飲食業界にSマーク導入決定
厚労省の厚生科学審議会が承認

 美容院やクリーニング店で、商品の品質や設備が店頭や店内で適切に表示されていることを示す「Sマーク」を、飲食業やそば屋等にも拡大することが、10月13日に開かれた厚生科学審議会生活衛生適正化分科会で承認されました。
 「食の安全」への関心が高まる中、一定の基準をクリアする「優良店のお墨付き」を与えることで、消費者の信頼を得る狙いです。
 Sマークは、サービスや品質を適正に表示し、万一事故が生じた場合も適切に損害を賠償する店を示すマークとして、厚生労働大臣が認可。営業者が都道府県ごとに「標準営業約款」への登録を申し出て、認可を受けると店頭や店内などに表示できる仕組みです。
 Sマークを導入しているのは現在、理容、美容、クリーニングの3業種だけですが、新たに、レストランや定食屋の「一般飲食業」とそば屋やうどん屋などで構成する「めん類飲食業」の2業種が加わります。

標準営業約款制度は
健康、地域、安心・活力をテーマに掲げる
全飲連の活動方針をより具体的に実現する制度です。

 
中島副会長が全飲連の立場と意見を厚生科学審議会で発言
 生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号)第57条の12の規定に基づき、財団法人全国生活衛生営業指導センターから申請のあった、めん類飲食店営業に関する標準営業約款及び一般飲食店営業に関する標準営業約款の認可について、全飲連は10月13日の第7回厚生科学審議会生活衛生適正化分科会で中島康介副会長が意見を述べました。
 その要旨は次の通りです。
 「全国飲食業生活衛生同業組合連合会副会長の中島でございます。私は平成12年度より業界を代表する一人として検討委員会に参画いたしました。私ども連合会は本年度現在、全国約11万5千組合員で構成されており一般飲食店の主たる業態は申しあげるまでもございませんが、実態は多様な業態が混在しております。約款検討委員会においても計9回の検討委員会を行い、本日の当審議会委員の長見先生も消費者を代表する立場においてご尽力をいただきました。
 その中においても今日までの様々な議論が行われたところでございます。約款事項については特に、地域における「地産地消」運動により積極的に行政等とタイアップしながら組合において取り組みを行い、アピール食材の表示を義務付けと規定する。施設面においては、受動喫煙防止対策の実施に当連合会においても緊急課題として飲食店営業施設の分煙対策に努めるよう研修会等の実施も行っております。飲食業界の立場で積極的に取り組みを行わなければならない問題であることに対し、常に営業者は認識を高めること等消責者を意識した営業を行うことが今回の約款制度の重要な意味と思われるところであります。
 また、昨今の外食における消費者の食に対する安心安全は不可欠なものであり、組合ではBSE関連から鳥インフルエンザ等の問題に積極的に対応しながら、消費者が安心して利用できる飲食店の環境づくりが第一と考えられます。
 目標登録開始時期を来年秋と位置付け、現在全国6箇所において開催しておりますブロック委員会において約款制度についての詳細な説明を実施いたしているところでございます。
 消費者の保護の観点及び低迷する飲食業界の活性化のためにも標準約款制度の加入促進に組合としても全力で取り組む次第であります。」
 
消費者からのより強い信頼を目指す。平成17年11月に登録開始予定
 全飲連では、消費者利益のための事業として「一般飲食店営業に関する標準営業約款」の検討を平成12年度から実施しています。本年度までに9回の検討委員会が開催され、その実現に向け検討を行ってきました。
 標準営業約款制度とは、消費者保護の観点から生活関係営業(以下「生衛業」)の店が提供するサービスや商品の内容、その店の施設や設備について明確に表示するとともに、その店の営業に関して事故が発生した場合における賠償を適切に行うことによって利用者や消費者が営業者からサービスや商品を購入する際の選択の利便を図ることを目的として、昭和54年に「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律」の改正により創設されたものです。
 この標準営業約款は、財団法人全国生活衛生営業指導センターが、厚生労働大臣の認可を受けて設定することとされており、現在、クリーニング業(昭和58年3月26日認可)、理容業(昭和59年10月18日認可)、美容業(昭和59年10月18日認可)の3業種が設定されています。
 営業者は標準営業約款に従って営業を行おうとする時は、各都道府県生活衛生営業指導センターに登録の申込みを行い、標準約款店である旨を表示する標識(現在、Sマーク)と約款の要旨を掲示することとなっています。(理容・美容・クリーニング業の登録店舗は全国で9万店、平成15年3月未現在)
 標準営業約款は、生衛法に基づき業種ごとに、@役務の内容又は商品の品質の表示の適正化に関する事項A施設又は設備の表示の適正化に関する事項B損害賠償の実施の確保に関する事項の3つに基本事項を定めています。
 このように標準営業約款登録店は、サービス又は商品の種目及び施設又は設備の適正な表示を行い、更に万一の事故が発生した際は必ず適切の弁償を行う云わば、良心的な優良店として消費者に認識されることになります。
 標準営業約款(案)で規定する「役務の内容又は商品の品質の表示の適正化に関する事項」「施設又は設備の表示の適正化に関する事項」のうち主な事項は次のとおりです。

◆一般飲食店営業
@アピール食材の表示(消費者に栽培方法、生産地等でアピールしたい食材を必ず1つ以上選定し表示)
A消費期限等の表示(仕出し弁当等営業施設外で飲食する商品は消費期限、製造年月日を表示)
B調理師の表示(調理師を営業施設に配したときは氏名を表示)
C情報通信技術の活用(予約システムの導入に務める)
D宅配サービスの実施(積極的に取り組み、社会福祉の一翼を担うよう努める)

登録店に対するメリット作りを検討
 一般飲食店に関する標準営業約款の作成は、平成13年度3月に約款導入のための検討委員会を設置し、検討を進め標準営業約款(案)が作成されました。現在、その制度発足に関し、登録店に対するメリット作りの構築を図るため、業界側からの要望を行っています。理容、美容、クリーニングがこれまで使用の「Sマーク」については、今後予定している飲食、麺の参画により飲食業界にふさわしい新たなデザイン等にする議論及び調整を行っています。
 なお、検討委員会の委員構成は、四方津(東洋大学元教授)、大塚徹(日本ヒューマン経営研究社社長)、鴨木房子((社)全国消費者生活相談員協会専務理事)、長見萬里野((財)日本消費協会理事)、中島康介(秋田県飲食業生活衛生同業組合理事長)、加藤隆(群馬県飲食業生活衛生同業組合理事長)となっています。

全飲連が目指す飲食店づくりのテーマ

もっとおいしく安心に・楽しい食事が元気をつくる
●選べる楽しさを提供したい
●健康を考えたメニューにしたい
●ゴミを出さないお店にしたい
●安心を与えるキッチンにしたい
●出来たてを実感してもらいたい