2019年 酒類企業社長年頭挨拶

酒類企業社長から年頭挨拶が全飲連に寄せられましたので、その概要を抜粋して掲載させていただきます。

 

 

お酒ならではの価値と
魅力を創造し続ける

アサヒビール株式会社
代表取締役社長 平野 伸一

 当社は昨年「イノベーションの推進による新たな価値創出で№1戦略の深化を目指す!」という方針のもと、需要の創造に取り組みました。
 主力のビールでは、冷涼感をさらに強化した「アサヒスーパードライ 瞬冷辛口」が通年商品として年間計画を突破するなど、好評をいただきました。グローバルプレミアムブランドである「ペローニ・ナストロ・アズーロ」「ピルスナー・ウルケル」「グロールシュ・プレミアム・ラガー」、そして高品質なこだわりのビールブランド『TOKYO隅田川ブルーイング』は高い価値が認められております。
 また、新ジャンルでは「クリアアサヒ プライムリッチ」を大幅にリニューアルするなど、『クリアアサヒ』ブランドとしての提供価値を広げてきました。
 ビール類以外の酒類におきましては、RTDは果実2分の1個分以上の果汁を使用した『贅沢搾り』が高い評価をいただき、洋酒は主力の『ブラックニッカ』ブランド、『ジャックダニエル』を中心に引き続き伸長しました。焼酎は甲乙混和№1ブランド『かのか』、本格芋焼酎『金黒』が伸び、ワインでは日本ワインの『サントネージュ』や『摘みたての贅沢』ブランドも前年を上回り好調です。そしてノンアルコールビールテイスト飲料では、7月に発売した『アサヒ ドライゼロスパーク』の高炭酸が若い世代を中心に高く支持されるなど、各カテゴリー市場における存在感を高めるとともに、新価値を創出することで多様化するお客様のニーズにお応えできたと思います。
 当社は長期ビジョン「お客様の最高の満足のために お酒ならではの価値と魅力を創造し続ける」を掲げてスタートします。
 発売30年以上経過したロングセラーブランド「スーパードライ」は、その原点に立ち戻り、さらなる品質価値向上にも挑戦し続けます。全国規模のサンプリング活動により、若い世代の方々にも特徴である「辛口」を実感していただくことで、「スーパードライ」の存在感を高めてまいります。
 新ジャンルでは『クリアアサヒ』ブランドに注力した活動を展開するとともに、新たな価値を提供する商品を発売し、ビール類市場を盛り上げてまいります。その他のカテゴリーにおいても、選択と集中によりコアブランドを育成するとともに、次なる成長の柱の創出を目指していきたいと考えております。
 さて、本年は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の前年となり、さらなる盛り上がりが期待されます。ビールメーカーで唯一の「東京2020ゴールドパートナー(※)」として、大会エンブレムを記載した「555mlジョッキ」の取扱店や「東京2020大会応援デザイン商品」などの規模を拡大することで、大会の成功および選手の活躍を応援していきます。
 また、欧州産ワインの関税撤廃や、消費税増税が予定されるなど、酒類業界への影響がある中に、私たちならではの価値と魅力を創造し続け、お客様の最高の満足を追求したいと考えております。
※対象カテゴリーは、ビール類、ワイン、ノンアルコールビールテイスト飲料


 

 

お客様に一番支持される
会社を目指して

キリンビール株式会社
代表取締役社長 布施 孝之

 昨年は、自然災害が相次ぎ、生産や物流をはじめとした経済諸活動に少なからぬ影響が生じた他、 世界経済も貿易問題を中心として不安定な様相を呈しましたが、雇用・ 所得環境の安定を背景にして、国内経済全般は緩やかな成長を継続しました。しかしながら、消費マインドは一律には上昇せず、二極化が顕在化する個人消費全体は未だ停滞から抜け出せずにおり、全般的なデフレ化傾向は依然続いている状況です。
 当社は、「お客様のことを一番考える会社でありたい」と、酒類各分野において主力ブランドに投資を集中したマーケティングを展開しました。
 ビール類においては、フラッグシップブランド「一番搾り〈生〉」で「おいしさ」を訴求することを軸としたブランド基盤の強化を図り、缶商品について前年を上回る成果を残すことができました。また、新ジャンルカテゴリーでは、ビールに近い味わいを追求した「本麒麟」、および高アルコール市場の創造を目指した「のどごしストロング」を新発売し、共にお客様の大きな支持をいただくことができました。特に、「本麒麟」は、当社の過去10年の新商品の中で最大のヒット商品に育ちました。お陰様で弊社の昨年のビール類販売数量は、3年ぶりに対前年プラスに転じることができました。
 「クラフトビールを身近に楽しんでいただく」という想いで開発したタップマルシェが、昨春の全国展開以来、設置店舗数を大幅に増やし、現在約6,000店の料飲店で取扱いをいただいています。提供品種も直近で20アイテムまで拡大し、お客様に様々なビールの魅力を楽しんでいただく機会が拡がっています。
 伸長カテゴリーであるRTDは、主力ブランド「氷結」が過去最高数量となった一昨年並みの販売を維持した他、「果汁とお酒だけ」という独自の価値を持つブランド「本搾り」も大きく伸長。更に、新商品「ザ・ストロング」が年初販売目標を大幅に上回りカテゴリートータルで市場平均を超える成長ができました。
 さて、本年についてですが、お客様・地域への密着度を更に高め「お客様に一番支持される会社」になることを目指していきます。
 具体的には、2026年のビール類酒税一本化に向けて主力ブランドの基盤を更に 強固にすること、クラフトビールへの取組みを軸にしてビールカテゴリーの魅力化と ビール市場の活性化を推進していくこと、そして日々の活動そのものとして社員一人 ひとりがCSVの実践を一段と前進させることです。
 新しい年が皆様にとって素晴らしい一年となりますよう心からお祈り申し上げます。


