2021年 酒類企業社長年頭挨拶
酒類企業社長から年頭挨拶が全飲連に寄せられましたので、掲載させていただきます。
「期待を超えるおいしさ、
楽しい生活文化の創造」に向けてアサヒビール株式会社
代表取締役社長 塩澤 賢一昨年は、ライフスタイルが劇的に変化し、想定外の事象などに対しても柔軟かつ迅速に対応していくことの重要性を改めて感じております。私たちは全社員が想いを一つとし、すべてのステークホルダーの皆様との強固な共創関係を構築していくことにより、この世界的な変化の中でも、新たな価値を創出していきたいと考えています。
当社は、グループ理念“Asahi Group Philosophy”で掲げるミッション「期待を超えるおいしさ、楽しい生活文化の創造」の実現に向け、昨年から長期経営方針を「“Value経営”への変革、お客様にとっての価値や新市場の創造を目指す」とし、新たな発想で特別な価値や体験の創造を目指しています。
主力の『アサヒスーパードライ』は、ビール飲用価値の再発見と特別な飲用体験を演出する様々な取り組みを展開することで、ビール需要の活性化を図ってまいりました。コロナ禍においても、“史上最高のスーパードライ”や“工場できたてのビール”が自宅で楽しめることの訴求を強化。外飲みにおいても、家庭では味わえない「最高の樽生ビール」をお客様に体感いただくために樽生品質向上の取り組みに注力してまいりました。
また、「ビール=みんなで楽しむ、人と人の心がつながる」を訴求するオンラインイベント「ASAHI SUPER DRY VIRTUAL BAR」を実施し、ビールを通じた新しいコミュニケーションを促進。昨年以上に、消費者参加型のデジタル施策を展開することで、新たな飲用者との双方向のコミュニケーションを強化していきます。
新ジャンルでは、昨年3月に発売した『アサヒ ザ・リッチ』において、販売目標を上方修正し、当社の過去10年間のビール類新商品の中で最高売上を更新しました。新たな製法を導入し、“プレミアムビールのような上質さと贅沢感”を目指した新ジャンルとして、デイリープレミアムという新たな価値を提案し、お客様からご好評をいただきました。
成長著しいRTDにおいては、差別化ブランドとして、レモン本来の風味と香りを追求した「アサヒ ザ・レモンクラフト」を発売。製造工程で、レモンピールに含まれるオイル成分を0・01秒の高速で一缶ずつに直接注入する「レモンオイル滴下技術」を初めて導入するとともに、香りを最大限に味わえるよう、口の広いボトル缶を採用。時間をかけてゆっくりと味わえる“ご褒美チューハイ”という新たな価値を感じていただけたと思います。
本年も驚きや喜びを体感いただけるような価値を創出し、“すべてのお客さまに、最高の明日を”ご提供できるよう取り組んでまいりますので、どうぞご期待ください。
昨年、アサヒグループでは新たに「アサヒグループサステナビリティ基本方針」と「アサヒグループサステナビリティビジョン」を策定し、マテリアリティ(重要課題)について刷新。商品の製造においては、グリーン電力を活用することで、再生可能エネルギーの拡大とともにCO2排出量削減に努めています。また、社有林「アサヒの森」の管理面積を拡大し、2025年までに国内ビール工場で使用する水の100%還元(ウォーターニュートラル)の実現を目指しています。さらに、エコカップ「森のタンブラー」などを通じて、使い捨てプラスチックカップの削減に取り組むなど、グループ全体で持続可能で豊かな社会の実現に向け、たゆまぬ努力を重ねていきます。
そして、酒類を扱う企業として「責任ある飲酒」に関する活動を推進し、不適切な飲酒の撲滅と酒類文化の健全な発展を目指しています。
お客様のことを
どこよりも一番考えて、
お客様に寄り添うキリンビール株式会社
代表取締役社長 布施 孝之年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。また、旧年中のご愛顧と格別のご支援に心から厚く御礼を申し上げます。
昨年は、100年に一度と言われる新型コロナウィルスの猛威により、世界的に経済・社会が大きな打撃を受け、急激な環境変化に直面した個人や企業は、その変化に如何に対応していくのかを模索し続けました。
一方、コロナ禍が、社会の行動様式やお客様の意識に大きな変化を促したことも見逃せません。「リモート」活用の拡大による就労・就学環境の変革、いわゆる「巣ごもり」と称される消費形態の出現、外出自粛を背景にした健康志向の急速な顕在化、低価格志向と付加価値を重視する志向が併存する消費の二極化の進展などは、今後の事業展開を考える上で非常に重要な要素になってくると考えています。
