ぜんいんれん健康クリニック 1

糖尿病は怖いですか
1に食事、2に運動、3、4がなくて、5に薬です。
最近、糖尿病の方がとても増えています
 最近の調査によると、日本には約7百万人の糖尿病患者がいるといわれています。予備軍を含めると1千3百万人が糖尿病と推測されています。10人に1人の割合です。
 そのうち実際に治療を受けている人は、約40%の3百万人に過ぎないといわれています。残りの30%の人は、検診や人間ドックで糖尿病と指摘されているのに治療に行っていない人です。しかし、問題は残りの30%です。2百万人もの人が、自分が糖尿病であることも知らずに放置されているのです。
 糖尿病は一生治らない病気で、怖い病気だというイメージがありますが、ちゃんと治療を受けて血糖値をコントロールしている人は、合併症など起こさずに天寿を全うできるのです。
糖尿病で怖いのは、三大合併症といわれるものです。
 糖尿病には三大合併症といって、神経障害、網膜症、腎症があります。
 一つめは神経障害です。糖尿病で血糖値が高くなった状態が放置されて三 年から五年以上経つと、さまざまな神経障害があらわれます。例えば、すぐめまいや立ち眩みが起きてしまう起立性低血圧です。激しい下痢や頑固な便秘、手足のしびれ、痛みもあります。また、昔はインポテンツといっていましたが、最近では勃起障害といわれている性機能障害などがそうです。
 二つめは、血糖が高い状態が五年から七年以上経つと、網膜症といって目の血管がやられて失明するということもあります。こういう人は年間3千名ぐらいいます。また、緑内障も起こりやすく、糖尿病関連で失明する人は、年間1万人ともいわれています。
 三つめは、糖尿病が十年から十五年放置されてくると腎症が起こります。尿にタンパクが出てむくんできます。糖尿病のために人工透析を受けるようになる患者さんは毎年6千名にもなります。
 この三大合併症以外にも、高血圧、高コレステロール結晶、内臓肥満などとの関連で、動脈硬化が人より早く進行し心筋梗塞が起こります。また脳梗塞、急性心不全、閉塞性動脈硬化症、ひどくなると足の先などが腐ってくる壊疽などの合併症があります。
 要するに糖尿病とは、体中の血管が人より早く老化していくという病気ということが、最近わかってきました。
一に食事、二に運動、三 、四がなくて、五に薬。
 糖尿病の治療方法のコツですが、一に食事、二に運動、三 、四がなくて、五に薬、そして何より正しい知識です。
 一番大事なのは食事療法ですが、一日に30品目以上の食べ物を食べるということが大事になってきます。一日に30品目、一週間で70品目以上のものを好き嫌いなく食べてください。できるだけ規則正しく朝食、昼食、晩食と三食以上に分けてください。できるだけ平均して食べた方がよろしいですね。そして腹八分目を心がけてください。この三つの食事療法をしっかり守っていただきたいと思います。
 病気によいからといって、例えば、中国から買ってきたすごく高いお茶を飲んだりしている人もいるようですが、そういうことで糖尿病は治せません。本当に正しい知識を持って、いろいろな食べ物をバランスよく、好き嫌いせず、腹八分目に、規則正しく食べるという食事療法が大切です。
 そしてこのことは、糖尿病だけでなく生活習慣病全てにあてはまる食事療法になるわけです。ぜひマスターしていただきたいと思います。
怖がらないで病気と上手に付き合いましょう
 1970年代から80年代までは、糖尿病が怖い病気だという教え方が主流でした。
 でも最近は、「糖尿病は上手に付き合えば豊かな人生が送れますよ」という、患者さん達の心を支える教育法が注目されています。糖尿病が怖いのではなくて、放置されているということが怖いことなのです。
 糖尿病が早く見つかって、病気のことをよく知っている専門医にかかりますと、健康長生きの食事の仕方、運動の取り組み方、ガン、脳卒中、心筋梗塞などの生活習慣病を予防する生き方が学べます。
 糖尿病は放っておくととても怖い病気です。でも正しい知識を持って上手に付き合っていけば、健康のまま天寿を全うできる素晴らしい体質でもあります。
 糖尿病といわれて、もうこれで美味しいものを食べてはいけないという誤った考えをされている方もいますが、もう自分の人生は終わったなどとがっかりしないでください。
(群馬県高崎市・清水内科/安倍純先生)