鳥取市で分煙会議開催
分煙対策推進モデル視察及び現地意見交換会

 全飲連では去る2月9日(月)に、分煙対策推進モデル視察及び現地意見交換会を鳥取市で開催しました。
 全飲連からは田中会長、加藤総務委員長、木曽事業委員長、川添財務委員長、柳川福祉厚生委員長、中島組織拡充対策委員長、松江大会委員長、小城専務理事、小池次長が参加し、地元鳥取県からは宍道理事長及び組合役員が参加しました。
 視察に先立ち一行は、鳥取県庁を表敬訪問し石田耕太郎鳥取県福祉保健部長と懇談を行ないました。
 その後、県庁内の食堂、鳥取市内の中華料理店「翠園」の分煙対策を視察しました。また、視察後に現地意見交換会を「翠園」で開催し、分煙対策推進に向けて活発な意見交換を行ないました。以下は意見交換会の概要です。
 
■宍道榮一郎鳥取県理事長
「本日は鳥取県にお越しいただきありがとうございました。良い討議を行い、良いガイドラインを作成し、全国の手本になればと思います」。

■田中清三全飲連会長
「今日は行政の方々にもお越しいただいておりますので、分煙について知識を深め、積極的な意見交換を行ないたいと思います」。

■分煙対策推進モデル事業の目的について(小城哲郎専務理事)
 衛生水準の向上・環境保全を図る為の事業ということですが、趣旨・目的については、昨年の5月1日に健康増進法が施行され、飲食店を含めた、いわゆる公共の場所での受動喫煙が法律で規定されています。他人にタバコの煙を吸わせてはいけないということです。  
 現在、全国的な中小飲食店での対策は健康被害面においても近年マスコミでクローズアップされています。しかし大手外食産業ではかなりの実施が進んでいるものの、中小飲食店ではこれらの対策の遅れも消費者団体等から追求されている問題です。そうした観点から、全飲連では積極的に推進させていかなくてはならないということで、こういう場を設けさせていただきました。今、アンケート調査を全国的に行っています。これらの観点から健康増進に組合が担う役割が非常に大きいということで、今後、積極的に取り組んでいきたいという趣旨であります。
 事業の内容については、分煙対策推進委員会が実態調査を行っております。分煙モデル店でヒヤリング調査を行い、今年度末には、全飲連としての受動喫煙防止ガイドラインを作成したいと思っています。これも完成しましたら各組合の皆様に配布させていただきたいと思っています。
 喫煙の健康への影響ですが、タバコの煙には200種類以上の有害物質や、約60種類の発がん物質が含まれているといわれています。タバコを吸う人は吸わない人に比べて様々な疾患のリスクが増大することが報告されています。
 最近の我が国のタバコに対する施策ですが、平成14年度には健康増進法が制定され、昨年「職場における喫煙対策のためのガイドライン」に即して対策を講じるように厚生労働省からいわれています。世界的にはWHOでもタバコについての条約が改正されています。健康増進法第25条では学校とか百貨店、職場における事務所、官公庁施設、飲食店など多数の者が利用する施設を管理するものは、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないということです。
 東京のある禁煙団体が「空気のおいしい禁煙レストラン&カフェガイド」を発行しました。経営者の65.4%が喫煙「なし」という回答をしています。また禁煙した理由として一番多いのは、「お客様が快適に過ごせるように」が全体の80%以上で、やはりお客様のためには禁煙にしなくてはという意識のもとにこういうデータが出たのかと思います。

