地域の飲食店の原点
コミュニティ・レストラン
知ってますか?コミュニティ・レストラン(略称コミレス)は、特定非営利活動法人NPO研修・情報センター(所在地:東京都国分寺市)が1998年から推進する、「食」をテーマにしたコミュニティ支援を目的としたNPOの事業モデルです。このコミレスは、いま全国に30店ほどあり、地域が抱えるさまざまな問題の解決をめざす飲食店として注目を集めています。
コミレスの運営主体はNPO法人や個人で、子育て支援、働く女性の支援、高齢者の食事の場づくり、不登校児童の出口づくり、障害者や就職弱者の働く場づくり等を、食の提供を核にして、さまざまな活動を展開しています。
また、コミレスの食に対する考え方は、地域の住民や利用者の多様なニーズにあわせて、
「安全安心な食の提供」「地産地消」「旬産旬食」「身土不二」「一物全体」「エコ・クッキング」を基本としています。
全飲連でも数年前に地域の飲食店の宅配給食サービスの研究を行なった際に、このコミレスと類似する飲食店での一人暮らしの高齢者の会食サービスなども検討した経緯があります。
●セットメニュー 840円(税込み)
メインデッシュ(写真はチキンソテー照り焼きソース)・サラダ・フライドポテト・ライスか自家製パン・自家製スープ・ドリンク・ミニデザート2つ北九州市にある 喫茶・レストラン
PIKO・POKO
さて、福岡県北九州市小倉にある喫茶・レストランPIKO・POKO (ピコ・ポコ)は、子どものためのスペースを設けた、全国的にも珍しいレストランです。子づれでも安心して食事ができ、子づれのために気軽に外食できないお父さん・お母さんの息抜きの場にもなっています。また、食事を通して親同士が情報交換できる場所づくりとして、地域・行政・親・子育てネットワークなどをつなげる場として機能しています。
PIKO・POKOのホームページでは、「子どもづれだから、なかなか外食できないわ…。」「ママのお友達と、なかなか知り合えなくて…。」そんな風に思っていませんか?育児に疲れたら…「コミュニティレストランPIKO・POKO」で、ゆったりお食事していってくださいね。色んな人との「出会い」が生まれるかもしれません。と呼びかけています。●食事だけでなく出会いをつくる場に
オーナーの宮村貴幸さんは、「私共の非営利活動は平成13年11月から始まりました。当初は、この地区が福岡県の中で一番幼児虐待の多い地区と聞かされ育児ストレスに悩む親子の息抜きの場所づくりから始まりました。しかし、3年目を迎え、たくさんの悩みを抱える乳幼児親子や不登校児、障害を持つ親子また専門家等が入ってくるようになりました。この場所が、今までのレストランとはちがった何ものにも替え難い心を休める場所となっているのだと確信しています。私自身、来店者親子他、皆さんから力を頂きながら経営を行っています。しかし、現実は厳しく店内の半分以上を子どもの遊び場にしたこと、席数や回転数、単価の問題、すべて経営を無視した目標を掲げているため、経営が不安定な状態にあります。このお店は、皆さん一人一人の善意や 配慮で運営されています。単なる食事をするだけのレストランではなく、たくさんの出会いをつくる場所であると同時に、サービスを受けるだけの場所でなく私と一緒にみなさんで創りあげる場所だと思っています。民間でしかできない支援がこの拠点を通じて広がることを願います」と語っています。●子どもづれでも安心して入れる店
店舗は倉庫を改装した平屋建て。60平方の敷地の約半分が子どもの遊べるプレイスペース。 席数は20席程度。子どものおもちゃ、絵本、ベビーベッド、遊具、情報コーナー等があります。子どもの遊べるスペースと、飲食スペースには間仕切りがないため、子どもの遊んでいる様子を見ながら食事ができます。ベビーベッド、子供用に低めに設置された手洗い場。入り口はバリアフリーでベビーカーや車椅子のまま入れるようになっています。
メニューは、キッズランチを始め、洋風メニューを中心に手作りのものを提供しています。スパゲティ・肉料理・ドリア・シチュー・カレー・ハヤシライスなど。ご飯は、大分県安心院産無農薬有機玄米と白米の半々を使用。パンは、自家製の手ごねパン(小麦粉・塩・砂糖・バター・イースト以外は入れない)でプレーンとバジルがあります。月齢に合わせた簡単な離乳食メニュー(天然だし・手作り)も用意しています。
また、子育て支援だけではなく、飲食店という人の集まる空間を通して、地域の人々、障害者、(引きこもり若者、お年寄り等が集まれる環境を大切にしています。
さらに、「ピコポコクラブ」という会を設け、営業活動とは一線を画した地域や行政や様々なネットワークと繋がるボランティア活動も展開しています。●食を通じて人が集う
地域の飲食店の原点へ
このようなPIKO・POKOの姿に、地域の飲食店の原点を見ることができると思います。本来、地域の飲食店は、地域の人々が食を通しての集いの空間であった筈です。また、地域のどのような人々でも集え、健康な食事が楽しめる場づくりへの心配りと施設は、いま地域の飲食店が求められている課題そのものでもあります。
PIKO・POKOをはじめコミレスは、多くの課題も抱え、経営も厳しいのが現実であると思われますが、頑張って継続していってもらい、コミュニティの再生・創造と地域の新たな食文化をつくっていってもらいたいと思います。
PIKO・POKO
福岡県北九州市小倉北区片野新町2-11-4
電話:093-952-0695
http://www.nopr.jp/ ̄pikopoko/