2022年 酒類企業社長年頭挨拶
酒類企業社長から年頭挨拶が寄せられました。
紙面の都合上、やむなく割愛させていただいた部分があります。
〝すべてのお客さまに最高の明日を〟
アサヒビールビジョンに
新たなお酒の楽しみ方を提案アサヒビール株式会社
代表取締役社長 塩澤 賢一昨年は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会での日本代表選手団の連日のメダルラッシュに加え、メジャーリーグでは大谷翔平選手がMVPを獲得し、マスターズ・トーナメントでも松山英樹選手が優勝するなど、日本人選手の活躍が目覚ましい1年でした。改めてスポーツの素晴らしさに感動するとともに、大変勇気づけられました。
一方で、新型コロナウイルス感染拡大により大変厳しい1年でもありました。
私たちは全社一丸となり、すべてのステークホルダーの皆様との強固な共創関係を構築していくことにより、新たな価値を創出していきたいと考えています。
当社は、長期経営方針“Value経営への変革”の取り組みを加速していくために、昨年よりアサヒビールビジョンを“すべてのお客さまに、最高の明日を。”と定め、主力ブランドの価値向上と新カテゴリーの創出を通じて、新たなお酒の楽しみ方を提案してまいりました。
主力ブランドの「スーパードライ」では、開栓するときめ細かい泡が自然に発生し、飲食店のジョッキで飲む樽生ビールのような味わいが楽しめる『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』を発売。また“マルエフ”の愛称で親しまれ、飲食店で樽生のみを展開していた『アサヒ生ビール』の缶を発売し、飲食店と連動したプロモーションを展開することで、「ぬくもり」「優しさ」といった情緒的価値を訴求。ともに想定を上回るご好評をいただき一時休売でお客様ならびにお得意先様には、多大なご迷惑をおかけしました。本年は供給体制を強化してまいります。
飲食店では、外食ならではの「最高の樽生ビール」をお客様に体感いただくために、飲食店の皆様とともに樽生品質向上の取り組みに注力しました。また、クリーミーできめ細かい泡や氷点下の生ビールを楽しむことができる家庭用生ビールサービス『THE DRAFTERS(ドラフターズ)』を開始。さらに、健康志向の高まりを背景に、糖質ゼロの『アサヒスタイルフリー〈生〉』は前年売上を大きく上回りました。本年も驚きや喜びを体感いただけるような価値を次々と創出できるよう取り組んでまいります。
サステナビリティにおける取り組みでは「責任ある飲酒」「環境」「食の安全・安心」「コミュニティ」「人」の5つを重要課題とし、すべてのお客様の幸せな未来に貢献できるよう活動を強化しています。最も注力する「責任ある飲酒」をさらに推進していくために、飲む人も飲まない人もお互いが尊重し合える社会の実現を目指す「スマートドリンキング」を提唱しています。昨年は、この「スマートドリンキング」の考え方に基づき、アルコール分0・5%の“微アルコール”ビールテイスト飲料「ビアリー」やアルコール分0.5%と3%のハイボール「ハイボリー」を発売することで、お客様がそれぞれ自分のペースで心地よい時間を楽しめる選択肢を提案しました。
また、お客様が自身に適したアルコール商品を選択しやすいよう、主な商品に含まれる純アルコール量(g)をホームページ上で開示するとともに、缶体への表記を開始。本年も引き続き、新たな商品やサービスの開発、環境づくりを推進し、さまざまな状況や場面における飲み方の選択肢を拡大することで“期待を超えるおいしさ、楽しい生活文化の創造”を目指します。
喫緊の課題となっている「環境」に対する取り組みでは、事業活動における環境負荷ゼロ(ニュートラル)を目指すとともに、独自技術や知見を生かした新たな環境価値創出(プラス)に挑んでいます。昨年から容器・包装資材の削減を目的に、紙の面積を約8割削減した日本初の新資材「エコパック」や国産では最軽量となる202径アルミ缶蓋のテスト製造および販売を実施しており、ともに2023年からの本格展開を目指しています。これらの取り組みに加え、さまざまな活動を通じて「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献するとともに、持続可能な社会の実現を目指していきます。
