マイナンバー制度がはじまります 「行政手続きにおける特定の個人を識別するための利用等に関する法律」が平成25年5月24日に成立したことを受けて、日本国内に住民票を有するすべての人に、12桁のマイナンバー(個人番号)が指定され、市区町村から住民票の住所に「通知カード」が送られてきます。
マイナンバーは、平成28年1月1日から社会保障(年金・労働・医療・福祉)、税、災害対策分野における行政手続きで必要となります。また、ネットワークシステムを活用した各機関の情報連携は、国の機関が平成29年1月から、地方公共団体は平成29年7月から順次始まる予定。情報連携が始まると、申請の際の添付書類などが省略できるなど、負担軽減、利便性向上が実現します。複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報として効率的に活用します。
導入のメリット
1.公平・公正な社会の実現
所得やほかの行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止。本当に困っている人を支援しやすくする。2.国民の利便性の向上
添付書類の削減など、行政手続きが簡素化され、国民の負担が軽減される。3.行政の効率化
行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減され、作業の重複などの無駄が削減される。
マイナンバー利用の具体例
@子どものいる家庭では、毎年の児童手当の現況届の際に市区町村へマイナンバーを提示。
A国民年金、厚生年金(各種共済年金)の裁定請求の際に年金事務所にマイナンバーを提示。
B証券取引や保険加入者が、配当や保険料を受け取る際、証券会社や保険会社に個人番号を提示し、金融機関が法定調書等にマイナンバーを記載。
C従業員として雇用されている人が、会社にマイナンバーを提示し、会社は源泉徴収票に記載。
飲食店経営にとってのマイナンバー制度
従業員、アルバイト、パートなどを雇用している飲食店経営者の皆さんは、平成28年1月からマイナンバーを取扱うことになり、「個人情報取扱事業者」として個人情報保護法の対象者になります。来年1月からは次のことを行わなければなりません。
@従業員からそれぞれのマイナンバーを取得し、年末調整の源泉徴収票や支払調書にマイナンバーを記載。
A従業員の入社時や退職時に雇用保険や健康保険・厚生年金の届出書にマイナンバーを記載。
漏えいなどに要注意!
マイナンバーの取扱いには、〈取得〉〈保管・運用〉〈破棄〉の過程で、十分な注意が必要です。
●マイナンバーの〈取得〉
今年10月に従業員に送られる「通知カード」に記載されているマイナンバーを受け取る際は、本人が確認できる写真付きの運転免許証やパスポートを同時に集め、両方がない場合は、健康保健証、年金手帳、児童手当扶養証書などの2つ以上の書類で確認する必要があります。
なお、従業員だけでなく、その配偶者・子ども・報酬を支払う税理士さんや店舗の家主さんなどのマイナンバーも必要となります。
●マイナンバーの〈保管・運用〉
マイナンバーを税や社会保障以外に利用した場合は罰則があります。マイナンバーを社員番号に使っただけで会社と作業をした従業員共に罰則の対象になります。マイナンバーが記載された書類は、棚や引き出しに保管して鍵を掛けるなどの注意が必要。担当者を限定して管理意識を持つように、積極的に教育していくことが大切です。●マイナンバーの〈破棄〉
従業員が退職した後にマイナンバーを保管しておくことはできません。そのために法定の保存期間が経過した後にシュレッダーにかけて廃棄するなど漏えいを防ぐ処置をしなければなりません。