2021 理事長年頭所感
JASRAC
2022年
理事長年頭所感一般社団法人日本音楽著作権協会
理事長 浅石 道夫謹んで新春のお慶びを申し上げます。
貴連合会ならびに組合員の皆さまにおかれましては、長期間に及ぶ新型コロナウイルス感染症の流行による営業の一時休止など困難な状況下にあっても、カラオケやBGMなどお店での音楽利用の著作権手続きについて、変わらぬご理解とご協力をいただき、心より深く御礼申し上げます。
一昨年来の未曾有のパンデミック下において、飲食業界の皆さまの声とともに、憲法で保障された営業や移動の自由という「私権」の制限について、「補償」とセットで考えなければならないという認識が、国民の間に広く定着しました。私権の一つである「著作権」についても、安易な制限には慎重であるべきという意識が浸透するよう、JASRACは「人に人権 音楽に著作権」というスローガンを主張し続けていきます。
さて1990年代、わが国の文化産業は、コンテンツの利用促進や流通推進を声高に主張し、企業の収益を計る手段として著作権を利用しようとする一派に席巻されました。その結果、「創作の場」が欠け、新たな文化的所産が不断に世の中に創り出されることが文化の発展に寄与するという「著作権法」の設立趣旨をねじまげ、出来合いのコンテンツの使い回しに注力しています。
他方、韓国では1998年、金大中大統領が自らを「文化大統領」と宣言し、文化産業を国家の基幹産業に位置付けました。約20年が経過し、アカデミー賞4部門を受賞した「パラサイト 半地下の家族」、世界的ヒットを生んでいるBTSや「冬のソナタ」に続く放送番組の成功を見ても、国家政策の違いによる結果は明らかです。
この1990年代体制からの脱却のため、JASRACは今年を「文化をわが国の基本に据える元年」と位置付け、わが国発の文化発展に努めてまいります。
末尾となりましたが、今年が皆さまにとって明るい年となることを願うとともに、より一層ご自愛くださいますようお祈りいたします。