 

 

新たな価値を創造し続ける
「Growing for Good」な
企業を目指して

サントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長 新浪 剛史

 新しい時代の幕開けとともに人々の心に希望が灯り、消費マインドにも力強さが加わることと思います。
 今日のお客様は確かな価値のあるモノ、自分の嗜好に合致するものには購買意欲が拡大する傾向があります。サントリーグループは、消費者の求める価値を追求し、高い支持を頂戴できる高付加価値の商品を開発・育成することで、引き続き成長を実現してまいります。
 サントリースピリッツ㈱では、戦略ブランドの「角瓶」「ジムビーム」「トリス」「メーカーズマーク」を中心に販売が好調に推移しました。ハイボール缶を含めたRTDも前年を大きく上回る結果を残しました。また、ジャパニーズクラフトジン「ROKU」をソーダ割りで食中酒として訴求したほか、本格的なレモンサワーがご家庭で手軽に楽しめる「こだわりの酒場のレモンサワーの素」を発売するなど、新たな需要の創造に取り組みました。
 サントリービール㈱は、主力製品の「ザ・プレミアム・モルツ」で、“神泡”プロモーションが大変高い評価をいただき、販売も好調に推移しました。「オールフリー」は今年2月のリニューアル以降、新規ユーザーを獲得し、ペットボトル入りの透明な新商品「オールフリーオールタイム」で職場など日中の飲用シーン拡大に取り組んでおります。
 サントリーワインインターナショナル㈱は、国産ぶどう100%ワイン“日本ワイン”の販売が大きく伸長しました。特に「登美 赤 2013」は国際ワインコンクール「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」で日本ワイン(赤)部門最高賞「トロフィー」を受賞しました。また、カジュアルワイン「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。」「デリカメゾン」が伸長しました。
 今後とも、弊社はそのDNAともいうべき“やってみなはれ”精神を発揮し、すべての事業において、更なる成長を実現したいと考えています。
 本年、弊社は創業120周年を迎えます。創業の精神である『利益三分主義』に基づき、引き続き、文化・社会貢献、環境活動などに積極的に取り組んでいます。
 災害の復興支援では、東日本大震災の復興支援活動は累計108億円規模、熊本地震の復興支援活動は累計4億円規模で実施、「平成30年7月豪雨」で被災した岡山県・広島県・愛媛県の3県に対し合計9億円の義損金を拠出しました。
 環境活動では、サントリーグループ「水理念」に基づき、国内の「サントリー天然水の森」約9,000haで水源涵養活動を展開するほか、ベトナムなどで水に関する次世代環境教育、米国やフランスにおいて水源保全活動を実施するなど地域課題に沿った活動をグローバルに進めています。また、ペットボトル開発における当社独自の「2R+B」戦略(Reduce・Recycle+Bio)のもと、容器包装の軽量化や、先進技術によるリサイクル活動を通じ、環境負荷低減活動を継続するなど、環境経営を推進しています。
 弊社は企業理念「人と自然と響き合う」のもと、持続可能な社会の実現を図りながら、新たな価値を創造し続ける「Growing for Good」な企業を目指してまいります。


 

 

環境変化の中、
つかんだ「兆し」を確かな
成長につなげる

サッポロビール株式会社
代表取締役社長 髙島 英也

 2019年を迎えるにあたり、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 昨年は一貫して取り組んできた「ビール強化」、「ワイン事業を第2の柱」へ、そして「RTD事業強化のスピードアップ」をスローガンに掲げ、鋭意取り組みを進めて参りました。しかしながら、ビールテイスト市場からRTD市場への流出に加え、業務用市場におけるリターナブル容器商品の価格改定や夏以降に各地で発生した自然災害などによる消費冷え込みの影響を補い切れず、当社にとっては大変厳しい一年となりました。
 このような中でも、明るい「兆し」はあります。ビール強化の軸である「サッポロ生ビール黒ラベル」は好調に推移し、4年連続で前年超えを果たす見込みです。プレミアム市場が厳しいなか「ヱビスビール」缶も健闘しました。ワインではファインワイン「テタンジェ」「ペンフォールズ」が順調に成長、RTDでは新商品「99.99(フォーナイン)」が当社RTD史上最速で年間販売目標の200万ケースを達成し、11月末に年間販売目標を1・4倍に上方修正しました。
 輸入スコッチウイスキー「デュワーズ」も、日本市場で販売数量第3位の位置に到達しました。さらにサッポロビールとして昨年から始動した輸入事業では、アジア・欧州において、サッポロファンを着実に増やしています。
 2019年は、改元、消費増税、関税引き下げなど昨年以上の変化が予測されます。当社は「ビール強化」を中心とする基本戦略からぶれることなく、環境変化を「成長の機会」と捉え、より一層お客様に向き合い、これまでにつかんだ「兆し」を確かな成長に結びつけていきます。同時に、持続可能な社会の実現に向けたサッポログループの方針のもと、「『酒・食・飲』による潤いの提供」「社会との共栄」「環境保全」「個性かがやく人財の輩出」への積極的な取り組みを通じて社会に信頼されるグループであり続けます。その実現を目指すためにも、健康経営の推進をベースに多様な働き方を促進し、働き甲斐と生産性の向上を図りながら、当社の強みを発揮して参ります。
 私たちは創業以来140年以上にわたる原料育種からこだわった「モノ造り」で培ったブランド資産をさらに磨き上げ、将来に向けた新しい資産を着実に創出し、これからもより一層お客様の楽しく豊かな生活に貢献していく所存です。