2018年 酒類企業社長年頭挨拶
酒類企業社長から年頭挨拶が全飲連に寄せられましたので、その概要を抜粋して掲載させていただきます。
イノベーションを追求し
新価値創造の商品を展開アサヒビール株式会社
代表取締役社長 平野 伸一昨年は、陸上の桐生祥秀選手や将棋界の藤井聡太四段など、若手の活躍が目覚ましい一年でした。また、日経平均株価が26年ぶりに高値を記録するなど、足元の景気は回復しつつあるようにも思えます。一方で、企業の投資や個人消費は大きく上向いておらず、依然として酒類業界にとっては厳しい状況が続くと思われます。
昨年、当社は、「No.1ブランドの育成と構造改革を通じて国内酒類のリーディングカンパニーを目指す!」という方針のもと、イノベーションを追求し新価値創造型の商品を展開してきました。
主力のビールでは、発売30周年の節目を迎えた『アサヒスーパードライ』において、中長期的なスローガン「乾杯! 心がつながるうまさを、ぞくぞくと。」を掲げ、新たな“飲用機会”と“飲用の場”の創出に取り組みました。
新しい価値として、希少ホップ「ポラリス」を使用し、冷涼感を最大限に引き出した『アサヒスーパードライ 瞬冷辛口』や国産原料を100%使用したギフト限定商品の 『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル』など、お客様から非常に高い評価をいただきました。また、新ジャンルの「クリアアサヒ」ブランドにおいては、大幅に麦芽使用比率を向上させるイノベーションにより、糖質ゼロでありながら麦らしい味わいを楽しめる 『クリアアサヒ 贅沢ゼロ』が、品質・技術ともに高い評価をいただきました。
ビール類以外では、収穫後24時間以内搾汁の果汁のみを使用し、つくりたての美味しさをお楽しみいただけるチューハイ『アサヒもぎたて』が大幅に伸長。無糖チューハイ『ウィルキンソン・ハード無糖ドライ』や『ウィルキンソン・ハード無糖レモン』は、食事中に楽しむ高アルコールチューハイとして、需要拡大に取り組みました。
国産ウイスキーでは「ブラックニッカ」ブランドの限定品『ブレンダーズスピリット』 『クロスオーバー』『アロマティック』は幅広い層のお客様のご支持を頂戴しました。
輸入チリワイン『サンタ・ヘレナ・アルパカ』、ノンアルコール市場では『アサヒ ドライゼロ』など、それぞれのカテゴリーにおいて存在感を発揮。
本年は最終年度となる中期経営計画で掲げている“真の総合酒類 No.1企業”、“国内酒類リーディングカンパニー”を目指し、取り組みを加速させていきます。
ビール類では、主力の『アサヒスーパードライ』、発泡酒『スタイルフリー』、新ジャンル「クリアアサヒ」を、市場における地位を盤石なものにしていきたいと思います。また、4月の酒税法改正に伴い、新たな価値を有する個性的な商品をご提案できるよう努めていきます。
ビール類以外の酒類に関しましては、それぞれのカテゴリーにおいてNo.1、さらにはダントツNo.1を目指してブランドの育成と強化を進めていきます。
世界経済の先行きは依然として不透明感が漂いますが、そうした時だからこそ、従来にはない新しい発想でイノベーションを進め、リーディングカンパニーとして市場を活性化させていきたいと思います。
お客様・地域への密着度を高め
ブランド基盤を強固にキリンビール株式会社
代表取締役社長 布施 孝之当社は、「お客様のことを一番考える会社でありたい」との想いの下、一昨年に好評を頂いた、地元の誇りを共有する「47都道府県の一番搾り」を引続き販売した他、お客様の支持が高まっている機能系分野に新商品「のどごしZERO」を投入、ノンアルコール・ビールテイスト飲料分野に「キリン零ICHI」を新発売する等の取組みをしてきました。また、9月には、2020年に発売30周年を迎えるフラッグシップブランド「一番搾り生ビール」をフルリニューアルし、日本のお客様の繊細な味覚を満足させる、さらにおいしいビールに進化させました。お陰さまで、リニューアル後の「新・一番搾り生ビール」は大変なご好評をいただいています。
