全面禁煙に反対。分煙に理解を
平成28年度 全国6ブロック委員会開催

新規事業者へ組合組織をPR
保健所窓口での徹底化をめざす

 平成28年度ブロック委員会が、全国各6ブロックにおいて下記の日程(2頁表参照)で行われました。全飲連執行部より森川進会長をはじめ亀岡総務委員長、河本事業委員長、小城専務理事が出席し、全国の組合が抱える課題や、各都道府県が単独で行っている活動について話し合われ、協賛企業からのお得なサービス等の提案がありました。
 記事では、平成28年10月4日(火)に、長野県長野市のホテルメトロポリタン長野で行われた「関東・甲信越ブロック会議」を取り上げます。
 東京都・神奈川県・栃木県・群馬県・千葉県・埼玉県、そして開催県の長野県より理事長や役員等が出席しました。
 会議では最初に開催県・長野県の荻原理事長より歓迎の挨拶がありました。北陸新幹線の金沢への延伸で、善光寺の御開帳、諏訪市の御柱祭、大河ドラマ『真田丸』の聖地巡礼で賑わう上田市近郊など、観光で盛り上がっている長野は見どころ満載。「観光も一つの楽しみにしてください。また、長野県飲食組合では長い間休会していた青年部と女性部を復活し、若い力を主力に組合の活性化を図りたい」と述べました。
 続いて森川進会長より、長野県に対して、また全国富山県大会への協力に対して謝辞がありました。一千人を下回る参加者数に危機感を表し、来年の埼玉県大会では同じブロックからのより多くの参加者を期待したいと話しました。そしてもう一つは、夏の参院選に対しての協力に感謝を述べながらも、協力が希薄だったと指摘。全飲連が政治的発言力を持てるよう今後は結束して取り組んでほしいと述べました。
 原田ブロック長(東京都理事長)が議長に選任され、審議に入りました。

(Ⅰ)全飲連関係報告事項

⑴前年度(27年度)当該ブロック提案事項の経過報告
 ①消費税率の10%への引上げ及び軽減税率制度の導入時期が平成31年10月に延期されたが、29年度の要望書には飲食店としての軽減税率適用を求めていきたい。②消費税を4期に分けて分納できるようになれば、納められない人が減るので、来年度も引き続き要望していく。③日本政策金融公庫の振興計画の認定を受けた飲食業組合員は、最低でも借入の期限までは組合員でいる必要がる。辞めた場合はペナルティを科す方向で検討。④食品国保については政治折衝を行なっているので、もう少し時間が必要。以上経過報告が小城専務よりありました。

⑵LED等業務用省エネレンタル事業の促進
 昨年の2月から展開してきたLEDのレンタル事業が好評。3年ほど前に九州ブロックから組合の財源になると提案され、現在は埼玉県の実績が一番高くなっています。業務用冷蔵庫や空調機器にもレンタル事業は広がっていますと、小城専務より説明がありました。次に担当業者のネクシィーズ㈱より、全飲連関係では全国で733店舗の導入実績があり、冷蔵庫も好評。契約額の1カ月分のレンタル代のキャッシュバックは、累計で1,000万円に達します。LED照明のレンタルだけで年間35万〜40万円の経費削減につながり、冷蔵庫に関しては50〜60%の削減が期待できます。初期費用がなく見積もりも無料なので、気軽に問い合わせてほしいと説明がありました。

⑶ホームページ作成サービス事業の実施について
 全飲連ホームページのリニューアルを担当する㈱リードアライアンスより、全飲連の組合員であれば、破格でホームページを作成すると説明がありました。オリジナルデザインでスマートホンにも対応し、旬の情報をリアルタイムで発信できるホームページ。初期費用無料で月々の費用は、5,000円(税別)。制作期間は最短で15営業日。この機会に情報化への備えを考えてみてはいかが。

 

 

(Ⅱ)組織強化対策関係

⑴受動喫煙防止対策等について
 JT本社の薩野渉外企画室課長より、受動喫煙防止対策についての政府や厚労省の動きについて説明がありました。
 「2020年の東京オリンピック、パラリンピック開催に向け、受動喫煙防止対策強化の動きが活発化している政府の動きが注目される。昨年11月にオリンピックを迎えるにあたり基本方針を閣議決定したが、政府として受動喫煙防止対策の強化を図るという内容が記載された。本年1月に検討チームが立ち上がり、細かい規制内容を決める議論が進行している模様。
 新聞報道では、厚労省が議論の鍵を握り、最近になって議論が活発化しているという。厚労省は『たばこ白書』を改訂し、同白書において日本の受動喫煙防止対策は法体系上世界で最も遅れているとの評価を行い、屋内全面禁煙化を求める法整備が必要であるとした。厚労省は法制化も含めた受動喫煙防止対策強化の準備を粛々と進めており、今後の議論を注視していきたい」といった内容。
 小城専務は、「飲食業界は危機的状況にあり、迅速な対応が求められる。中央会16連合会で協議会を立上げ、小宮山専務を座長に、事務局長、専務理事など事務方が集まって勉強会を行ない、8月の理事会では各連合会会長にご理解をいただいた。
 全飲連では、富山県大会のスローガンに初めて受動喫煙防止対策に努めることを盛り込んだ。多言語対応の喫煙環境ステッカーを作成し、2017年までには組合員だけでも100%の店舗への貼付を達成したい。各都道府県での行政や政治家に対し、自主的取組の理解を得ることが大切」と述べました。
 神奈川県の国島理事長は「横浜市は100㎡以下の事業者には店頭表示(分煙)でよいという条例を継続。条例に基づいた基準を満たす喫煙所を7カ所造った。公共施設の中では喫煙所が増えている。飲食組合ではJTと連携して分煙化を進めるためスタンド灰皿を希望するところには全て配布した」。
 また、「喫煙人口は2割。喫煙しない人は8割。選挙では8割を大切にします。神奈川県は条例を議論するときに県会議員に陳情書を提出した。煙草は税収のためには有り難いはず。本来税収は財務省が担当するが、煙草は健康衛生局が担当している。県条例や市条例に組み込まれる問題なので、国会議員より県会議員への働きかけが有効」と述べました。
 JTの薩野渉外企画室課長は、自主的な取り組みが不可欠。全飲連における自主的取組の状況はJT全支社に共有しているので、喫煙環境ステッカーの普及等の受動喫煙防止対策推進について、引き続き情報交換させて頂きたいと呼びかけました。

