2020年 酒類企業社長年頭挨拶
酒類企業社長から年頭挨拶が全飲連に寄せられましたので、その概要を抜粋して掲載させていただきます。
東京2020 ゴールド
パートナーとしてアサヒビール株式会社
代表取締役社長 塩澤 賢一アサヒグループは昨年より、新たなグループ理念「Asahi Group Philosophy」を制定し、グループのミッションとして「期待を超えるおいしさ、楽しい生活文化の創造」を掲げ、持続的な企業価値向上を目指しています。この理念を基にアサヒビールでは昨年「基幹ブランドの強化と新需要の創造」をスローガンとし、ビール類市場の活性化を目指してまいりました。
主力の『アサヒスーパードライ』は、中長期のブランドスローガンを「THE JAPAN BRAND」と設定し、“最高品質の提供”と“飲用機会の拡大”に取り組みました。その一環として、製造後翌日出荷の「鮮度実感パック」を発売し、“できたてのうまさ”を実感いただきました。また、びんから直接飲用するスタイルを提案する『アサヒスーパードライ ザ・クール』を発売し、若年層のビール需要拡大を図りました。
新ジャンルにおいて『クリアアサヒ』は、本来の価値である“麦のうまみ”をより実感できる中味へ大幅クオリティアップを実施、昨年1月に発売した『アサヒ極上〈キレ味〉』は、「冴えるキレ」という商品特長が高い評価をいただき、販売目標を2度上方修正し500万箱を達成しました。
ビール類以外の酒類におきましては、洋酒の主力ブランド「ブラックニッカ」は、〈クリア〉〈リッチブレンド〉〈ディープブレンド〉、3商品それぞれの個性に合わせた飲用シーンや飲用スタイルの提案を強化し、7年連続で過去最高売上を達成しました。また、大幅に刷新した「ウィルキンソンRTD」や、日本ワインの「サントネージュ」ブランドが前年を大きく上回りました。甲乙混和焼酎の「かのか」ブランドでの飲み方提案や「ドライゼロ」ブランドでの新たな飲用シーンの提案をはじめ、各カテゴリー市場におけるプレゼンス向上に取り組みました。
いよいよ本年、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。当社は、ビールメーカーで唯一の「東京2020ゴールドパートナー」として、オフィシャルビールである『アサヒスーパードライ』の魅力を全世界へ発信し、世界で一番愛されるブランドを目指します。新たなブランドメッセージを「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」とし、お客様が「ビールっていいな」と心から感じていただける最高の瞬間を創造し、日本を盛り上げてまいります。
また10月には、酒税法改正が控えています。新ジャンルの税率が上がり、ビールの税率が下がることから、ビールカテゴリーへの関心の高まりが想定されます。当社は、付加価値の高い商品の発売や各種施策により、ビールならではの価値と魅力を創造し続けます。
一方で、環境問題に対しては、事業活動における環境負荷ゼロ(ニュートラル)を目指すとともに、独自技術や知見を生かした新たな環境価値創出(プラス)に挑んでいます。商品の製造にグリーン電力を活用し、再生可能エネルギーの拡大とともにCO2排出量を削減、容器包装の環境配慮をさらに進めることで、持続可能な社会の実現に向けて取組みを強化してまいります。
お客様のことを
一番考える会社でありたいキリンビール株式会社
代表取締役社長 布施 孝之昨年、当社は「お客様のことを一番考える会社でありたい」との想いの下、酒類各分野において主力ブランドに投資を集中し、お客様のニーズに寄り添うマーケティングを展開しました。
ビール類においては、ビール本来の価値である「おいしさ」にさらに磨きをかけてフルリニューアルした、フラッグシップブランド「キリン一番搾り生ビール」が大変好調でした。また、ラグビーワールドカップ2019TM大会のワールドワイドパートナーである「ハイネケン」は販売数量が急拡大し、スポーツを通したビール市場の活性化にも大いに貢献できました。
新ジャンル「本麒麟」は、発売2年目となる昨年さらに大きく伸長し、大型商品に成長しました。
「ビール市場の魅力化」を目指し注力するクラフトビールに関しては、「クラフトビールをカジュアルに身近に楽しんでいただく」との想いで開発したタップマルシェが、昨年末段階で1,3000店を超える料飲店で取扱いをいただいています。提供品種も通年品で13ブルワリー27銘柄となり、様々なビールのおいしさを楽しんでいただく機会が広がっています。
RTDについては、主力ブランド「氷結®」が新機軸の提案で間口が拡大、ブランド価値の再浸透が進みました。「果汁とお酒だけ」という独自の価値を持つ「本搾り」、発売2年目を迎えた高アルコール系「キリン・ザ・ストロング」もお客様の強いご支持をいただきました。
さて、本年については「お客様のことを一番考える会社でありたい」という想いで、現場と本社の一体感を更に強め、さまざまな変化への対応に果敢に挑戦。お客様・地域への密着度を一層高めていきます。
具体的には、2026年のビール類酒税一本化を視野に、「一番搾り」「本麒麟」をはじめとする主力ブランドの基盤を強固にしていくこと、クラフトビールへの取組みを加速してビール市場の活性化に貢献していくこと、そして、健康志向や地域活性化、物流環境や労働環境の改善など社会の諸課題に、事業として積極的に取組みを行うCSV経営を実践していくことです。
CSVの実践に関しては、ホップの生産者支援とホップを核にした地域活性化の取り組み、弊社の特許技術「熟成ホップ由来苦味酸」を商品化して、「お腹まわりの脂肪を減らす」という健康志向ニーズに応えたノンアルコール飲料「カラダFREE」(機能性表示食品)の発売、持続可能な物流環境の実現に向けた「ホワイト物流」自主行動宣言への取組みなど既に開始しているものもありますが、本年はさらに活動の幅を広げていきます。