「ビールカテゴリーの魅力化」を目指して注力するクラフトビールに関しましては、 2015年に代官山にオープンしたスプリングバレーブルワリーを京都にもオープンした他、米国ブルックリン・ブルワリー社との資本業務提携によるブルックリンラガーの販売も開始し、着実にその規模を拡大しています。 特に、「クラフトビールを身近な料飲店で楽しんでいただきたい」との想いで首都圏にて先行展開したタップマルシェは、昨年初年度でお取扱い店舗が1,000店を超え、今春には全国展開を予定しています。しかし、当社ビール類の3分の1を占める新ジャンルが、6月以降の相対的な価格上昇によるRTDへの消費移行等の影響を受けて前年を大きく割り込んだことで、ビール類合計では苦戦を強いられました。
一方、伸長カテゴリーであるRTDは、主力ブランドである氷結と本搾りが大幅な 伸びを示すなど好調に推移しています。
また、洋酒カテゴリーも市場同様に順調に拡大しています。特に、主力の「ジョニーウォーカー」「ホワイトホース」の両スコッチウィスキーブランドは、前年を大幅に上回って好調であり、国産ブランド「富士山麓」も樽出原酒のおいしさから、堅調な伸びとなっています。
さて、本年についてですが、「お客様のことを一番考える会社へ」という戦略が変わることなく、現場と本社の一体感を更に強め、お客様・地域への密着度を高めるべく諸活動の実行力を一段と向上させていきます。具体的には、昨年フルリニューアルした「キリン一番搾り生ビール」のおいしさをお客様に伝えきることでブランド基盤を更に強固にすること、ビール類・RTD・洋酒の各カテゴリーでお客様に支持される価値を創造し続けること、そしてクラフトビールの取組みを更に進めビールカテゴリーの魅力化を推進することです。そのために、私は先頭に立って、商品・営業戦略のかじ取りを行っていきます。
新たな価値を創造し続ける
「Growing for Good」な
企業を目指してサントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長 新浪 剛史酒類食品市場では、確かな価値のあるモノ、自分の嗜好に合致するものには、お客様の購買意欲も拡大する傾向が見られます。消費者の求める価値を追求し、高い支持を頂戴できる高付加価値の商品を開発・育成することが、成長を実現するための重要な方策であると確信しています。
〈飲料・食品セグメント〉
サントリー食品インターナショナル鰍ヘ、“ナチュラル&ヘルシー”“ユニーク&プレミアム”をキーワードに商品を提案し、ブランド強化や新規需要の創造に注力したほか、収益力強化や品質の向上に取り組みました。
国内事業では、「サントリー天然水」「BOSS」「伊右衛門」「サントリー烏龍茶」を中心とした重点ブランドの強化に加え、自動販売機事業では、オフィス内の飲料需要の取り込みを図りました。
国際事業では、各エリアにおいて重点ブランドの一層の強化やコスト削減等を実施。欧州では、主力ブランドを中心に積極的なマーケティング活動を展開。アジアでも、主力ブランドの強化に加え、営業・流通体制の強化に取り組みました。
〈酒類セグメント〉
ビームサントリー社は、「ジムビーム」「メーカーズマーク」などが好調に推移。世界的な酒類コンペティションで、「響21年」が全エントリー商品の中の最高賞「シュプリーム チャンピオン スピリット」を受賞。日本のサントリースピリッツ鰍ナは 「ジムビーム」が “ビームハイボール”を中心に積極的なマーケティング活動を展開し伸長しました。
サントリービール鰍ヘ、「ザ・プレミアム・モルツ」で、グラスでの飲用を徹底訴求するマーケティング活動を展開。新ジャンルでは 主力の「金麦」ブランドに加え、新商品「頂〈いただき〉」を投入するなど積極的なマーケティング活動を展開しました。