酒類業界にもコロナ禍の影響が色濃く反映され、外出自粛や営業自粛の影響を直接に受ける飲食関連市場は、売上・利益ともに大幅に減少する大変な状況に直面していて、大いに心を痛めています。このため、同市場向けのビール大樽・壜商品や洋酒は大幅に 縮小していますが、巣ごもり消費を背景とした家庭用市場は堅調で、ビール類缶商品やチューハイ・ハイボール等のRTD商品は順調に推移しています。
ビール類市場全体をみますと、飲食関連市場の減少分を家庭用市場では十分に吸収しきれなかった他、RTD・ハイボール等へのカテゴリーシフトも継続したことで、残念ながら2005年以来16年連続の対前年割れが確実な情勢となっています。
このようなコロナ禍に翻弄される不確実な状況の中、当社は従来からの行動指針である「お客様のことをどこよりも一番考えて、お客様に寄り添う」マーケティングや営業活動を一貫して実践し、お客様の本音やインサイトを的確に把握してお客様の要望や困りごとに果敢にかつ柔軟に対応することに努めてきました。本年も 現時点ではコロナウィルス感染の終息が見通せない中、引続き様々な環境変化への柔軟な対応が必要になってくると思いますが、当社は、「お客様のことをどこよりも一番考えてお客様に寄り添う」姿勢を貫き、お客様の要望や困りごとに事業として果敢に対応し解決していく、そして自社も一緒に成長するというCSV経営を実践することで、お客様に信頼・支持されるブランドを構築していきたいと考えています。昨年後半に、一部地域でテスト展開を開始した2タップタイプの新たなサーバー「TAPPY(タッピー)」は、商品ロスが少ない、おいしいビールが飲める、手軽なオペレーションが可能という飲食業界の困りごとを解決する新たなビジネスモデル提案の一例だと思っています。
また、加速する消費の二極化の内、特に付加価値を重視する志向への対応については、将来に向けて酒類業界をブルーオーシャンに変革していく意味で重要だと考えています。
例えば、ビール業界を例にとると、1994年に市場がピークを迎えましたが、現在はその4分の3程度にまで規模が縮小しています。当社としては、その間、価格や規模を追いかける一方で、「ビール類をもっと魅力的に」という姿勢が弱かったのではないかと反省しています。これからは、お客様が求める新たな価値を次々と提案し、ビール類をはじめとした酒類全体をお客様にとってもっと魅力のあるものにしていくことが、次なる時代に向けて非常に大事であるとも考えています。
コロナ禍をはじめとして、酒類業界を取り巻く環境は本年も厳しい状況が続くと予想 されますが、当社は常に「お客様に一番愛され、信頼される会社」になることを目指して挑戦を続け、酒類総需要の拡大、そして業界の発展に向けて邁進していく所存ですので、皆様からの一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ではございますが、新しい年が皆様にとって輝く素晴らしい一年となりますよう心からお祈り申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。
「やってみなはれ」の精神で
イノベーションを
巻き起こすサントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長 新浪 剛史本年は、東日本大震災から10年です。サントリーグループは震災直後に「サントリー東北サンさんプロジェクト」を立ち上げ、東日本大震災復興支援活動を行ってきました。今後もお得意様や地域のみなさんに寄り添って支援を行って参ります。
2021年もコロナ影響による不透明な経済環境が想定されますが、一方で新しい経済活動・生活様式も定着していきます。
特に飲食店様、業務用酒販店様はかつてない困難に見舞われました。しかし、飲食店ならではの料理やプレミアムなお酒に対するお客様の期待値は格段に高まっており、「神泡のプレモル」「頂店ハイボール」のおいしさを味わっていただけるように取組んで参ります。
社是にある「人間の生命の輝きをめざし」を原点に、「人と自然と響きあう」を掲げ、お客様に最高品質の商品・サービスをお届けすると同時に、多様な社会や美しい地球環境との共生を実現することを使命として歩んできました。持続可能な社会実現のため「水のサステナビリティ」「脱炭素社会の実現」に取り組んでいます。また、使用済みプラスチック再資源化を目指す共同出資会社「アールプラスジャパン」には、理念を共有する企業が現在まで20社集まり、2027年実用化に向け協業を進めて参ります。
サントリーグループは、オンリーワンの食品酒類総合企業を目指し、国内外で積極的な事業展開を行って参ります。
〈飲料・食品セグメント〉
「サントリー天然水」は発売30年目を迎え、新たに「サントリー天然水 北アルプス水源」をお届けします。また、「サントリー天然水 スパークリング」シリーズは、 無糖炭酸水カテゴリーでさらに新たな価値を提案。「BOSS」は、“働く人の相棒”として、あらゆる働き方や世代を超えて愛されるブランドを、「健康茶シリーズ」では、気軽に、楽しく続けられる“健康生活提案ブランド”を目指します。
