全 飲 連 ト ピ ッ ク ス
横浜市が「飲食店からの臭気を規制」
全国初の指針都市型環境問題の解決に向けて挑戦。
検討結果まとまる
臭気指数
臭気指数「17」はコーヒーカップから漂うコーヒーのにおいに相当。基準を超えても罰則はないが、事業者と住民が話し合う際の材料に。横浜市では、建築物の密集化・混在化など都市化の進行により、飲食店からのにおいへの苦情が増加しています。飲食店のにおいの苦情は平成13年度は前年に比べ倍増しています。飲食店からのにおいについては、技術的、経済的に対策が非常に難しいことから、においに対する新たな評価方法や対策が必要になってきました。そこで、横浜市では実態調査を行い、学識経験者及び市民代表からなる検討会を設け、それぞれの立場から意見を聴き、飲食店からのにおいに係る新たな取り組みについて検討し、このたび結果をとりまとめました。今後は、とりまとめた評価方法や対策に基づいて、行政は、飲食店からのにおいへの苦情に対して、地域問題の調整役として、解決に向けた指導を進めていきます。こうした飲食店からのにおい対策は全国でも初めてです。
飲食店等のにおいに関する配慮すべき指針(案)が次のように定められました。
事業者は、飲食店等の営業に伴って発生するにおいが周辺住民に与える影響を考慮し、地域の快適な生活環境の保全のため、次のような配慮に努めるものとする。また、市民及び事業者は、においの問題について充分に話し合うなど、相互に協力して、円満に解決が図られるよう努めるものとする。市長は、市民及び事業者の相互協力が円滑に促進されるよう、調整するものとする。
1、事業者は、建物の構造や換気用フードの吸引方法などを工夫し、においが開放部分やすきまから外に漏れないよう努めること。
2、事業者は、排出口の位置や高さ及び方向、排気設備の能力や構造などを考慮し、排気による周辺住民へのにおいの影響を極力少なくするよう努めること。
3、事業者は、オイルミストなどを捕集するため、ダクト中に金網やフィルターを設置するなど、換気設備について必要な措置を講ずるよう努めること。
4、事業者は、においについて周辺へ配慮し、日常的な保守点検や清掃を行い、設備を最適な状態に保つよう努めること。
5、事業者は、周辺住民へのにおいの影響が大きい場合には、脱臭装置及び消臭設備の設置を検討するなど、必要な対策に努めること。
となっている。
飲食店等のにおいの参考値(案)として、住居系地域は臭気指数が14〜17、商業系・工業系地域は17〜20としている。このにおいの測定方法は、「横浜市三点比較式臭袋法」によるもので、においの評価地点は、においを被る者の居住する発生源に近い建物の外側とする。参考値は、実態調査結果から、においはするが苦情になりにくい範囲で設定され、例えば、煮ているときのカレー、うなぎの蒲焼きすぐそばで嗅いだ場合:臭気指数は約30。臭気指数30は、千倍に薄めると臭いを感じなくなる強さです。臭気指数17は50倍に薄めると臭いを感じなくなる強さです。
今後の横浜市の対応としては、飲食店のにおいの苦情が起きた場合、市は、指針に基づいて事業者に対策をとるよう指導するとともに、市民にもご理解いただくように、「飲食店等のにおいの参考値(案)」を活用して、苦情の解決を図っていきます。
*三点比較式臭袋法(さんてん ひかくしき においぶくろほう)とは、人の嗅覚による測定方法で、3個の無臭空気を入れた「臭い袋」を用意し,そのうち一つに試料を入れて「臭う」「臭わない」の判定をする方法。6人以上の正常な嗅覚の人が測定にあたります。臭いが感じなくなるまで試料を無臭の空気で希釈し、3個の臭い袋のうち試料の入っているものを当てていくことを繰り返していきます。その希釈倍率から臭いの強さを数値化します。
食品衛生規制の見直し
骨子案を厚生労働省が発表
11月8日に厚生労働省は「食品衛生規制の見直しに関する骨子案」を発表しました。この案は、BSEの発生等一連の食品の安全問題を契機に、食品衛生法などの改正作業を進め、与党「食の安全確保に関するプロジェクトチーム」や自由民主党「食品衛生規制に関する検討小委員会」の提言等を受けて出されたものです。
これまで「公衆衛生の向上及び増進に寄与」とした法の目的を「国民の健康の保護を図ること」とし、国や地方公共団体の責務を規定。生産から消費まで一貫した規制策が講じられ、残留農薬や輸入食品の検査体制も強化される。改正作業に当たっては、検討小委員会が今年5月にまとめた「食品の安全に関する信頼確保のための改革提言」が取り入れられています。
同省は改正骨子案をホームページ(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/11/h1108-1.html)
で公開して国民の意見を求め、抜本改正案を来年の通常国会に提出する予定です。
飲酒運転罰則強化の影響
飲食店にジワリ
売上減少を食い止める対策が全国各地で
改正道交法
●酒酔い=罰金50万以下
●酒気おび=罰金30万以下
飲酒運転の取り締まり強化の影響で、売り上げが減少との声が全国に広がっている。