ブロック委員会で紹介された「喫煙環境ステッカー」活用事例
●鹿児島県では喫煙環境ステッカーを全組合員に配布したのち、一軒一軒に電話を入れてステッカーが届いているか、不足はないか、貼付しているかなどを確認し、取り組みの重要性を訴えた。6月から8月末までの取組みで、全組合員の8割の貼付を達成。
●東京都では、会議で全支部長に取組みの意図を伝え、支部長たちが直接支部の組合員を訪ねステッカーを手渡した。受動喫煙防止対策に関する意見陳述団体でもある東京都の組合は、行政の審議会で現状を述べ、行政のアンケートにも協力。東京都が今年に入り3万枚のステッカーを作成、普及のために1万2千軒の飲食店に配布した。
●三重県は今年5月のサミット開催を機に、国際基準の規制が「たばこ」に関しても求められたが、飲食店に喫煙環境ステッカーを貼付することで理解を得た。
●京都府と大阪府では、飲食業組合のみならず旅館組合など生活衛生同業組合の仲間が手を結んで、喫煙環境ステッカーを普及させることを宣言し活動している。

⑵「生活衛生同業組合活動推進月間」の実施等について
 河本事業委員長より「事業委員会の活動は、組織拡充と組合員の加入促進にあります。全国の飲食業界において142万軒が保健所から営業許可証を受けていますが、90%以上の130万軒以上が非組合員(アウトサイダー)で、全飲連はたったの4・5%に過ぎません。平成23年にユッケ生肉食中毒事件が起こり、生活衛生課長通知があわてて出されましたが、こういった伝令は組合組織があってこそ伝わるもの。保健所行政の破たんがあり、改革が求められます。
 そこで平成28年度、事業委員会では全飲連のウェヴサイトの充実を図り、非組合員に向けて広く存在をアピールしたいと考えています」と説明がありました。そして、「政府は2020年までに外国人観光客4千万人を定着させたい考えから、厚生労働省衛生局は観光産業の裾野を担う我々飲食業界に寄せられる期待は大きいはず。ブロック委員会の中で、12支部での組合員の増加があり、食の安心・安全を担う全飲連のプレート表示が効果を上げている」と報告がありました。
 神奈川県の国島理事長より「11月の活動推進月間は、未加入店舗に向けた働きかけを行なっています。当組合では44の全支部で、全国の指導センターが作成したパンフレットに全飲連のステッカーを貼って存在をアピールしながら非組合員にポスティングしています」と説明がありました。
 森川会長より「指導センターが静岡県の保健所に聞き取り調査をしたところ、営業許可証をもらう飲食店の78%が飲食組合の存在を知らないという実態が明らかになり、保健所に新規飲食店の皆さんに組合の存在を伝えてほしいとパンフレットをカウンターに置いてもらうことにしました。
 しかし職員の説明もなく、持ち帰る人も少ないので、保健所の課長たちに口頭での説明の徹底をお願いしました」と、説明がありました。

 


(Ⅲ)全国大会、その他

⑴創立55周年全国埼玉県大会の開催について
 平成29年6月13日(火)、埼玉県さいたま市の大宮ソニックシティ大ホールで、全国埼玉県大会を開催することが、埼玉県の飯野理事長より報告されました。

⑵小規模企業共済制度の概要について
 独立行政法人中小企業基盤整備機構の山中課長代理より、経営者の退職後のゆとりある生活を応援する共済制度について説明がありました。飲食店経営者の場合、正規雇用の従業員5名以下が対象。1,000円から7万円の範囲で無理のない掛金を選択。掛金が全額所得控除になる。個人事業の廃業や会社等の役員を退任した場合などに、事由に応じて共済金が支払われ、全国で約120万人の経営者が加入しています。退職後の備えにご検討を。
 以上、議論白熱で時間が伸びましたが、予定の議題が審議され、出席者の理解と承認が得られました。

 

平成28年度ブロック委員会開催日程(開催順)

ブロック別 担当組合 開 催 日  開 催 場 所
近   畿    京都府 9月 8日(木) 京都市 京都センチュリーホテル
東海・北陸 愛知県  9月13日(火)  名古屋市 ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋
中国・四国 山口県   9月29日(木)  山口市 山口グランドホテル
関東・甲信越  長野県 10月 4日(火) 長野市 ホテルメトロポリタン長野
九   州    長崎県  10月11日(火)  ホテルメトロポリタン
北海道・東北 山形県 10月19日(水) 天童市 天童ホテル