No show〈経済産業省〉

飲食業界の課題解決に向け
「飲食店における無断キャンセル」対策レポートを発表

 サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会(平成29年度経済産業省委託調査事業)は、11月1日に飲食店における無断キャンセルへの対策をまとめた「No show対策レポート」を発表しました。
 国内のNo show被害額は推計年間2,000億円にも上り、飲食店の予約全体の約1%弱を占めていると言われています。一度のNo showが飲食店を閉店に追い込む深刻なダメージを与える等、No showは飲食店の生産性向上を大きく阻害しています。
 委員としてNo show問題に精通した弁護士や大学教授、業界団体代表者、飲食店向けITベンダー代表者、オブザーバーとして経済産業省、農林水産省、消費者庁が参加する勉強会が、平成29年度に設立され、議論が行われました。
 勉強会では、No show被害の実態のほか、解決により消費者も予約困難なお店の予約が容易になる等のメリットがあることが報告され、No showを解決するために、No show発生時に受けた損害を予約手法に応じて分類し対応策を整理するとともに、商慣行を是正するための普及啓発活動の重要性が指摘されました。
 また、生産性を向上させるITツールの活用が解決に向けて大きな効果があることが分かりました。
 対策レポートでは、No show問題の解決は事業者と消費者双方の利益となることや、No show発生時に飲食店はキャンセル料を請求できること、飲食店や消費者がNo showを減らすために取り組むべき対策が報告されています。
 今後、民間によるNo show問題解決に向けた普及啓発活動も実施される予定。また、経済産業省はIT導入補助金をはじめとした施策を活用し、IT化を通じた生産性向上・課題解決を支援するほか、関係省庁と連携し、民間事業者が一事業者では解決できない業界全体の課題解決に向けた取り組みを支援していきます。

 

対策レポートより
No show防止に向けて飲食業者の取組みが期待される事項

①予約の再確認(リコンファーム)の徹底
 リコンファームは業務負荷が高く、特に人手不足の中小の飲食店では難しい店もありうる。その点、IT予約システムによるSMSのリコンファームならば業務負担も少なく効果的。また、予約時に連絡先を確実に把握することが大切。No show防止の第一歩として期待される取組み。

②顧客がキャンセル連絡をしやすい仕組みの整備
顧客の中には、キャンセルしようと思っても連絡がつきにくく、結果としてNo showになっている場合もあると想定される。そういったケースを防止するため、キャンセル連絡を受けるための体制や仕組みを整備しておくことも不可欠。リコンファームのSMSにキャンセルボタンを付与する方法もある。

③キャンセルポリシーやキャンセル料の目安を明示
 インターネット上でキャンセルポリシーを明示することに加え、電話予約の場合でも、必要最低限のキャンセルポリシーの説明を行なうべき。IT予約システムを活用した予約内容やキャンセルポリシーの確認SMSを利用する方法も効果的と思われる。

④事前決済や預かり金(デポジット)の徴収等の導入
 宿泊業が行っているように、No showの抑止力の一つとして事前決済や預かり金の導入を検討していく必要がある。海外のみならず日本においても、クレジットカードの事前登録を求める事例がある。予約の人数や金額からNo showが起こった際に一定規模以上の被害の発生が予想される場合、事前決済や預り金の導入も考えられる。


No show防止に向けたIT活用事例

①予約の再確認(リコンファーム)へのショートメッセージサービス(SNS)やメールの活用
 極力低い負荷で適宜(来店3日前、前日、当日朝等)予約の再確認の連絡を入れることが可能。(サービス提供者 例:㈱トレタ、㈱ポケットコンシェルジュ)

②予約の再確認(リコンファーム)連絡へのキャンセルボタンの付与
 「キャンセル連絡をし忘れていた」「キャンセルの電話をしようと思ったが、開店前で電話が通じない」といった事例を防ぐため、例えばリコンファームのSNSやメールにキャンセルボタンを付与しておくことで、顧客がキャンセルをしやすい仕組みを作ることが可能。(サービス提供者 例:㈱トレタ)

③クレジットカード番号の事前登録
 インターネット経由の予約時に、顧客にクレジットカード番号を登録してもらうことで、飲食後の精算業務を省力化できるだけでなく、デポジットの徴収やキャンセル料の徴収が可能になる。No showの抑止が期待できる。(サービス提供者:㈱ポケットコンシェルジュ)

④キャンセルの買い取りと再販(ごひいき予約)
 直前キャンセルによって生じた飲食店の空席をダイナースクラブが買い取り、ダイナースクラブ会員に対して、コミュニケーションアプリであるLINEを通じて飲食店の空席をリアルタイムに告知・再販する仕組みがある。会員は、ポケットコンシェルジュが運営する「ポケットコンシェルジュ」を通じて、予約・決済が可能。(サービス提供者 例:三井住友トラストクラブ㈱、㈱ポケットコンシェルジュ、LINE㈱)