ぜんいんれん健康クリニック 4
どこで治療? 花粉症
花粉症から鼻や耳の病気になることがあります
花粉症は年々増えています
花粉症というのは、アレルギー性鼻炎の中で花粉が原因で起こる症状の総称です。日本では春に発生するスギ花粉症が有名ですが、海外ではスギの花粉を指すことはまれで、他の花粉や干草などによって起こるものが多いようです。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりが花粉症の3大症状といわれています。毎年患者さんは増えており、現在では日本人の約30%がなんらかの花粉症があるといわれています。
アレルギーというのは全身の病気ですから、内科、小児科、眼科、皮膚科、耳鼻科などそれぞれの症状に合った科で治療します。最近ではアレルギー科という科もできています。
鼻づまりのひどい人は耳鼻科を受診してください
3大症状のうち、特に鼻づまりがひどくて呼吸が苦しくなったときには、耳鼻科を受診されるのがよいと思います。一部の小児科や内科でも吸入をしてくれますが、耳鼻科では鼻の中に薬を入れたり、物理的に綿棒などを入れて鼻の処置をして、鼻の通りを良くします。
さらに、あまりに鼻づまりが高度で、鼻からの呼吸が困難でいつも口を開けてしまうような状態では、場合によっては手術ということにもなります。手術が必要なのは、副鼻腔炎になってしまった患者さんと、そうなりそうな患者さんです。
副鼻腔炎という病気は、鼻の炎症が周りの副鼻腔にまで及んでしまった病気です。頭蓋骨の中にはいろいろ穴がありますが、そこの空洞に鼻の炎症が進んでしまったものです。
昔は蓄膿症と呼んでおり、よく黄色い棒鼻をたらしていた子どもがいましたが、戦後経済の発展とともに減少していきました。しかしここ最近、花粉症による新しいタイプの副鼻腔炎が増えているようです。一度副鼻腔炎になってしまうと、かなり長期的な治療が必要になりますので、そうならない前に鼻づまりのひどい人は耳鼻科を受診してください。
花粉症から耳の病気になることがあります
花粉症で鼻がつまった場合には、どうしても鼻をかむことが多くなります。そうすると鼻の粘膜がただれてしまって鼻血がでやすくなります。ほとんどの鼻血は鼻の入り口付近から出る場合が多いのですが、お年寄りや動脈硬化のある方、糖尿病の方、高血圧の方は、非常にたくさん出血する場合があるので注意が必要です。
また、特に子どもでは、鼻が原因で急性中耳炎という病気になる場合があります。これは鎮痛剤を飲めば一時的に症状は治まるのですが、あとから滲出性中耳炎になることが多いので、こういう場合にも専門医を受診してください。
この滲出性中耳炎という病気は、最近急激に増加している病気です。症状としては聴こえが悪いだけなので、子どもの場合には発見が遅れるとどんどん症状が進んでしまいます。最近ではアレルギー性鼻炎との関係もあるといわれています。しっかりと診断する場合は専門の検査が必要となりますので、ぜひ耳鼻科を受診してください。
とにかく花粉を吸わないこと
花粉症の方は、できればこの時期は必要以上に外出しないことが大切です。花粉を吸わなければ花粉症にならないわけですから、それが一番です。
外出するときにはマスクや眼鏡を必ず着用して、花粉を吸い込まないようにします。外出から帰ったら、髪の毛や洋服についた花粉をよく払ってから家の中に入ってください。そしてよくうがいをして、のどについた花粉もとってください。
部屋のなかは常に清潔に掃除しておくことも大切です。花粉だけでなくホコリやダニもアレルギーの原因になります。
できれば予防薬を飲むと楽になります。最近のものは症状が出てからでも効きますが、理想としては症状が出る前から服用し、出てからもずっと飲み続けることです。
もちろん症状が重い場合にはその症状別の治療も行います。例えば、鼻づまりをとるスプレーや、鼻水が出る場合はそれを抑える薬を併用する場合もあります。そうしたことで花粉の時期を乗り切ってください。
耳鼻咽喉科 深町クリニック 深町 正先生