理事長訪問 第11回 埼玉 玉県料飲業生活衛生同業組合
石川 東功 理事長に聞く会社員から料理人に
日本調理師会会長も務める―石川理事長は最初から料理の道を志してこの世界に入られたんですか?
石川理事長(以下石川)■いえ、もともとおふくろが小さなラーメン屋を開いていたのですが、私自身は会社員をしていました。女房と結婚した26歳のときに、盲腸になって手術して、術後順調だったんですけれども、のんべえだったので友達がビールを持ってきて、飲んだら癒着しちゃった。1週間で退院の予定が1ヶ月かかって、会社に「この忙しいときに」って怒られて、若気の至りで辞めてしまった。そこで昭和37年8月18日に自分で店を始めました。
―それが今の松音屋さんですか。料理屋さんですね。
石川■最初はラーメン屋でスタートしました。屋号はその時に父親が、東松山にその音が響き渡るようにと「松音屋」とつけてくれたものです。今は料理屋で、売上の8割が宴会・法事で、残りの2割が一般で、うどんやそばを出しています。吉見の百穴という国の史跡の真ん前にあるので、観光客の皆さんにお寄りいただいています。
―東松山市飲食店組合の組合長に就任されたのが昭和57年ですね。
石川■そうです。県の理事長になったのは10年前。昭和51年から県の特別経営相談員をやっていて、平成5年に突然当時の理事長に、「常任理事をやって欲しい」といわれたのです。辞退したのですが、どうしてもということでお受けしました。常任理事になった直後に、青年部を立ち上げることになり、その年の8月には青年部が出来ました。平成7年になったら、先輩の副理事長さん方がたくさんいるのに、「石川君、理事長やれよ」と当時の理事長に、またまた突然言われて、参りましたが、皆さんのお薦めもあり理事長になりました。
―埼玉の料飲業生衛組合の特徴は?
石川■設立当時から料理飲食業生活衛生同業組合でしたから、飲食業と料理業の両方の組織に属していました。ですから全国大会にも両方出ていました。しかし、平成13年に全国の料理業を脱会して、今は全飲連1本です。それで今は料理業と統合しています。
―BSEや地産地消、産地表示、標準営業約款などいろいろな問題がありますが、一番に取り組もうと力を入れていることは何ですか?
石川■安心、安全をモットーとして、お客様に安心して利用してもらえるようにすることです。我々の飲食業組合は、いろんな業種で構成されていますから。寿司屋さんもいれば蕎麦屋さん、料理屋さんもいますから。安心と安全を大切にして、お客さんに信頼され愛され、好かれて利用してもらうことが大切だと思います。
―組合員の減少が、全国どこでも深刻な問題になっていますが。
石川■加入が10とすれば脱会が30という数字が出ていましたが、脱会者に歯止めをかけることが必要です。やはり脱会者が出れば入会者もいるのですから、いかにその入会者を増やすかということですね。やっぱりPRが大事です。全飲連組織拡充には、まずPRしないといけません。組織の宣伝がまず足りないと思います。未加入県に「入ってください」と言いましても、「じゃあ全飲連には何のメリットがあるのだ」と言われると、「こういうことをやっています」というアピール点に欠けますね。
―これまでの組合活動で得られたものや、どんなことが印象に残っていますか?
石川■これまで同業者の中でやってこられたというのは、一つには競争心があったからだと思います。会社勤めを続けていたらそういうことを考えずに済んだと思います。店を始めて、組合でいろいろな活動をするにつれ、諸先輩方や同年輩の人たちが大きな店を構えてやっている姿に刺激を受け、自分も発奮して、頑張っていこうと思いましたね。
―理事長は日本調理師会の会長さんも務めていますが、調理師免許をとられたのはいつ頃ですか?
石川■お袋がもともとラーメン屋でしたから、昭和33年に法改正になり、第1回目の試験があるというので、お袋の勧めで、どういうわけか自分にも調理師免許を取れって言われたのです。それで第1回の試験を受けて合格しました。会社に勤めているころでしたね。
―全飲連の副会長ばかりでなく、日本調理師会の会長の重責も務められていますが、かなりご多忙だと思いますが…。
石川■平成7年6月16日に埼玉県料飲業生活衛生同業組合の総会で理事長になって、同じ6月23日に埼玉県調理師会の総会があって、選挙で会長に選出されたんです。それで二つの組織の長をやってきて、平成9年に全国調理師会副会長を、平成15年には全国の会長を引き受けることになりました。
―調理師会と、全飲連とで連携していけることはあるでしょうか。
石川■今回の全飲連の標準営業約款は、安心、安全を売るのが目的ですから、そのためには調理師がいた方がいいと思いますね。自分で持っていれば自分自身で安心安全を売るという気持ちが高くなってくと思います。私たち調理師会の立場とすれば、調理師がいる店はそういう形でやっていますから。
―これからの飲食業界はどういう方向へ進んでいくと思われますか?
石川■これからは若者をターゲットにするか、高齢者にするか、はっきり決めていかなければならないと思います。従来のように一般食堂という括りではだんだん立ち行かなくなると思います。うちでも、お昼は一般食堂で、そばやうどんを出していますが、最近はあんまりふるわないですよ。
―埼玉県の理事長として、組合活動にあたって一番配慮されていることは何ですか?
石川■地元の組合員を減らさないのが一番、何をやるにも組織の拡充が大事なことです。何とか皆で力を合わせて組合員の減少を止めなくてはいけません。
―埼玉で全国大会を開催して欲しいという声が寄せられていますが?
石川■いずれは埼玉で全国大会をやりたいと思います。私は、理事長を交代して、若い世代の新しい理事長で全国大会をやってもいたいと考えていますが、皆さんは私の代で開催してくれって言ってくれます。全国の皆さんのご期待に応えられるよう、相談していきたいと思います。
―本日はどうもありがとうございました。