〈酒類セグメント〉
ウイスキーでは「トリス」「メーカーズマーク」が、RTDでは「こだわり酒場のレモンサワー」が好調に推移。また、ジャパニーズジン「翠」は、3月の発売以降、日常の食事に合う「翠ジンソーダ」という新たな価値がお客様に好評です。
「ザ・プレミアム・モルツ」ブランドの“神泡”プロモーションの進化や、 “四季の金麦”の展開、リフレッシュしたいというニーズにお応えする「オールフリー」など、お客様に多くの新価値提案をしてきました。また、健康志向の高まりも追い風となり、「金麦〈糖質75%オフ〉」や「からだを想うオールフリー」が好調に推移。国産ワインは「酸化防止剤無添加のおいしいワイン」「デリカメゾン」ブランドが引き続き伸長し、輸入ワインはオーガニックワインが好調に推移しました。
サントリーグループの約束「水と生きる」には、「水を育む環境を守りたい」「社会に潤いを与える企業でありたい」、そして「水のように柔軟に常に新しいテーマに挑戦していきたい」という思いが込められています。
2月1日の創立記念日には、国内食品・酒類事業のほぼ全ての部門が集結する新オフィスを田町に設立。新たな需要創造にスピード感をもって取組むと共に、新たな働き方改革など人・組織・風土改革を加速させて参ります。
創業以来の「やってみなはれ」精神を発揮してイノベーションを巻き起こし、持続可能な社会の実現のために新たな価値を創造し続ける、「Growing for Good」な企業を目指して、今年も取組んで参ります。
「誰かの、いちばん星であれ」
を軸に
お酒と人との未来を創るサッポロビール株式会社
代表取締役社長 髙島 英也2021 年を迎えるにあたり、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響により未だかつてないほどに環境変化の激しい1年となりました。 影響を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
当社としても外食市場の大幅な落ち込みの影響を受けて業務用商材の売上に苦戦しましたが、 2020年を初年度とする新中期計画と、新たな経営ビジョンである「誰かの、いちばん星であれ」を揺るぎない軸として、今できることに集中すると同時に、バリューチェーン全体に関わる構造改革、組織人員体制の見直し等、 経営基盤の強靭化に取り組んできました。
国内事業におけるビールカテゴリーでは、家庭用市場において「サッポロ生ビール黒ラベル〈缶〉」が6年連続で、「ヱビスビール〈缶〉」が2016年以来の前年越えを達成しました。業務用市場においても、独自のストーリーを持つ「サッポロラガービール(通称“赤星”)」が根強い支持を頂戴し市場での存在感を高めました。新ジャンルカテゴリーでは、昨年2月に発売した新商品「GOLD STAR」ならびに「麦とホップ」の2ブランドが「おいしさ」で高い評価を頂戴し、大きく前年越えを達成しました。RTDでは「男梅サワー」が独自の価値をより強固にし、RTS(注)では「濃いめのレモンサワーの素」が家飲み需要拡大の中で高い 評価を頂戴し急成長しました。ワインカテゴリーでは、外食市場における需要減少の影響により特に中高級ワインが 大変厳しい年となりましたが、お客様に支えていただきながら成長にむけて基盤を固めました。
海外事業においても、外食市場への影響から国内同様に苦戦を余儀なくされましたが、家庭用市場に強みを持つカナダのスリーマン社が業績を底支えしました。
2021年は、未だ見通せない現況ではありますが、人々は新しい生活様式の中で、より自分にとって大事なものを問い直し、自分らしい満足を追求することが想定されます。その中でこだわりのあるものには支出を惜しまない「プレミアム消費」と、合理的に賢く消費する「リーズナブル消費」の更なる二極化が進むと思われます。
当社は「誰かの、いちばん星であれ」のもと、「お客様や社会の課題を解決する」ことで新しいお酒の魅力をカイタクし「お酒と人との未来を創る」ことへの挑戦を続けていきます。
また、脱炭素社会の実現に向けて、サステナビリティ経営をより一層強化して取り組みます。それらの取組を通じ、 創業以来140年以上にわたる原料育種からおいしさにこだわった「モノ造り」で培ったブランド資産をさらに磨き上げ、将来に向けた新しい資産を着実に創出し続け、「新しい楽しさや豊かさを、お客様に発見していただける」ことを追求し続ける所存です。引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。注:Ready to Serve の略。氷やソーダなどで割るだけで楽しめるお酒