サステナブル経営を推進する
Growing for Goodな
企業を目指してサントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長 新浪 剛史現在、サントリーグループは、〈食料・食品〉〈酒類〉の両セグメントを中心に国内外で事業を展開しています。
「BOSS」は、缶コーヒーのマーケティング活動を積極的に展開したことに加え、「クラフトボス」シリーズが伸長しました。無糖茶カテゴリーでは、「GREEN・DA・KA・RAやさしい麦茶」販売数量が大きく伸長し、特定保健用食品「特茶」や機能性表示食品「伊右衛門プラスコレステロール対策」等で積極的なマーケティング活動を展開しました。
「自動販売機ビジネスの事業構造変革」に取組み、「高付加価値・高収益モデルの確立」「SCMの構造革新」は、着実に成果が出つつあります。
本年も、お客様の嗜好・ニーズを捉えた上質でユニークな商品を提案し、お客様の生活に豊かさをお届けするという考えのもと、ブランド強化や新規需要の創造に注力し、品質向上に取り組んでいきます。
サントリースピリッツ㈱は昨年、ウイスキーでは「角瓶」「ジムビーム」「トリス〈クラシック〉」「メーカーズマーク」が、RTDでは「196℃ストロングゼロ」や「ほろよい」「こだわり酒場のレモンサワー」、ハイボール缶などが好調に推移しました。お客様により一層おいしいお酒をお楽しみいただくため、商品開発から飲用時まで品質にこだわった活動に取組むとともに、新たな価値を提供する新商品を発売する等積極的なマーケティング活動を展開します。
サントリービール㈱は昨年、「ザ・プレミアム・モルツ」ブランドの“神泡”マーケティングの加速、「金麦」ブランドの13年目にして初の大刷新リニューアルと、“本格コク系”「金麦〈ゴールド・ラガー〉」発売、「オールフリー」ブランドの“高機能系”「からだを想うオールフリー」発売など、ビール類の新たな需要創造に挑戦しました。
本年も、真摯に高品質なものづくりと最高のおいしさを追求し、新たなビール類の価値創出などイノベーションに挑戦していきます。
サントリーワインインターナショナル㈱は、国産ワインで“酸化防止剤無添加”ブランドが引き続き伸長し、輸入ワインはEPA対応の欧州産ワインが好調に推移しました。本年は、2月に国産ワイン「ファイブ・セレクト・レゼルブ」を発売、本格的な味わいと日本人の味覚に合った飲みやすさを訴求します。シニア世代にも若い世代にもワインを楽しんでいただける新たな接点を拡大し、需要創造に取り組んでいきます。
今後とも、弊社はそのDNAともいうべき“やってみなはれ”精神を発揮し、すべての事業において、更なる成長を実現したいと考えています。
また、創業の精神である『利益三分主義』に基づき、引き続き、文化・社会貢献、環境活動などに積極的に取り組んでいます。
サントリーグループのコーポレートメッセージ「水と生きる」には、「水を育む環境を守りたい」「社会に潤いを与える企業でありたい」、そして「水のように柔軟に常に新しいテーマに挑戦していきたい」という思いが込められています。企業理念「人と自然と響きあう」のもと、持続可能な社会の実現のために新たな価値を創造し続ける「Growing for Good」な企業を目指して、今年も取り組んでまいります。
お酒と人との未来を創る
酒類ブランドカンパニーサッポロビール株式会社
代表取締役社長 髙島 英也昨年は、改元や消費税増税及び関税の引き下げ、相次ぐ自然災害など日本経済に影響を及ぼす環境変化の激しい1年となりました。その中で当社は中期計画で掲げた「ビール強化」を一貫した戦略として取り組んできました。
ビール強化の軸である「サッポロ生ビール黒ラベル」は、継続したキーメッセージやブランド体験が奏功し、缶商品が5年連続で前年超えとなる見込みである他、「サッポロクラシック」や「サッポロラガービール」でも継続的な伸長を果たせております。
ワインでは、ファインワイン「テタンジェ」「ペンフォールズ」が順調に成長しております。また、更なる成長が見込まれている日本ワインを多くのお客様にお届けするために「グランポレール北海道北斗ヴィンヤード」を2019年5月に開園し、良質な原料ぶどうの確保を目指します。
RTDでは「99.99(フォーナイン)」が一昨年からの好調を継続し、RTS新商品である「濃いめのレモンサワーの素」では計画比約180%超えを見込んでおります。
輸出事業では、昨年黒字化を果たしたベトナムで継続した露出展開強化を行い、輸出を始動した中国をはじめ、アジア諸国やEUにおいてもSAPPOROブランンドを拡げてまいります。
2020年は、東京2020オリンピック・パラリンピック開催、改正酒税法施行など大きな転換点が想定されつつ、こだわりのあるものには支出を惜しまないプレミアムな消費と、合理的に賢く消費するリーズナブルな消費を使い分けるという消費行動の変化が、より進展していくものと思われます。当社は「お酒と人との未来を創る酒類ブランドカンパニー」を目指し、圧倒的な「プレミアム価値」と「リーズナブル価値」の追求により、存在感を発揮していきます。また、一部製品の賞味期限延長や旬表示から製造年月表示への変更をはじめ、サステナビリティ経営をより一層強化して取り組んでまいります。
私たちは、創業以来140年以上にわたる原料育種からおいしさにこだわった「モノ造り」で培ったブランド資産をさらに磨き上げ、将来に向けた新しい資産を着実に創出し、これからもより一層お客様の楽しく豊かな生活に貢献してゆく所存です。引き続きのご支援を、よろしくお願い申し上げます。