■鳥取県及び全国的な取り組み状況について(渡辺一恵鳥取県健康対策課健康増進係長)
 鳥取県におけるタバコ対策についてご説明させていただきます。お配りした「健康とっとり計画」の概要の中に、生活習慣病対策の中にタバコの分野という領域があります。鳥取県のたばこ分野における目標の重点課題として、分煙の徹底、禁煙支援プログラムの充実、未成年・妊産婦の喫煙ゼロというのを挙げていますが、それについて具体的な取り組みも挙げています。そういう意味で生活習慣病対策の中に位置づけています。この概要版のパンフレットは鳥取県民の皆様や各関係団体にお配りしています。
 「鳥取県・公共施設等における禁煙分煙を進めるための事例集」は健康増進法の25条を受けてということもありますが、健康づくりの中でたばこ対策をどのように推進していけばよいかということで、12月にその具体的な方策について皆さんが知っておきたいということで事例集をつくりました。福岡県では行動指針という形でつくっていますが、鳥取県では事例集という形でいろいろな領域において具体的に分煙・禁煙を進めていくということで作っています。
 1ページ目では、生活習慣病対策の中でたばこ分野を位置づけています。2ページ目は鳥取県内のたばこ対策の現状と課題ということで、15年の6月に県立施設については市町村立の公共施設を含めてアンケートをしてみました。3ページ以降については、具体的な分煙の推進のためにどのような設備例があるのかということで、写真付で載せております。これについては県が受動喫煙対策関連の事業をするにあたって8月1日に分煙対策の研修会をしました。その時には産業医科大学の大神先生に来ていただき、禁煙対策ということでお話を聞きました。その中で先生に事例をいくつか出していただき、了解を得ましてこのような設備でやると安価でできますという紹介をさせていただいています。この時の研修会は全ての各関係団体にも呼びかけをして、190名の方に研修会を受けていただきました。そのような研修会やアンケートをもとに事例集を出して、さらに具体的に進めていくということになります。
 もうひとつ分煙ステッカー制度というのがありまして、これについては岡山県や山口県など様々なところが創設していますが、うちの県も今後3月くらいまでには創設を予定しています。いずれにしてもアンケートの聞き取りだけではいけないので、各保健所に協力を求めて現地指導の方法も考えているところです。
 そのほかに、出前健康教育というのをやっていまして、各福祉保健局などにタバコについての健康教育を依頼しています。実際にタバコについての健康教育が随分増えてきているようです。
 また中学生用のパンフレットがあると思いますが、未成年者の喫煙ゼロを目指して、県内の中学1年生に配っています。
 このような対策を打ち立てていますが、いずれにしても地道な活動ですのでそれぞれの関係機関の皆様方と協力しながら分煙について進めていきたいと考えています。本日の事例集、健康とっとり計画、そして中学一年生にパンフレットを配っていますが、その他県としてはホームページによる啓発もしています。

■厚生労働省における「健康づくりのための食環境整備に関する検討会」の概要について(小城哲郎専務理事)
 これは「健康日本21」という国が制定しました食生活の指針を普及啓発していくということですが、厚生労働省の中の健康局長の諮問機関という形で検討会が発足されました。田中会長もメンバーとして会に参加しています。毎月一回行っています。これの趣旨も国民の生活習慣病予防においてどういったことが必要であるかということを、飲食業界としてもメニューの考え方や、環境の問題などについて、喫煙・分煙対策についても課題になっていまして、いろいろな事例が紹介されていまして、ここに福井県の事例を持ってきましたが、福井県では「健康づくりの応援の店」という認定制度を設けています。ひとつはヘルシーメニューの実施、禁煙・分煙の実施、運動実践応援店といって、運動面について応援していこうということで、中には靴屋さんなども入っていますが、これは飲食店と旅館が中心となって実施しています。
 2枚目は広島の事例ですが、健康生活応援店事業という事でこれも認定制度となっています。広島は特にお好み焼きがヘルシーということで、女性部の会長もお好み焼き店を経営しているのですが、その方達が中心となって行っています。今後、健康づくりのため食環境整備に関する検討会もあと2回くらいでガイドラインを作成していく予定です。

