役社長 佐治 信忠

新たな需要創造を推進し
確かな成長を実現

 新年明けましておめでとうございます。
 旧年中は格別なお引き立てを賜わり、誠に有難うございました。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、昨年を振り返りますと、経済面では、米国のサブプライム問題に派生した金融不安が世界の株価急落を生み、温暖化、異常気象、原油高騰に起因する食品、原材料の高騰に加え、円の為替相場も、特にユーロを中心にした円安基調は変わらず、日本経済が大きな影響を受けた1年でした。
 個人消費についても、全般的には、いまだ力強い足音が聞こえない中で、高価格であっても価値を見出す商品については積極的に購入するという消費トレンドは変わらず、魅力ある商品は話題を集めました。
 そうした中、酒類食品市場におきましては、少子高齢化が進み、依然、市場を取り巻く環境は厳しい状況が続いています。酒類では、昨年も各ジャンルで知恵を絞った商品が数多く上市されたものの、全体の市場を拡大するまでにはいたらず、また若者を中心としたライフスタイルの多様化も大きな課題となっています。加えて、原材料費を中心にした急激なコストアップが収益に与える影響は深刻で、各企業の懸命なコストダウンへの取り組みが継続される一方で、値上げに踏み切らざるをえない状況も生じてきています。
 2008年の幕が明けました。
 成熟化した酒類食品市場の中で、昨年も、酒類部門ではシングルモルトウイスキーや「スパークリングワイン」が伸長、またモンドセレクションのビール部門で、3年連続最高金賞という栄誉に輝いた「ザ・プレミアム・モルツ」や新ジャンルの「金麦」が躍進、低アルコール飲料での「アワーズ」、「トマトマ」等新しい価値を持った商品の提案が好評を博しました。食品飲料部門では「黒烏龍茶」を中心とした健康茶、「スターバックスチルドコーヒー」の更なる拡大と「ペプシ ネックス」のヒット等、価値を認めていただける商品への手応えを強く感じた年となりました。
 本年度も、R&Dへの更なる取り組みを強化し、高付加価値商品を創出することで、新たな需要創造を推進し、確かな成長を実現する年にして参る所存です。
 さらに、食に対する「安心」「安全」への消費者の信頼をより強固なものとする活動を力強く推進して参ります。
 また、業界の健全な発展に向けては、公正なルールの運用とその下での自由競争を基本とする中で、業界の発展に繋げる適正な利益の確保に向けた努力は弛まず継続努力していくことが必要であると思います。引き続き公正取引の遵守を推進し、酒類食品業界の健全な発展のために一層努力を重ねるとともに、市場活性化に向けての新しい価値提案を本年も積極的に行って参りたいと考えています。
 本年も、コーポレートメッセージ“水と生きるSUNTORY”の基本理念のもと、環境保全活動への真剣な取り組みの継続とともに、企業としての健全な成長を続けながら、積極的に社会と共生し、社会に貢献する誠実で信頼される企業、“Growing & Good Company”サントリーの実現に邁進して参りたいと思います。


sapporo  

サッポロビール株式会社
代表取締役社長 福永  勝

お客様に喜ばれる
商品づくりをめざして

 皆様、あけましておめでとうございます。
 旧年中は、弊社ならびにサッポロビール商品に格別のご高配を賜り、誠にありがとうございました。本年も引き続きまして倍旧のご支援ご指導を頂戴いたしたく、よろしくお願い申し上げます。
 さて、昨年のビール業界では、各社が相次いで新商品を発売したものの、ビール・発泡酒・新ジャンル市場合計の総需要は前年を下回ったものとみています。活況を呈してきた新ジャンル市場の伸び率が鈍化した一方で、ビール、発泡酒では、ようやく下げ止まり感もあらわれ、特に高価格ビールは、各社の積極的な市場への参入もあり、二桁増の伸びを示しました。
 弊社は、昨年10月に、7番目のビール製造工場となる那須工場を小ロット・高付加価値商品の戦略的生産拠点として本格稼働させました。本年4月には、レストラン、物販、見学施設をグランドオープンし、年間20万人のお客様のご来場を見込んでいます。地元経済の活性化にも貢献したいと考えています。
 ワイン事業では、国産ぶどう及び自社ぶどう園産にこだわる、弊社国産ワインのフラッグシップ「グランポレール」シリーズの商品が、国産ワインコンクールで5年連続金賞を受賞するなど、その品質を高く評価されました。
 本年も弊社は、原料から徹底的にこだわるものづくりの精神をベースとして、一昨年に達成した麦芽・ホップの100%協働契約栽培の取組みを貫き、サッポロならではの新しい価値を提案することで「お客様に喜ばれる商品づくり」を目指します。ビール市場内連続シェアアップ16年を目指す「ヱビスビール」、繁盛店の生「黒ラベル」、新ジャンル市場のパイオニア「ドラフトワン」、発泡酒の「北海道生搾り みがき麦」など、弊社ならではの個性的な商品群に加え、2月には国内大手ビールメーカーでは唯一となる、ビールで糖質オフの新商品「ビアファイン」を発売します。弊社が開発した「ホップうまみエキス」で、ビールの味わいと糖質オフを両立しました。近年の糖質オフのビールテイスト商品の味に物足りなさを感じているお客様に、高い評価を頂けるものと期待しています。また、焼酎事業では、本格焼酎で家庭用市場に参入し、「本場の蔵元とこだわりの国産原料でつくる」商品訴求でお客様のご期待にお応えしていきます。