越した行動力と指導力で生活衛生業を牽引された
田中清三元全飲連会長が永眠されました
令和3年2月24日、元全飲連会長の田中清三さんが肝細胞癌のため永眠されました。田中さんは、卓越した見識をもち人の和を重んじる温厚で誠実なお人柄。行動力と指導力に富み、飲食業者の信望も極めて厚く、組織運営を円滑に推進されました。大阪府飲食業組合理事長を22年間、全飲連会長を8年間、全国生活衛生同業組合中央会の理事長・副理事長を6年にわたり務めるなど大変な重責を担われ、飲食業界のみならず広く生活衛生業界の発展に寄与されました。
田中さんのご冥福をお祈り申し上げます。
全国飲食業生活衛生同業組合連合会における功績
昭和63年より副会長と全国大会委員長を兼務すると、全国大会を連合会の一大事業として位置づけ、業界が標榜する目的及び諸問題の解決のためのスローガンを掲げました。全国から参加する全国各組合関係役員及び組合員が一堂に会し、決起、採決するものであり参加者も当時は三千五百名を超えました。以来、組合員相互の融和と団結、情報交換及び地域の食文化継承や観光振興に大きなイベントとして毎年継続されています。全国大会運営に12年間の永きにわたり情熱を注いだ氏の功績が語り継がれています。
また、全国における末端地域組合の業界に対する要望や山積する諸問題に熱心に耳を傾け、これらを中央に反映させるため持ち前の分析力と優れた行動力により会長に助言提言を行う等、問題の解決に全力を尽くしました。
さらに平成12年6月、当時の戸塚会長の勇退を受け、全国総会において満場一致で連合会第九代会長に推挙されました。一般飲食店営業標準約款制度検討特別委員会を発足させ、先発である理容業、美容業、クリーニング業の制度等を参考として、飲食業としての業の活性化に取組みました。
平成13年より創設された生活衛生営業振興推進事業では、その時代の飲食店への消費者ニーズを的確に捉えた事業の実施を自ら提案。地域福祉事業への参画推進ガイドラインの策定や、食品リサイクル推進事業、衛生管理マニュアルの策定、受動喫煙防止対策事業、外食における原産地表示の実施、食事バランスガイド等を推進するため、個々の組合員の営業実態に合わせた積極的な導入を実施できるよう配慮しました。その全国的な普及拡大を行った実績は今なお高く評価されています。社団法人全国生活衛生同業組合中央会における功績
平成12年7月から理事、平成14年7月から平成18年6月までの4年間は副理事長の要職にありました。中央会の各種事業の遂行並びに税制改正要望の実現、生衛組合の組織強化及び財政基盤の強化などに尽力するとともに、中央会を組織する16業種の会員団体の中では最大の組合員を擁する全国飲食業生活衛生同業組合連合会から選出された役員として中心的役割を果たしました。
平成18年7月には理事長の職に就き、以後退任する平成20年6月まで、19年度税制改正における特殊支配同族会社の役員給与損金不算入の適用除外基準の引上げ、飲食店業に係る中小企業等基盤強化税制の延長など、小規模零細な事業者が多くを占める生衛業界の各種要望の実現や様々な問題解決に尽力しました。
特に、国民生活金融公庫を含む4政策金融機関の統合に係る政策金融改革では、中央会理事長として業界団体の意見を取りまとめ、積極的な陳情活動等を展開した結果、平成19年2月に国会提出された「株式会社 日本政策金融公庫法案」では、①目的規定の国民一般の中に生活衛生関係営業者を含む、②業務の範囲として生活衛生資金貸付を明記、③資金計画において生衛の貸付予定額の合計額を明確化するとともに、自民党の「政策金融改革に関する合同部会」(19年2月)においては、新公庫の創立にあたり生活衛生資金貸付を着実に承継すること、新公庫の運営に当たっては利用者の利便性や不安感の払拭に十分配慮する方針が確認されました。
さらに、18年12月に急遽再浮上したパートタイム労働者に対する厚生年金適用の拡大問題において、「経営に大きな打撃となり、事業の存続自体が危うくなるため反対である」との決議を取りまとめました(平成19年1月12日)。そして厚生労働省社会保障審議会年金部会のワーキンググループによる業界団体等ヒアリング等に出席して、生衛業界の実態等を説明、厚生年金適用拡大に反対する意見を陳述するとともに関係方面へ精力的に働きかけました。
その結果、適用となるパート労働者は限定され(週所定労働時間20時間以上、勤務期間1年以上、月額賃金98000円以上など)、また、従業員300人以下の中小零細の適用事業所には、別に法律で定める日までの間、その適用を猶予する経過措置が設けられることになりました。
このように、田中氏の業界の振興発展に寄与された功績は多大です。
■田中 清三(たなか・せいぞう)
昭和3年6月10日、大阪府大阪市天王寺区生まれ。昭和22年に大阪観光株式会社専務取締役、道頓堀土地建物株式会社の専務取締役を経て平成元年に代表取締役に就任。平成12年に全国飲食業生活衛生同業組合連合会会長に就任。組織名称変更後、平成20年6月まで務める。昭和61年2月に大阪府飲食業環境衛生同業組合理事長に就任、平成13年1月に組織名称変更後、平成20年5月まで務める。平成18年7月から平成20年6月まで(一社)全国生活衛生同業組合中央会理事長を務める。その他、(財)全国生活衛生営業指導センター、(一社)食品衛生協会、大阪府食品国民健康保険組合等の役員や理事等を歴任。受賞歴
昭和63年5月 大阪府知事表彰(保健衛生功労)
昭和63年10月 厚生大臣表彰(環境衛生功労)
平成元年11月 藍綬褒章(環境衛生功労)
平成14年5月 大阪市長表彰(生活衛生功労)
平成20年4月 旭日小綬章