岸田内閣総理大臣が記者会見
原油価格・物価高騰等
総合緊急対策について新型コロナによる国民生活や経済への影響やロシアによるウクライナ侵略などの影響により、原油や穀物の国際価格の上昇や一部の水産物や原材料等の安定供給の滞りがある中、4月26日に政府による原油価格・物価高騰等総合緊急対策が、岸田内閣総理大臣の記者会見で発表されました。概要は左記の通りです。
万全の財政運営に2段階のアプローチ
第一段階は、事業規模13兆円の総合緊急対策。緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするため、4月中に一般予備費、コロナ予備費の使用を閣議決定し、速やかに各種支援策を届けます。
そのうえで第二段階として、6月までに新しい資本主義のビジョンと実行計画、骨太方針2022を取りまとめます。今年の夏の参議院選挙後に、これらを前に進めるための総合的な方策を具体化し、エネルギー分野も含め、経済社会の構造変化を日本がリードしていきます。
さらに、第二段階までの間、新型コロナウイルス感染症の再拡大や、ウクライナ情勢の長期化に伴う石油価格、物価の更なる高騰の可能性など、予断を許さない状況で、今回の総合緊急対策の一環として、5兆円のコロナ感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費の確保や、6月以降の燃料油価格の激変緩和事業を内容とする補正予算を今国会に提出し成立を図ります。対策の4つの柱
①原油価格の高騰への対応
新制度では、基準価格を当面168円に引き下げるとともに、燃料油価格の更なる沸騰にも対応できるよう、補填の上限を35円に引き上げます。仮にガソリン価格が200円を超える事態になっても、市中のガソリンスタンドでの価格は当面168円程度に抑制します。35円を超えて補填が必要になった場合にも、価格上昇分の2分の1を支援し、国内価格の上昇を抑制。対象油種は、ガソリン、軽油、重油、灯油に加え、航空機燃料も対象とします。さらに、タクシー用LPガスにも同様に支援します。このほか、運輸、農林漁業、生活衛生関係営業など、影響が大きい業種への支援を推進します。
②ネルギー・原材料・食料等の安定供給対策
省エネ住宅の支援など、省エネ・クリーンエネルギー利用を一層推進し、輸入資源に極力頼らないエネルギー構造に転換。産業用原材料の調達の多様化。また、輸入小麦については政府が買い付け、国内の製粉会社に売り渡しています。9月までの間、政府の販売価格を急騰する前の水準に据え置き、併せて、輸入小麦から国産の米や米粉、国産小麦への切り換えを支援。漁業については、ロシア産水産物等に代わる原材料の調達を支援するほか、ロシア関係漁業者への支援。木材についてロシアからの輸入を一部禁止したことを踏まえ、国産材の活用を支援します。
③中小企業支援
引き続きエネルギーコスト、原材料費、労務費等の上昇分を適切に価格に転嫁できるよう、取引の適正化を進めます。公共調達や補助金における優遇措置を設け、賃上げを推進。政府系金融機関によるセーフティネット貸付の金利をさらに引き下げるとともに、実質無利子・無担保融資を9月末まで延長し、資金繰りに万全を期します。
④生活困窮者等への支援
緊急小口資金等の特例貸付など、生活困窮者支援策の申請期限を延長するとともに、低所得の子育て世帯に対し、子ども1人当たり5万円の給付金をプッシュ型で支給し、生活を守るセーフティネットを強化。
地方創生臨時交付金を大胆に拡充し、1兆円の原油価格・物価沸騰に対応した枠を新設します。これにより、国が行う支援策に加え、地方公共団体において、地域の実情に応じて生活困窮者の方々の生活支援や、農林水産業者や中小企業者の支援をはじめ、電気、ガス料金などの物価高騰を受けた生活者や事業者の負担の軽減をきめ細かく行えるようにします。
国民に対し3つの協力を要請
①ワクチン接種の促進
②積極的な検査の活用
③基本的な感染対策の徹底