2014年 酒類企業社長年頭挨拶

酒類企業社長から年頭挨拶が全飲連に寄せられましたので、その概要を抜粋して掲載させていただきます。



 

 

アサヒビール株式会社
代表取締役社長 小路 明善

選択される総合酒類
企業を目指して

 昨年は安倍内閣のもと様々な政策が実行され、景況感も改善している傾向がみられます。当社も『スーパードライ』初のギフト限定のプレミアム商品『スーパードライ -ドライプレミアム-』や、“最高級のコク”という価値の新ジャンル『クリアアサヒ –プライムリッチ-』を発売し、いずれも皆様より多大なご支持を頂戴しました。また、昨年より小型機展開を開始した『エクストラコールド』のお取り扱い店数も当初の目標を1,000店以上上回ったほか、『ジャックダニエル』をはじめとするブラウン・フォーマン社商品の展開も開始しました。
 本年は消費税の増税などにより、大きな環境の変化が起こると予測されます。今まで以上に市場の動向を注視し、多様化するお客様のライフスタイルに合わせた商品開発に取り組み、更なる価値の創造に向けて挑戦していく必要があると考えています。
 本年、ビール類カテゴリーでは『スーパードライ』の価値を「進化」させることに焦点を置き、『スーパードライ』ブランド全体として、お客様から選択いただける商品戦略を展開します。
 新ジャンルにつきましては、『クリアアサヒ』ブランドを中心に、お客様のニーズに対して新たな付加価値を高め、健康志向の高まりを背景として好調に推移する機能系ビール類については、『スタイルフリー』や『アサヒオフ』を中心に、引き続きブランドの強化、育成をしていきます。
 ノンアルコール市場においては、「ドライなノドごし、クリアな後味」といった味わいはそのままに、お客様のさらなるニーズにお応えすべく“カロリーゼロ”“糖質ゼロ”“クリーミーな泡”という価値を新たにプラスした『ドライゼロ』を訴求していきます。業務用市場では昨年11月に目標の20万店を上回る飲食店様で『ドライゼロ』をお取り扱いいただくことができました。今後は、まるで樽生ビールのようなきめ細かい泡を注出する業務用お役立ち器具を活用しながら『ドライゼロクリーミー』という新たな価値を訴求し、ノンアルコール市場における確固たる地位の確立と差別化を図ります。
 環境変化の波は、予想を上回るスピードで押し寄せます。だからこそ、お客様、お得意先様の期待を上回る提案をもって課題解決に取り組んでいく必要がと考えます。 “選択される”総合酒類企業を目指し、これまで以上に市場の創出拡大につとめて“進化”していきます。



 

 

キリン株式会社・キリンビール株式会社
代表取締役社長 磯崎 功典

各カテゴリーのブランド強化
「復興応援キリン絆
プロジェクト」も継続


 昨年は国内景気が回復の兆しを見せ始め、スポーツ界では、2014年ブラジルワールドカップへの男子サッカー日本代表の出場決定や2020年東京五輪開催決定など明るいニュースも多くありました。
 そのようななか当社は、主力の「一番搾り」を中心として、ビール、発泡酒、新ジャンル、RTD等の各カテゴリーの定番商品の販売促進に注力しました。特に、「一番搾りフローズン生」は、その新しさや楽しさで一昨年に引き続きご好評をいただき、年初予定を上回る2,200店の飲食店様での取り扱いを実現。また、高付加価値型商品として限定発売していた「グランドキリン」にも高い評価を頂戴し、全国のコンビニエンスストアへ販路を拡大しました。新商品では、キリン社の技術を結集させた「澄みきり」が新ジャンルカテゴリーにおいて新たな需要を創造し、昨年の販売目標を上方修正しました。その他にも、大きく販売を伸ばしたRTDの「氷結」や「本搾り」、富士山の世界遺産登録を契機にご支持を拡げたウイスキー「富士山麓 樽熟50°」など総合酒類の各カテゴリーについて基盤を固めることが出来ました。
 東日本大震災の復興支援活動「復興応援キリン絆プロジェクト」は3年目となり、東北の農業・水産業の再生に向けた各種支援を継続しています。支援に関連して、東北産の原料を使用した「一番搾りとれたてホップ生ビール」や「氷結アップルヌーヴォー」を期間限定で引き続き販売するとともに、昨年は新たに福島県産の梨を使用した「氷結 和梨」を発売するなど、さらに充実した活動を行ってまいりました。
 さて、本年は春に消費税率アップを控え、酒類業界におきましてもお客様の購買心理への影響が予想されます。そのような環境下におきましても、ブランドを機軸とした経営の実践を通じて、各カテゴリーにおけるブランドの強化に取り組み、新たな価値創造と持続的な成長を目指して参ります。特に中核となるビールにつきましては発売25年目を迎える「一番搾り」を中味・パッケージともリニューアルし、フラッグシップブランドとしてのポジションを確固たるものとして、より多くのご支持を頂戴すべく強化を図ります。
 業界を取り巻く環境は依然として厳しい状況ですが、需要拡大に向けた様々なご提案を通じて、業界発展に邁進して参ります。


 

 

サントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長 佐治 信忠

“水と生きる
SUNTORY”の
基本理念を掲げて


 2014年がスタートしました。
 酒類食品市場に目を向けてみますと、消費者は、より一層強く食の「安全・安心」を求め、内食・家飲み・家族団欒に象徴される、「絆」への支持も高めています。節約志向で、必要で確かな価値のあるモノを選択して消費するといった傾向も益々強まっています。こうした環境においては、消費者の求める価値を徹底的に追求し、高い支持を頂戴できる付加価値の高い商品の開発とその育成が勝ち抜くための唯一の方策と確信しています。
 酒類部門ですが、昨年のビール類総市場は前年割れの厳しい年でした。その中で弊社は「ザ・プレミアム・モルツ」や「金麦」、「金麦〈糖質70%オフ〉」そして「オールフリー」の基幹4製品が引き続き好調に推移しました。本年もこれらに最注力し、ブランド力を徹底して強化します。
 ウイスキーでは主力の「角瓶」の好調に加え、新製品の「プレミアム角瓶」やプレミアムウイスキー「山崎」「白州」、そして輸入ウイスキー「ジムビーム」が大きく伸張いたしました。世界的な酒類コンペティションで「響21年」がウイスキー部門最高賞を受賞するなど、海外における当社ウイスキーに対する評価がさらに高まりました。
 また、好調なRTDは「—196℃〈ストロング・ゼロ〉」や「ほろよい」の新製品が好評で、大きく伸張しました。ハイボール缶も依然その好調を維持しています。
 ワインでは、登美の丘ワイナリーで100年にわたり培った技術と日本人の感性を結集した国産ブドウ100%シリーズに一層注力します。また気軽にワインをお楽しみいただくべく、オンザロックで楽しむ提案なども継続し更なる需要拡大を図ってまいります。
 本年度もすべての部門を通じて、成長戦略と新たな価値の創造に積極的に挑戦していくとともに、主力商品のブランド力強化に注力してまいります。そのためにはR&Dの力をより一層高めていくことが非常に重要と考えています。
 海外では、海外グループ会社の成長と合わせて、グループ会社ごとのシナジーの実現を推進するとともに、引き続きM&A戦略を通じ、海外の優良ブランドやパートナーを探索していきます。
 弊社のDNAともいうべき“やってみなはれ”精神を発揮し、各事業の成長に向けて、マーケティング、営業、生産、R&D、SCMの各部門が一体になって新たな革新に挑戦し、更なる成長を実現したいと考えています。
 また、“人と自然と響きあう”という企業理念のもと、コーポレートメッセージ“水と生きる SUNTORY”の基本理念を掲げて、本年も環境への取り組みを強力に推進します。企業としての力強い成長を遂げながら「GOOD COMPANY」として社会との共生を果たす「Growing for Good」サントリーの実現を目指してまいります。


 

 

サッポロビール株式会社
代表取締役社長 尾賀 真城

「乾杯をもっとおいしく」
オンリーワンの
モノ・コトを追求


 昨年の日本経済は、金融緩和や景気対策を背景に景気回復の兆しが見えつつありましたが、ビール・発泡酒・新ジャンルの総需要は、ほぼ横ばいに留まりました。
 そのような環境下、当社は「黒ラベル」「ヱビス」「麦とホップ」の基軸3ブランドに経営資源を集中する戦略を行い、総需要並びに前年実績を上回ることができました。特にヱビスは“お客様にとってナンバーワンビールでありたい”という思いを込め、コミュニケーションメッセージを新たに「BEER ОF BEERS」として打ち出しました。ヱビスにしかできない価値を強力に訴求し、今年も引き続き売上拡大を目指していきます。
新商品では、新ジャンルの「極ZERO(ゴクゼロ)」が、売上目標を更に上回る結果となりました。「世界初プリン体0.00」「糖質0」という独自価値を、更に多くのお客様に訴求することで、市場拡大を目指します。
 お客様に新たな「楽しさ」をご提供する取り組みも継続し、そのひとつである「百人ビール・ラボ」は、世界初のお客様とインターネット上でビール開発を行う取り組みで、過去2回の実施に約3万人の皆様のご参加をいただきました。また、2年目を迎えた「びあけん」は、ビールが持つおいしさや楽しさを理解していただくための取り組みとして定着しつつあり、累計で8,000人を超える皆様に受験いただいています。
 RTDでは、4月に限定発売して大きな反響をいただいたノーベル製菓(株)とのコラボレーション商品である「男梅サワー」を9月に通年商品として発売し、売上数量は計画数の約3倍に達しました。2年目となる今年も、独自価値の訴求を継続して、定番商品の拡充を図ります。
 ワインは、市場の拡大を追い風に輸入、国産ともに売り上げが前年を上回りました。特に当社のフラッグシップワインである国産ぶどう100%使用のプレミアムワイン「グランポレール」は販売数量が2割増となり、国産ワインをけん引しています。
 洋酒においては、バカルディー社と当社で「モヒート」の業務用・家庭用両市場での定着に向けた施策を推進。特にRTS(Ready to Serveの略)は、前年比で200%を超えるトレンドで推移しており、大きく売り上げを伸ばしています。今年も世界No・1ブランドのバカルディ・ラムを中心に、洋酒の楽しみ方を拡げる提案をします。
 2014年も「乾杯をもっとおいしく」をコミュニケーションメッセージとして、サッポロビールにしかできないオンリーワンのモノ・コトを追求し、お客様に驚きと感動を実感していただけるナンバーワン企業を目指して取り組んでいきます