ぜんいんれん健康クリニック 3
顎関節症

口を開けたとき音がしたり、開けにくいです
 人差し指を耳の穴の中に入れて、口を開けたり閉じたりすると何か動いています。ここが顎関節です。顎関節症とは、痛みや口が開きにくいというような機能障害が起こったり、カクン、コキンとか関節の雑音が起こります。他人にも聞こえるような大きい音の場合もあります。
 その他にも、頭痛や偏頭痛、首や肩の痛み、肩コリ、手のしびれ、耳の痛み、耳鳴り、目が痛い、目がかすむ、めまいなどがあります。噛み合わせの不安定感、あごがだるい、力が入らない、顔の筋肉がこわばる、のどに違和感があるという症状もあります。
年代的には、20代と50代の人に多いといわれています。
 20代に多いのは、関節の骨格や筋肉の成長の発育が止まる時期ということ、虫歯になって歯につめたり、かぶせたりして、歯の噛み合わせが問題になり始める年齢ということがいえます。またこの年齢には、精神的な問題もたくさんあって、ストレスから起こることも考えられます。
 50代の人は、歯の喪失や、入れ歯の使用をしはじめる時期で、噛み合わせが不安定になることが原因にあげられます。
 その中でも特に若い女性に多く、これは下あごの骨格がきゃしゃであるとか、ホルモンの影響などが考えられます。
 また近年、食生活の柔食化ということがいわれています。そのことによってあごが小さくなり、小さいあごに歯が乗りきれないために歯並びが悪くなります。その結果、あごの機能がスムーズにいかなくなってしまうために、低年齢化されているということが報告されています。
日常的な生活の中で悪習癖を止めることも大切です
 治療方法としては、まずあごや歯列の模型をとって噛み合わせの検査を行い、レントゲン撮影で診断をします。
 噛み合わせが悪い場合には、咬合治療(スプリント療法、歯の矯正など)をします。また痛みや筋肉のこわばりがある場合には、薬の内服や理学療法(筋機能訓練、電気刺激療法、レーザー療法)を行い、円板の変位やせん孔、骨変形の強い場合は手術をします。それぞれの病態によって、治療法を選択するわけです。
 予防としては、まず口の中の状態をよい状態に保つことが大切です。そのためには、例えば、抜けた歯や虫歯を放置して、噛み合わせを悪化させないことです。
 また、悪い癖をつけないようにすることも大切です。例えば、唇を噛んだり、舌をいつも噛んだりするような悪習癖です。こういうことによって噛み合わせる位置も変わってきてしまいます。
 姿勢も影響します。肘をつく習慣がある人は、当然あごの形の変形に関わってきます。
 食事のときには、左右の歯でバランスよく噛んでください。そのことで常に口の中の、歯の位置、筋肉の位置等の、左右バランスがよくなります。
自分でできる噛み合わせのチェック
 まず、口を大きく開いてそっと閉じてください。そのときに、まず奥歯が先に触れるか、前歯が先に触れるか、その人によって違うと思うのですが、できれば口を閉じたときに、左右均等にたくさんの歯に触れた方がよいわけです。そういうことが一つの基準です。
 例えば、右側の歯に先にあたって、それから徐々に左の歯、前の歯と、噛み合う部分がずれてしまうというのは、噛み合わせに問題があると考えてください。
 今度は普通に上下の歯を噛み合わせた状態で、下あごを前にスライドさせます。下の前歯が上の前歯の裏側をすべるように前に動くようなら正常です。奥の歯が動きをじゃましているようなら、悪い噛み合わせです。
 それとあごを左側にずらして左側の歯に接触をしていくときに、右側の歯の接触がないということが大切です。このときにぶつかりがあると、左側にずれたくても右側の歯がずれをじゃましてしまうということになります。逆に右側にずらしたときにも、同じように左側の歯の接触がないような状態でないといけません。
 これが自分で噛み合わせの状態を試す方法ですので、ぜひ試してみてください。
 噛み合わせが変だなと思われたら、割り箸を糸切り歯の後ろ辺りで横に噛んでみてください。その位置が筋肉にとっては楽な位置なので、毎日5分でよいのでその状態を続けてみてください。軽い顎関節症なら、それを行うことでその症状がやわらぐと思います。
 平塚歯科医院 平塚 道之先生