理事長訪問 第12回 熊本 熊本県飲食業生活衛生同業組合
竹下 和生 理事長に聞く
熊本の素材や自然を生かして
ゆったり過ごせる雰囲気づくり―まず、飲食業に入られたきっかけをお聞かせ願えますか。
竹下和生理事長■私は熊本県の山鹿温泉の中心地、温泉の湯で米を炊くような土地で育ちました。両親も温泉街に勤めており、親父が「調理師の免許を取ると良い」と言うので和食の見習いを経て、福岡の中華料理店で修行し、その間に結婚しました。
―その後独立されて、お店は熊本市ですね。
竹下■家内が熊本出身だったので、熊本市で昭和41年4月、「中華料理広東」をカウンター席が4つ、4人がけのテーブル1つで始めました。現在は市内に2軒あります。―竹下理事長の組合活動についてお聞かせください。
竹下■健軍地域の組合長、東部の支部長を経て、10年ほど前に熊本市全体の理事長になりました。8年前に県の理事長になり、今は3期目です。
―理事長として、現在組合が抱える一番の問題は何だとお考えでしょうか?
竹下■やはり組合員の減少ですね。現在約2千5百名です。食協に入っていても飲食には未加入という人もいますから、もっとPRして、商売の繁栄のための組合であることを理解してもらうことが必要です。大型店の人も家族単位の店の人もあり、考え方はいろいろですが、何と言っても繁盛店作りが一番の目的ですからね。
―改善策として、どういった活動をされていますか?
竹下■組合員にメリットをということで、先代の理事長が互助会制度を作り、わずかな掛金で見舞金や弔慰金がおりるので非常に喜ばれています。私の代では、事業を通してのメリットとして、飲食祭を始めて今年で2年目です。スクラッチくじをお客さんに引いてもらい、1等は現金1万円です。講演会を催しても出席者が限られてくるので、皆が参加出来ることはなんだろうと考えた結果、スクラッチくじにしました。内容を改良して毎年続けていきたいですね。
もう一つは、各末端の組合長及び地域の役職の方々を招いて、第1回の意見交換会を開催します。県の支部長は県の会議に出席できますが、組合員の皆さんは県の事業に意見を出す機会がないので、本音で話せる機会を作ろうと年に1回は場を設けることにしました。―熊本県の全国的な認知度を上げる活動もされているそうですね。
竹下■鹿児島は黒豚や焼酎などで「黒」を打ち出していますが、熊本は阿蘇がある火の国、「赤」をテーマカラーにしようということで、現在「肥後の赤牛」という、もともと阿蘇地方にいた赤毛の牛のブランド化を検討しています。熊本県にはスイカや車エビなどたくさんの日本一がありますが、素材が何でもありすぎて、しぼりきれないところがあります。何か一つ打ち出して、熊本をアピールしていきたいと考えています。
飲食業の経験をいかし
旅館業へも進出し、評価を高める―さて、竹下理事長は中華料理店だけでなく、南阿蘇村で旅館を経営されていますね。旅館業に進出した経緯をお聞かせください。
竹下■最初に旅館で和食の見習いをしたので、いつかは温泉旅館をという夢があり、今から10年ほど前に、ゆっくりできる旅館を理想に「竹楽亭」を作りました。ヒントは海外旅行です。以前、家内とフィジーに行ったときにリゾートホテルに泊まったら、一部屋に一つずつプールがあったんです。日本人は温泉が好きだから、これを温泉にしたらどうだろうかと考え、一部屋ずつに露天風呂をつけ、食事もグループごとにとれるようにしました。一年を通じてお客さんに来ていただいているのは、世の中全体がゆったりした旅行を求めるようになったことで、時代に合ったのかと思います。
―昨年は新館を作られたそうですね。
竹下■はい。新館の「みな和」を作るとき、竹楽亭の10年間を振り返りまして、一つでも新しいところを取り入れないと進歩がないので、室内にも風呂を作りました。そして体を動かすことが好きなので、できるところはあちこち手作りしました。例えば滝や庭、植栽は従業員と、トイレは兄貴と一緒に作ったものです。あまり上手じゃないけど彫刻刀を使うのも好きで、看板も私が作りました。
―これからの展開は?
竹下■今後は、南阿蘇村の豊かな水を利用してレストランをしてみたいという夢があります。特に都会から来られたお客様には、これだけの水のあるところの上で食事したり、部屋の前に川が流れていたりすると、ほっとする空間になるのではと思います。蛍の時期は特に美しいですよ。
―本日はどうもありがとうございました。