■意見交換会での発言要旨
・鳥取ではよく公民館で酒を飲んでいましたが、最近では公民館でたばこが吸えないので飲食店に行くことが多くなりました。
・私どもはスナックをやっているので分煙といってもなかなかできません。ただ考えていることは、新しく営業許可を取られる方はカウンターに焼肉屋のような設備を、将来のことを考えれば施設基準を考えてやっていけばと思います。
・実際に何回か講習を受けたりしています。必要性は多分にあると思いますが、私どもみたいな零細ではなかなかできません。それから常々思うのは、庁舎にいくと庁舎内は全面禁煙ですが、喫煙者と禁煙者の共存を図る対策をとってもらいたいのです。外部から来た人も、雨でも雪でも外で吸えという痛みのわからない人ばかりだと。行政は生産性もないので、競争力もないわけで、我々はもし明日から禁煙となったら明日からお客が来るかどうかという心配をしなくてはならないし、それなりに払うものは銀行に払わなくてはならない。それなりの数字をあげていかなくてはならないのです。分煙というのが共存という言い回しだと思うのですが、実際には今の段階では無理です。私は愛煙家なのでどこに行っても肩身が狭いです。お互いに共存ができる対策を考えて、行政こそ分煙室や、喫煙室を設けて欲しいです。
 現在うちでやっていることは、テーブル席では禁煙にご協力くださいと張り紙をして、灰皿を置いていません。灰皿を片付ける回数は減りました。完璧ではありませんが、それなりに努力はしています。
・今の行政の話がでましたが、知事はたばこが嫌いです。しかし長野県がやったような県庁内全て禁煙というようなそういうやり方はやりませんと。みんなの理解が得られれば、たばこも体に悪いといわれているのだからそういう認識になっていくだろう。議会ではまったく反対の意見がありまして、分煙対策でお金を使うなら禁煙にしてしまった方がいいと。特に県立高校などは一切禁煙にしようという論がありますが、知事はみんなの意識の向上を待とうという考え方です。鳥取市や一部の市町村では施設内は一切禁煙ですが、今県立の施設の中では、あくまでも完全分煙を推進していこうというスタイルですので、とりあえずは完全分煙を目指していこうということで、県立施設、市町村、官公庁施設を中心とした分煙対策、完全分煙を進めていこうというのが、今の段階です。皆さんの飲食店等も方策を検討しながら、何とか共存できながら、嫌な人に影響が及ばないような方法を考えていければと思っています。
・ダイニングバーをしているのですが、禁煙も分煙もしていません。できない理由は、お客様は2、3人や4、5人で来られて、その中に吸われる方と吸われない方が混ざっているのです。一緒に来た方は分けられません。若い女性がよく吸われます。うちの組合員さんの中で、食べるものがメインのお店のご夫婦がヘビースモーカーでしたが突然禁煙しました。そしてお店もオール禁煙にしたというのでどうですかと聞いたところ、お客様が時々文句を言うので、玄関を入ったところにちょっと椅子を置いて仕切りをして、たばこが吸えるようにしたと。中には文句を言う人もいるそうですが、良かったことは女性のお客様やたばこをまったく吸わないお客様が大喜びしたそうです。カウンターで13席ほどのお店なのですが、吸われない方にとってはこんなよいお店はないと。一長一短はあると思いますが、短所ばかりではなく長所も見る必要があるのでは。
・市議会議員として一言。鳥取市の皆さんはご存知ですが、庁舎は5月の改正で、分煙室で隔離されています。学校と公民館は子どもが多いので外で吸ってくださいという状況です。陳情も出てきました。たばこを吸う人は人権侵害である。たばこを吸わない人に対して侵害をしているとその陳情書にはありました。今の時代はそういう時代なのかなと。
 うちは小さいホテルですが、灰皿を取らなければと思いました。
・うちの店が禁煙席を作ったら「もう二度と来ない」と言われました。お金がないのでとりあえず真ん中から分けましたが、できればガラスのフードを取り付けたいです。今はあまり苦情がきません。以前とは変わってきています。
・公共的には閉め出しも結構だと思います。それと根っこから進めていかなければいけません。
・教育委員会でも総合的な学習の取り組みの中で健康教育の一環でたばこと健康について教育しています。うちの事例集に書いてあるのはあくまでも健康増進法25条の趣旨というのが受動喫煙の防止。それを促進するために行政として進めていく手だてとして欲しいということです。健康増進法の趣旨を踏まえながらその中で意識がどのように高まっていくかということだと思っています。タバコと健康について皆さんが意識を持ってやっていきましょうというふうに理解していけたらいいと思います。