強固なブランド体系の構築と
新たな成長エンジンの育成を掛け算し
お客様に愛される企業へキリンビール株式会社
代表取締役社長 堀口 英樹年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。また、旧年中のご愛顧と格別のご支援に心から厚く御礼を申し上げます。
昨年は、一昨年に引き続き、長期化する新型コロナウィルス危機への対応を軸に経済・社会が変動し、個人や企業はコロナ禍がもたらす様々な環境変化を乗り越えていく方策を必死に模索せざるを得ない一年でした。緊急事態宣言等が解除された昨年10月以降は、経済全体が緩やかな回復基調にあるものの、コロナ禍の収束がまだ見通せない中、当面はコロナ対応と経済活性化をバランスさせていく「ウィズコロナ」環境下の柔軟な対応や挑戦が求められると思います。リモート手法を活用した就労・就学環境の変化、家庭内消費の拡大や健康志向の顕在化、消費志向の二極化の進展など、今後の事業展開を進める上で極めて重要なファクターだと考えています。
酒類業界をみますと、昨年は年初からコロナ禍による外出・営業自粛が間断なく続き、飲食関連市場は一昨年同様に極めて大きな打撃を受けました。10月以降、外出や営業自粛が概ね解消に向かったことで、需要は徐々に回復の兆しを見せていますが、年間を通した販売規模は残念ながら前年同様に縮小しています。この飲食関連市場の減少分を家庭用市場の伸びで十分には吸収しきれなかった他、RTD・ハイボールへのカテゴリーシフトも継続したことで、ビール類市場全体は2005年以来17年連続の対前年割れとなったと思われます。
このような厳しい環境の中、当社は「お客様のことを一番考えて、お客様に寄り添う」という従来からの一貫した指針に基づいて事業活動を展開しました。また、コロナ禍という未曽有の環境変化に直面したことで、キリンビール社としての存在意義を再認識し、「世のため人のために取り組み、世の中に笑顔と幸せをもたらしたい」という想いをあらためて強くしました。このようなマインドに、「強固なブランド体系の構築」「新たな成長エンジンの育成」という戦略を掛け算して成果を創出し、お客様から最も愛される会社を目指してきました。
特にビールでは、2026年のビール類酒税一本化以降も愛される強固なブランド体系を構築すべく、定番カテゴリー「一番搾り〈生〉」、そして高付加価値カテゴリーとして「スプリングバレー 豊潤〈496〉」等のクラフトビール商品のブランド強化に注力しましたが、コロナ禍による飲食関連市場の縮小の影響が大きく、一昨年に続き前年を割り込む結果となりました。
本年も、お客様のことを一番考えて常にお客様に寄り添いながら、お客様の要望や困りごとに事業として果敢に取り組み、自社も一緒に成長するというCSV経営を揺ぎなく一貫して推進していきたいと考えています。そして、「強固なブランド体系の構築」「新たな成長エンジンの育成」という変わらぬ戦略との掛け算で1つ1つ結果を積み上げていきたいと思います。
例えば、昨年から本格的に展開を開始した2タップタイプで小容量の新たなサーバー「TAPPY(タッピー)」は、おいしいビールが提供できる、オペレーションが手軽、商品ロスが少ないなど、飲食業界の困りごとを解決するCSV経営のモデルと考えています。
未だ収束が見通せないコロナ危機はもとより、酒類業界を取り巻く環境は本年も厳しいものと予想されますが、弊社は常に「お客様にもっとも愛され、信頼される会社」になることを目指して挑戦を続けたいと思っています。お客様が求める新たな価値を弛まずに提案し、ビール類をはじめとした酒類市場全体をさらに魅力あるものにすることで、酒類総需要の拡大、そして将来に向けた業界の発展に邁進していく所存ですので、皆様からの一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ではございますが、新しい年が皆様にとって幸多く素晴らしい一年となりますよう
