外食産業が一体となって取り組む
原産地表示と消費税アップ問題の勉強会開催
農林水産省 石井俊道氏

 7月15日(金)に、「原産地表示と消費税アップ問題に関する勉強会」が後楽園会館にて開催されました。これは社団法人日本フードサービス協会主催により、外食産業に係わる重要課題をよく理解するために企画されたものです。
 全飲連からは小城専務理事を始め、関東地域を中心に多くの役員が参加しました。この問題には外食産業全体からの感心が非常に高く、会場は270名の盛況でした。

原産地表示ガイドラインは
事業者の自主的な取り組みが重要

 近年のBSE、高病原性鳥インフルエンザ、食品の偽装表示事件の発生などにより、消費者の食に対する安心、安全への信頼が求められており、スーパーなどの小売業では原産地表示が既に始まっています。外食においても材料に関する情報を求める声が高まっていることを受け、農林水産省と関係団体が中心となって「外食における原産地表示の指針(ガイドライン)」を検討しています。このガイドラインは、実際に外食事業者の自主的な原材料の原産地情報の開示を推進し、消費者と外食産業のよりよい関係を築くことを目指すものです。これはまた、消費者の利益を守る標準営業約款の理念や表示義務とも一致しています。
 最初に農林水産省総合食料局外食産業室長の石井俊道氏から、ガイドラインの骨子について説明されました。ガイドラインは消費者がメニューを選択するために、どのような原材料について原産地表示が必要で、また信頼性のある表示が可能かという観点で取りまとめられています。そのため、このガイドラインでは外食事業者の業種・業態や事業規模の大小に関わらず適用されます。
 「単に産地を表示するだけでなく、情報も併せて書いてあるとメニューを選ぶ楽しみが増える」という消費者からの意見もあり、原産地表示は義務としてではなく、外食産業の自主的な取り組みによって成り立つものであるという貴重なお話をうかがいました。
 また事例として、ロイヤルカジュアルダイニング株式会社の梅谷羊次氏と、株式会社モスフードサービスの堀田富雄氏から、生産者と直結した情報の開示や、コンピュータを用いたトレーサビリティシステムなど、先進的な取り組みの様子について発表されました。いずれも消費者の信頼を得るために重要な役割を果たしている実態がありました。

消費税増税にしっかり目を向けて、
業界一体となって毅然とした対応を

 消費税アップの問題に関しては、立命館大学法学部・法科大学院の三木義一教授による「どうなるのか消費税―外食産業の問題点―」と題した講演がされました。政府の消費税率アップへ向けた動きの中、消費税は不平等税制であり、外食産業の利用者にも深刻な影響を及ぼすことは間違いない。何も対策をしないと増税は免れないかもしれないが、まだ確定ではないので、対案を提示するなど、積極的に対策をとることが重要であるとお話されました。

ガイドラインによる表示方法例
1.各メニューに原材料の原産地を表示
例)サーロインステーキ(牛肉:オーストラリア産)和風おろしハンバーグ(牛肉:オーストラリア産、豚肉:デンマーク)
2.メニューブックの巻末などに原材料ごとにまとめて表示する方法
例)野菜は国内(長野、茨城、千葉、東北地方)の契約農家から、豚肉は米国、デンマークから仕入れています。
3.メニューのジャンルごとに原材料をまとめて表示する方法
例)ハンバーグに使用している牛肉はオーストラリア産、豚肉はアメリカ産です。