2015年 酒類企業社長年頭挨拶
酒類企業社長から年頭挨拶が全飲連に寄せられましたので、その概要を抜粋して掲載させていただきます。
アサヒビール株式会社
代表取締役社長 小路 明善総合酒類企業として
新価値創造に挑戦昨年は、多様な価値を提供する商品やサービスが多くの企業から提案され、お客様の消費スタイルも、付加価値の高い商品を日常に取り入れる“メリハリ消費”に移り変わる傾向もみられるなど、概ね景況感の改善を感じることができた一年だったのではないかと思います。
本年、ビール類につきましては、圧倒的ナンバーワンブランド『スーパードライ』を基軸とし、『ドライプレミアム』は、素材や製法へのこだわり、限定感を訴求し、市場規模が拡大しているプレミアム市場におけるプレゼンスの拡大を図ります。また、新ジャンル『クリアアサヒ』ブランドや、機能性ビール類『スタイルフリー』『アサヒオフ』などに引き続き注力するとともに、『アサヒ クラフトマンシップ』などお客様のニーズに応える多様な価値の新商品を発売します。
ノンアルコールカテゴリーについては、『ドライゼロ』のクオリティアップを実施。“クリーミーな泡”“カロリーゼロ”“糖質ゼロ”という価値はそのままに、“コクとキレ”を向上し、ビールらしい味わいという価値をお客様に訴求します。
洋酒カテゴリーについては、ニッカウヰスキー創業80周年、創業者 竹鶴政孝の生誕120周年という節目を迎えた昨年、主力ブランド『ブラックニッカ』をはじめ、高級ブランド『竹鶴』『余市』『宮城峡』が好調に推移しました。この勢いをさらに拡大すべく、竹鶴政孝の信念をもとに発売となる限定商品『初号ブラックニッカ』復刻版をはじめとした復刻版シリーズを展開します。また“氷点下のブラックニッカ”『フリージングハイボール』を積極的に提案し、ニッカブランドとお客様との接点をこれまで以上に増やしていきたいと思います。
ワインにおきましても、フランス・ボルドーの『ミッシェル・リンチ』、ブルゴーニュの『ルイ・ラトゥール』など、プレミアムワインブランドを強化するとともに、国産ワイン『リラ』や、チリワインの主力ブランド『アルパカ』など、デイリーワイン市場についても拡大し、様々なシーンでお客様に楽しんでいただける価値を提供していきます。
RTDカテゴリーでは、『辛口焼酎ハイボール』『ハイリキ・ザ・スペシャル』を中心に、市場を大幅に上回る成長率をめざし、ブランド力を向上していきます。焼酎については、甲乙混和焼酎ナンバーワンである『かのか』ブランドの価値向上を目指し、業務用市場では『さつま司』のプレゼンス拡大に取り組んでいきます。
当社は本年、総合酒類企業として、夏場に依存せず年間を通して需要を掘り起こし “コトからモノ”を提案する動きを活性化していきます。そのため、お得意先の皆様と、より強固なパートナー関係を構築し、協働して価値創出に取り組ませていただきたいと存じます。こうした取り組み、そして当社の理念でもある最高の品質と心のこもった行動を通じて、お客様に感動をお届けしていきたいと考えています。
キリン株式会社
代表取締役社長 磯崎 功典新たな価値創造と
持続的な成長を目指す昨年は、一連の金融・経済政策によって増税後も株高基調が継続する一方、個人消費の回復は足取りが遅く、食品業界には輸入原材料や物流等のコスト上昇による商品価格の値上げの動きも見られました。
そのような環境下で当社は、昨年で発売25周年を迎えた「一番搾り」はその香味特長をさらに際立たせたリニューアルをおこなうと共に、「一番搾り麦汁しか使わない、こだわりの製法」の価値を改めて訴求するセミナーを店頭や工場で実施致しました。また、体感型ビアガーデン「一番搾りガーデン」の展開や、一番搾りプレミアムギフトセットの発売、積極的なキャンペーンなども奏功してブランド合計でほぼ前年並みの販売数量を確保できた見込みです。
新ジャンルの「のどごし生」は、上期は消費増税による仮需の反動を受けたものの、下期のキャンペーンや季節限定で投入した「のどごしICE」や「冬のどごし」がお客様のご好評をいただきました。また、長年培ってきた技術を生かして開発したプリン体ゼロ・糖質ゼロ・カロリーオフの新商品「キリン のどごし オールライト」は、今年1月末の新発売に向けて高いご期待の声を頂戴しております。昨年9月に新発売した「淡麗プラチナダブル」も注目を集めた機能性発泡酒市場のなかで大きなご支持を頂戴致しました。
市場拡大が続くRTDにおきましては、多彩なラインナップの「氷結」に加えて、高果汁が特長の「本搾り」が定番ポジションを獲得、新しい味覚軸をご提案した「ビターズ」も新たな柱として成長を始めた結果、カテゴリー合計で計画を大きく上回りました。 また、話題性と共に注目が集まったウィスキーでは「富士山麓」、「フォアローゼス」「ジョニーウォーカー」といった主力ブランドが揃って数字を伸ばすなど堅調な動きとなりました。
今後は酒税改正も予想され、お客様の購買心理への影響が予想されます。そのような環境下におきましても、ブランドを機軸とした経営の実践を通じて、新たな価値創造と持続的な成長を引き続き目指して参ります。
特に中核となるビールは、引き続き主力の「一番搾り」へ注力するとともに、「ビールにワクワクする未来を」の中長期テーマで取り組み始めた「スプリングバレーブルワリー」を本格始動させます。
「復興応援キリン絆プロジェクト」は本年も引き続き被災地の皆様と一緒に復興に向けての活動に取り組んで参ります。
需要拡大に向けた様々なご提案を通じて、業界発展に邁進して参ります。
サントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長 新浪 剛史“やってみなはれ精神”で
新たな革新に挑戦
2015年、消費者は節約志向の一方、必要で確かな価値のあるモノを選択して消費する傾向を強めています。消費者の求める価値を追求し、高い支持を頂戴できる高付加価値の商品を開発・育成することが、勝ち抜くための唯一の方策と確信しています。
酒類部門において、ビール事業は、昨年“プレミアム”をキーワードに掲げ、需要創造に向けた価値提案活動を強化し、過去最高の販売数量を達成しました。「ザ・プレミアム・モルツ」は、その特長である“深いコク”“華やかな香り”“クリーミーな泡”の訴求活動を強化し、プレミアムビールへの注目が高まる中、ギフト市場でも伸長を続けました。新ジャンルの「金麦」ブランド、及びノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」も堅調に推移しました。
スピリッツ事業は、主要ブランドの「角瓶」「ジムビーム」が売上を伸ばしました。
RTDでは、「-196℃ ストロングゼロ」「ほろよい」、ハイボール缶が、大きく伸長し、市場を牽引しました。RTSでは、「ふんわり鏡月」が引き続き好調に推移し、新商品の「澄みわたる梅酒」が新たな市場を創出しました。
また、7月に開催された世界的な酒類コンペティションで「響21年」がウイスキー部門のカテゴリー最高賞「トロフィー」を、サントリー酒類㈱が4度目の「ディスティラー オブ ザ イヤー」を受賞したほか、「山崎シェリーカスク2013」が、『ジム・マレー ウイスキー・バイブル2015』において最高評価を獲得するなど、サントリーウイスキーの品質が世界でも高く評価された一年でした。
ワイン事業は、国産ぶどう100%ワイン“日本ワイン”が好調に推移しました。
本年も弊社を取り巻く環境は依然として厳しいと思われますが、弊社のDNAともいうべき“やってみなはれ”精神を発揮し、すべての事業の成長に向けて、マーケティング、営業、生産、R&
D、SCMの各部門が一体になって新たな革新に挑戦し、更なる成長を実現したいと考えています。今後とも、“人と自然と響きあう”という企業理念のもと、コーポレートメッセージ“水と生きる SUNTORY”の基本理念を掲げて、グローバルな企業としての力強い成長を遂げながら「GOOD COMPANY」として社会と共生していく、「Growing for Good」の実現を目指してまいります。
サッポロビール株式会社
代表取締役社長 尾賀 真城「オンリーワンを積み重ね、
No.1へ」挑戦と創造を展開
昨年の国内市場は、景気回復の兆しが見えつつも停滞気味で、ビール・発泡酒・新ジャンルの総需要は、約98%に留まったようです。
このような市場動向において当社は、ビールの「ヱビス」「黒ラベル」、新ジャンルの「麦とホップThe gold」、機能系の「極ZERO」の基軸ブランドに経営資源を集中する戦略を継続。ビール類の総需要を上回り、3年連続でシェアアップとなる見込みです。
ビールでは、ヱビスが“コクと歴史”を訴求。100年磨いたプレミアムブランドとして存在感を高めました。また、生のうまさにこだわり続けている「黒ラベル」は、初めてアンテナショップを東京・大手町に期間限定で出店し、“パーフェクトな生”をたくさんの方にご体験いただきました。今後とも、両商品が持つ独自価値を強力に訴求し、売上拡大を目指していきます。
新ジャンルでは2月にリニューアルし、味わいを進化させた「麦とホップThe gold」が全体の売り上げを牽引。“輝くコク”をコミュニケーションメッセージとして展開し、前年比で約2桁増と大幅に売り上げを伸ばしました。
機能系は、「極ZERO」が「プリン体0・00」「糖質0」という独自価値はそのままに、発泡酒として発売。お陰様で多くのお客様の支持を受け、年初計画である550万ケースを突破することができました。これからも2つのゼロを機能に持つパイオニア商品として、市場をリードする提案を行っていくつもりです。
また、我々はビール会社として、お客様がビールに興味・関心を持っていただく発信の必要性を強く感じ継続しています。ヱビスビール生誕120周年を機にオープンしたヱビスビール記念館への来場者が、4年半で100万人を突破しました。また、今年4年目を迎える日本ビール検定「びあけん」、世界で初めてお客様とインターネット上でビール開発を行った百人ビール・ラボから生まれた「百人のキセキ 至福のブラウンエール」を店頭発売するなど、ビールの需要を喚起する取り組みも行っていきます。
ワイン事業は、中高級ワイン市場やエントリーユーザー向けの提案などにより、輸入、国産ともに売り上げが前年を上回りました。日本ワインの代表として、畑から品質にこだわる「グランポレール」、気軽にサングリアを楽しめる「サングリア・リコ」ブランドなど、今年も当社独自の提案を強化していきます。
スピリッツ事業においては、単一フレーバーで売り上げ100万ケースを突破した「男梅サワー」と、その派生商品であるRTS(Ready to Serveの略)「男梅の酒」がヒット。カテゴリーを超えた展開をしています。また、和酒は甲乙混和焼酎「こくいも」が売り上げ№1を継続。バカルディー社のスコッチウィスキーで、その味わいがバーテンダーに高く評価されている「デュワーズ」もここ2年間で約2倍に売り上げが伸びています。
2015年も「オンリーワンを積み重ね、№1へ」というビジョンのもと、「挑戦と創造」を様々な軸で展開し、さらなる飛躍の年にしていく所存です。