心からお祈り申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。
未来に向け、
新たな「挑戦」の年にサントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長 新浪 剛史サントリーグループは、「人と自然と響きあう」という企業理念、ならびに理念に基づく「水と生きる」というステークホルダーとの約束の実現を目指し、グローバルにサステナビリティ経営を推進して参りました。現在取り組んでいる水資源の保全やペットボトルのリサイクル、温室効果ガス排出削減など、それぞれの分野で掲げたチャレンジングな目標を、自社だけでなく取組パートナー様とも協働し、強固なバリューチェーンをつくり上げるという強い信念と覚悟を持って臨んで参ります。
コロナ禍によって長らく我慢を強いられてきた多くのお客様が動き始め、すでに繰越需要爆発の兆しが現れ始めています。この好機を決して逃さず、ぜひ今こそ失敗を恐れずに、これまでの悔しさを新たな挑戦の力に変えていきたいと思います。
サントリーグループは、世界で最も信頼され、愛される、オンリーワンの食品酒類総合企業を目指し、本年も〈飲料・食品〉〈酒類〉の両セグメントを中心に国内外で積極的な事業展開を行って参ります。
〈飲料・食品セグメント〉
サントリー食品インターナショナル(株)の国内事業は、本年も主力ブランドを中心に、商品開発から飲用時まで品質にこだわった新たな価値の提供と積極的なマーケティング活動を展開し、事業拡大を目指します。お客様の嗜好・ニーズを捉えた上質でユニークな商品を提案し、お客様の生活に豊かさをお届けするという考えのもと、ブランド強化や新規需要の創造に注力し、品質の向上に取り組んで参ります。
〈酒類セグメント〉
サントリースピリッツは、ウイスキーでは「角」をはじめとする各種ハイボール缶が好調に推移しました。
本年も引き続き、戦略ブランドを中心にさらなるブランド育成・強化を図るとともに、絶えざる新需要の創造に取り組むことで、スピリッツ分野のリーディングカンパニーとして更なる事業成長を目指します。
サントリービールは、“日常のちょっとした贅沢”としての「ザ・プレミアム・モルツ」、“季節によって味わいを変える” 「金麦」、“健康を気遣いながらリフレッシュできる”「オールフリー」など、各ブランドのバリューアップと新価値を提案して参りました。
ビール事業は、サントリーのDNA「やってみなはれ」精神の象徴として、本年も高品質なものづくりと最高のおいしさを追求するとともに、新たなビール類の価値創出に挑戦して参ります。
サントリーワインインターナショナルは、本年は日常的にワインを楽しんでいただけるよう新たな価値提案を行うと共に、ワイン事業のリーディングカンパニーとして幅広い商品の提案や積極的な情報発信を行って参ります。
“世界で最も信頼され、愛される、オンリーワンの食品酒類総合企業”を目指す、“やってみなはれビジョン2030”という目標の実現に向け、本年は組織を大きく改編いたします。1月1日に、新生サントリービバレッジソリューションを立ち上げました。自動販売機ビジネスで、「ヒトの力」と「デジタル技術」を融合し、お客様にあらたな価値を提供して参ります。7月には、国内酒類事業のビール、スピリッツ、ワインのカテゴリーの垣根を超え、マーケティング部門、営業部門、生産部門、研究開発部門を束ねた“サントリー株式会社”が新たに誕生します。2023年のビール類酒税改正や、昨今のお客様のお酒の楽しみ方の変化を大きなチャンスと捉え、国内酒類事業が一体となり、市場を大きく牽引して参ります。
サントリーは、これまでザ・プレミアム・モルツでプレミアムビール市場を、角ハイボールでハイボール市場を創り上げたように、前例のない発想と挑戦、「やってみなはれ」精神で新たな道を切り拓いて参りました。大きな夢を描き、従来の枠に囚われない大胆な発想と考動で次々とイノベーションを起こしていく。そしてお客様に新たな価値・おいしさ・楽しさを提案し、酒類の新たな価値や文化を創造して参ります。
