年 頭 所 感

全国飲食業生活衛生同業組合連合会
会長 田 中 清 三  

新春を仰ぎ謹んで新年のご祝辞を申しあげます。
 輝かしい21世紀を大いなる期待と希望で迎えたのでありますが、ご周知の通り、正に期待と希望どころか全く裏返しの、長期不況と不良債権の記録更新に加えて、新世紀型の凶とも言える、同時多発テロ、金融界、大企業の相次ぐ破綻等、対岸の火事と思いきや、止どめは狂牛病の事件発生で、食を天職とする我々が牛の飼育は、牧草と穀物で飼育されていたと認識していたものの、何と牛の肉骨粉で飼育されていたと初めて知り、先ずは驚きでありました。そしてまだ感染源が不明のままであると言う現状、我々十年来の業績不振で苦難の日々を営む者にとって最後の鉄槌を受けた一年の結末でありました。
 事々左様で、不確実時代幕開けのベルの音と、除夜の鐘の音とが、重なって、新年を迎えた思いであります。
 さて、昨年は私達業界におきましても、これまでの環境衛生から生活衛生と法律整備のもと改められ、地域福祉事業への更なる参加と食品リサイクルへの対応を促進する等、生き残りをかけた研究課題を課せられました。
 全飲連といたしましても年を追って低迷する経済環境と大手外食産業の価格破壊攻勢に加え、前述の落雷にも等しい狂牛病問題発生に際し、直に政府及び関係当局に、緊急融資制度の発令を陳情し、本年4月30日までの特別制度を確立させて頂きました。
 にも拘わらず去る10月に政府が願望の安全宣言を出してから、一ケ月余り過ぎ、漸く騒ぎが鎮火しつつあり、安堵の胸なでおろす思いの中で、又も二頭目の感染牛発覚に強いショックを受け、牛どころか人間の私達までが狂いそうでありますが、然しこの事件を機に、縦割り行政の徹底的改革と、生産から消費まで責任ある「食材」の危機管理のシステムの透明化と、「食の安全」を再構築する切っ掛けとなりますようにと、尚一層努力をしてまいる所存でであります。
 さて、本年は全飲連組合創立40周年の節年を来たる6月5日九州福岡市において記念大会を挙行するに当たり、目下地元組合実行委員の皆さまが日夜を分かたず開催準備に奔走されております。
 全飲連の歩んだ40年を振り返り、年輪に刻まれた幾多の辛苦に耐え生き抜いてきた尊い体験をいかし、12万余の組合員擁護のため、組織の再認識と心を結び力を蓄えて活性化し、本年迎えた不確実の時代の幕開けに打ち勝つため、意気昂揚の場と併せ祭典の場となる記念すべき大会にいたしたいと念じております。
 どうか組合員の皆様方にはその意をお汲み取り頂きまして、お一人でも多くのご参加をお待ち申しあげております。
 今年の干支は、跳ね馬ならぬ、痩せこけた暴れ馬の如き乱世に、落馬することなく乗りこなして参ることを、全飲連運営の努力目標と決意も新たにお誓い申しあげますと共に、組合員の皆様方には「あいよかけよ」の心でご理解、ご支援を賜りますようお願い申しあげ、重ねまして組合員の皆様方の商売のご繁栄とご健勝をご祈念致し新年のご挨拶とさせていただきます。