弊社は創業以来、積極的に事業を展開するとともに、創業の精神である『利益三分主義』に基づき、文化・社会貢献。また、『水と生きる SUNTORY』というコーポレートメッセージのもと、社会と自然との共生を目指した活動を展開しています。
熊本地震や東日本大震災の復興支援活動をはじめ、“水”に関わる活動については、国内の「サントリー 天然水の森」約9,000haで水源涵養活動を展開するほか、ベトナムで水に関する次世代環境教育、米国やフランスで水源保全活動を実施するなど現地の実情に応じた活動を推進。また、容器包装の軽量化や、国内飲料業界で初めて構築したボトル to ボトルのメカニカルリサイクルシステムによるリサイクル活動を継続。さらに、国際的な森林管理認証FSC-COC認証を取得するなど、環境経営を推進しています。
コーポレートメッセージ「水と生きる」には、「水を育む環境を守りたい」「社会に潤いを与える企業でありたい」、「水のように柔軟に常に新しいテーマに挑戦していきたい」という思いが込められています。企業理念「人と自然と響きあう」のもと、持続可能な社会の実現を図りながら 新たな価値を創造し続ける「Growing for Good」な企業を目指していきます。
ビール復権宣言をテーマに、
お客様に選んでいただける
企業へサッポロビール株式会社
代表取締役社長 燗 英也昨年は2020年をゴールとした中期経営計画「突き抜ける!」の初年度として、「ビール復権宣言」をテーマにしたビールブランドの強化、ビールに次ぐ「第2の柱」としてのワイン売上拡大に向け、スピードをもって取り組んできました。市場全般においては、酒税法改正に伴う店頭価格の上昇や最盛期の天候不順も重なり、大変厳しい環境となりました。
そのような中でも、当社は発売40周年を迎えた「サッポロ生ビール黒ラベル」が好調で、3年連続で前年超えを果たし、特に缶製品では前年比2桁増を達成するなど、「ヱビスビール」や「サッポロラガービール」などを含めたビールカテゴリーの売上は、ほぼ堅調に推移しました。
2018年の当社は、「続・ビール強化」を掲げ、一層のビールカテゴリーの強化を継続するとともに、総合酒類においてお客様接点の拡大を図り、ブランド価値向上に努めていきます。
ビールカテゴリーの基幹商品「サッポロ生ビール黒ラベル」では、お客様に「完璧な生ビール」を体験・実感いただく機会をさらに拡充していきます。「ヱビス」ブランドにおいては「日常接点の創出」をテーマに、お客様の日常の『めでたさ』に寄り添う施策の展開で、さらなるお客様価値向上を目指します。
新ジャンルでは、本年発売10周年を迎える「麦とホップ」を3月にリニューアルして、素材・品質へのこだわりをシンプルな世界観で表現し、2020年10月の税率変更も見据え、一層のブランド浸透を図ります。伸長傾向にある機能系市場では低カロリーNo.1を実現した「極ZERO 爽快ゼロ」を発売し、新たな価値創造にチャレンジします。
ビールに次ぐ「第2の柱」として位置づけるワイン事業では、日本ワイン「グランポレール」、輸入ブランドの「テタンジェ」「ペンフォールズ」「マルケス・デ・リスカル」などのファインワイン強化に重点を置きながらも、デイリーワインでも、選ばれる理由のある多様な商品を展開し、ワインの魅力を伝えていきます。
ビールの定義変更ならびに酒税改定、また東京オリンピック・パラリンピックによる経済活性化など、今後も大きな市場環境変化が想定される中、当社はこの変化をチャンスと捉え、社員一人ひとりが現状の当たり前の殻を破る、まさに「突き抜ける!」存在となり、「お客様に最も近い、お客様に選んで頂ける企業」を目指します。
最後に、私たちは創業以来140年以上にわたる「ものづくり」へのこだわりで培ったブランド資産を磨き上げ、より一層お客様の楽しく豊かな生活に貢献していきます。