青年部だより 特別寄稿

点鐘一滴「有言即行」に感銘
香川県飲食業生活衛生同業組合理事長 榊  久 雪


 昨年千葉市で行なわれ全青連20周年記念大会。この大会で加ト吉の加藤義和氏の記念講演を行ないました。この記念講演の実現に仲介の労をとった榊久雪香川県飲食業生活衛生同業組合理事長に、加藤義和氏の講演に寄せて寄稿いただきました。

 創立20周年を迎えた全国飲食業組合連合会青年部が、千葉県で記念大会を開催するにあたり記念講演に是非とも加ト吉の加藤義和氏を講師に迎えたいと懇望され、私が依頼を受けた。早速、加ト吉社長であり観音寺商工会議所会頭の加藤さんにお願いしたところ快諾を頂戴できた。お願いしただけに、私は千葉まで出向き同大会に列席、加藤さんの話を静聴、数々の感銘を受けたのでその一端をご披露したい。
 加藤さんは幾多の艱難辛苦を経た立志伝中の人として当県は勿論いまや日本中に知られる立流な経済人である。
 話のなかには、私達が考えられない閃きがあり、言われてみて始めて納得のいくことが多く、着眼点の相違に驚嘆。
 加藤さんは冷凍食品で成功(現在同業界で売り上げ日本二番目)、つぎつぎと新しい事業の開拓を続け、躍進拡大には目を見張らされるものばかり、近くは、著名ブランドになった「如ト吉の冷凍さぬきうどん」、加えて新しい時代のニーズに応え、七年前米販が届け制度に変わったのを機会に「コメ御飯革命」を目指し、「米飯」販売を開始、新潟県魚沼に工場を設置して日本一美味のコメといわれる魚沼産の米を炊飯製造し出荷する徹底ぶり。コメ新時代を読んでの冷凍御飯の販売、家庭から電気炊飯器の消える日も近いと予言されたのに感服。
 加藤さんは、それだけでは済まさない、魚沼工場から眺める白山は素晴らしく(我々なら大自然に感動するだけだろうが)そこから流れる清らかな水に着目(原料は無料とのジョークも忘れない)して「水を売る」ことを発想したとか、何事でも事業に結びつける奇抜さ旺盛さに感心、流石事業家の発想は違うと納得。
 徹底した合理主義、きらんとした計算式、事業経営の哲学とでも言えるものを教えられたが、分けて感銘したのは「有言即行」を信条とされていると聞いてだった。思わず「ウーン」と唸らされ、流石流石この人にして言い得ていると同感、私もつねに「不言実行」を否認し続け「有言実行」を信条として来たが、「有言即行」にはいささか参った、人それぞれながら経営のリーダーたる者は常にかくありたいと感服、世界の加ト吉へ躍進した原動力はここにあったのかと脱帽。
 加藤さんの人となった若き日には誰もが知る想像を超えた苦難の歴史があっただけに「人間頑張ればここまでやれる」と強調されていたことに共感することも多かったが、氏の場合通常の人間業とは思えないことばかりである。
 全国飲食業界の明日を担う前途ある青年諸君に、「誰でも頑張ればやれる」と教える良い話を聞かせ得たと誇らしく「この人こそ本県が産んだ逸材ぞ」と心から自慢したい心境にもなった。
 本県経済界を代表した加藤さんの一層のご活躍を祈念する、歩んで来られた見事な人生譜を称えながら・・・。