あらゆるシーンでの乾杯を
もっとおいしくできるよう
新たな挑戦を続けるサッポロビール株式会社
代表取締役社長 野瀬 裕之2022年を迎えるにあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年も新型コロナウイルスに翻弄され、様々なことでの制約が継続し、特に業務用市場においては一昨年以上に影響を受けた1年となりました。ご関係者の皆様におかれましては、ご苦労がいかほどであったかと拝察いたします。また、影響を受けられた皆様方に心からお見舞いを申し上げます。2022年も予断は許しませんが、withコロナ、afterコロナを見据え、お客様にとって魅力のある・価値のある提案を行っていく所存です。宜しくお願い申し上げます。
昨年、当社は経営ビジョンである「誰かの、いちばん星であれ」を揺るぎない軸として、お客様に熱狂的なファンになっていただくための取り組みを意味する「いちばん星マーケティング」を社内の合言葉に、新しいお酒のカイタクや、そのベースとなる構造改革や経営基盤の強化に取り組むことで着実な成果に繋げてきました。
国内事業におけるビールカテゴリーでは、戦略をぶらさず既存ビールブランドの強化に注力してきました。その結果として確実にファンを増やし家庭用市場において「サッポロ生ビール黒ラベル〈缶〉」が7年連続で前年越えを達成、業務用市場でも引き続き「サッポロラガービール(通称“赤星”)」が根強い支持を頂戴しました。
新ジャンルカテゴリーでは、「サッポロ GOLD STAR」が国内外で3つの賞を受賞する等、高い評価を頂戴して前年越えを達成しました。RTD(注1)・RTS(注2)ではお客様に“おうち居酒屋”を楽しんで頂ける「サッポロ 男梅サワー」「サッポロ 濃いめのレモンサワー」が年間計画を達成する等大きく成長しRTD・RTS カテゴリーを牽引しました。新しいお酒のカイタクとして微アルコールのビールテイスト飲料「サッポロ The DRAFTY」を新カテゴリーとして発売し、高いリピート率を達成し着実な成長を見せています。
海外事業においては、カナダで支持されている RTD ブランド「SoCIAL LITE」をグループに迎えてRTD事業強化を行い、アメリカでは「SAPPORO PREMIUM BEER」が存在感を高め業績を支えました。
2022年も引き続き変化の多い年になることが予想されますが、人々の生活様式の変化を捉えながら、流通・外食のお得意先様と共に“あらゆるシーン”での乾杯をもっとおいしくできるよう、新たな挑戦をしていく所存です。ビールについては、黒ラベル・ヱビスブランドを軸とした「物語のある」個性的なブランドを成長させていきます。RTD・RTS については引き続き既存ブランドに注力すると同時に、AIを活用したRTD 商品開発スキームで効率的かつ新規性のある商品開発に取り組みます。ワイン・スピリッツについては情報発信の強化によるファンの拡大や新領域へ挑戦して参ります。
また、そのような事業を通じて、お客様の課題・社会の課題を解決できる酒類メーカーであり続けたいと考えます。「責任ある飲酒の推進」として昨年はHPへの純アルコール量表示を開始し、缶体への表示も一部商品から順次開始しています。「循環型社会構築」のために昨年サッポログループとして策定したプラスチック方針に則り、ワンウェイプラスチック製の広告品やペットボトル容器についても段階的に削減に取り組んでまいります。本年もこのような活動を通じて「新しい楽しさ・豊かさを、お客様に発見していただけるモノ造りを」追求し続ける所存です。引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
(注1)Ready to Drink の略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料。
(注 2)Ready to Serve の略。氷やソーダなどで割るだけで楽しめるお酒。