「例えば、M県の人気居酒屋Hでは、何と「売り上げ半減」だという。147坪、220席で月商2,000万円強、いい時には3,000万円に手が届きそうな勢いだったが、6月は1,400万円に減少。客数は以前の7割程度で、客単価は3,500円が2,500円に低下。特に、売り上げに占めるアルコール比率は2割弱から5〜7%に。“お食事処”になってしまった。
全国平均でも売り上げが「下がった」としている店は半数弱。その内の半数が「10%程度の減」で、お客の滞留時間が短くなり、飲酒量も減っている。売り上げは全体で25%減、取り締まりを強化している日には、客数が半減している店もある。
道路交通法改正により酒気帯びの基準が厳しくなり、罰則が強化されたことは心理的にも外食離れを引き起こし、法律が改正の認知度は日経レストランによると、飲食店経営者は100パーセント、消費者は9割が知っているということだ。
これからの忘年会、新年会シーズンを控えているにもかかわらず、消費者の気分的に「車での外食を控えるようになる」心理的外食離れが起こりつつある。飲食業界にとっては昨年の狂牛病に続く死活問題だ。このような状況の中で、売上減少を食い止めるさまざまな営業努力が全国各地で試みられてきてる。
送迎やノンアルコール飲料で対応
車での来店客に対しての対策としては「代行運転の会社との契約」「ノンアルコールドリンクの拡充や導入」「送迎サービス」「タクシーの割引きチケットを配布」など。改正道路交通法の改正に合わせて導入したというケースが増えている。特に地域の飲食業組合で代行運転会社と契約し、組合員の店で500円の割引券を置くようにしたという例が数多くある。
少人数のグループ客が主体の場合、ワゴン車を購入し送迎サービスを始めた店も多く、予約時に受け付け、無料で自宅周辺まで送り届ける。送迎範囲の目安はおよそ片道30分程度で、車での来店客がほとんどという店に多いようだ。安心して飲んでもらうために始めた店が多いようだが、稼動率はまだまだといった状況で、これからのアピールがポイントとなっている。
市街地から離れて以前から大人数のグループ客については送迎を行っていた比較的大規模な店では、少人数のお客様でもサービスを始めたところが多い。ただし、一人あたりの6,000円から4,000円以上利用した場合としているところが多いようだ。中には送迎用の車を複数台に増やしたり、オーナーや従業員の車もワゴン車に替えているところも出てきている。この送迎サービスによりファミリー客の送迎利用が増え、全体の客数は維持しているという店もある。
また、2杯目以降の飲み物や飲まないお客様のために、ドリンクメニューを充実させ、お茶類やノンアルコールのワインやビールをたくさん揃えたり、アイスクリームなどデザートの提供を始め、アルコールの売り上げは落ちたが、全体の売り上げは維持している店もある。
大手の居酒屋チェーンでもファミリー層を狙い食事メニューの強化や、ノンアルコールドリンクも増やすなどして、郊外店の転換を進めている。
京阪神地域で39店を展開するOグループの総本店は、池田警察署から「飲酒運転防止運動推進モデル店」の第1号に選ばれ、防止運動に積極的に取り組んでいる。同店では飲酒運転防止の啓蒙のために、毎月15日を「飲酒運転防止確認日」として、最初のオーダーをとる際に、車を運転してきたお客様を確認しアルコール以外のドリンクを勧めるとともに、次回来店時にワンドリンクをサービスする「セーフティー券」を配布している。
消費者の側に「飲んだら乗らない」の意識はかなり強まってきている中で、「少しくらいなら」とか「お客の責任だから店は関係ない」という考えは通用しない。これからは店の姿勢がますます問われるようになることでしょう。
道行法改正への対応策
「NO! D.D.大作戦」(ノー・ドリンク・ドライブ大作戦)亀岡料飲連合会(京都府)
年末・年始の宴会シーズンが正念場!
京都府亀岡市内の亀岡料飲連合会と、京都タクシー亀岡支社は、道交法改正後の6月17日から、お酒を飲んだ客が割引料金で代行運転サービスが受けられる「NO! D.D.(ノー・ドリンク・ドライブ)大作戦」をスタートしました。現在までに同連合会に加盟する115店舗のうち60店舗が同作戦に参加し、ポスターならびにアルミ製の看板を参加証として店内に掲げています。
京都タクシーの代行料金は通常30キロメートル圏内1,000円。それが参加店に格安チケットを置くことにより、利用者はタクシー料金+400円で運転代行を利用することができます。差額分は京都タクシーと参加店がそれぞれ300円ずつ充当するという仕組みです。
利用者は帰宅予定の1時間前までに店に申し出れば、店がタクシーの手配をします。京都タクシーの運転代行稼働車の数が、現在のところ割り振りなどの関係で10台前後と限られていために、今後の鍵は、いかに運転代行の稼働台数を増やせるかにあるということです。
道交法の改正以来、亀岡市内の飲食店の客足はめっきりと少なくなり、平日の9時以降ともなると各店とも客の姿がまばらとなっていますが、「お客さんが安心して飲めて、少しでも安い料金で帰宅ができるこの試みが、お客さんの足を少しでも引き留めることができればと」連合会では期待を込めています。