平成22年度 関東・甲信越ブロック講習会
「米トレーサビリティ法について」 〜米のトレーサビリティ制度と飲食店の対応〜 講師:農林水産省関東農政局
農政業務管理官 長岡 淳一先生
●法整備の経緯と目的
まず、米トレーサビリティ制度ができた背景の説明をさせていただきますと、近年「米」という食品の取扱に関して、残念なことに一部の事業者による不適正な表示が行われていた事実が発端となっています。一昨年、食用出来ない事故米問題や、残留農薬が検出された米が市場に流通するという事件が発生しました。そのような事態を今後防止するということで、食料法を整備する中で米トレーサビリティ法という新しい法律ができました。
正式名称は「米穀等の取引等に関わる情報の記録を産地情報の伝達に関する法律」と言い、今年の10月1日に施工されています。おもな内容はトレーサビリティ≠ニ産地情報伝達≠フ2つです。トレーサビリティとは、米と米加工品を対象に、取引の記録を作成保存し、有事の際に、流通を追跡することができる仕組みです。また、産地情報伝達に関しては平成23年7月1日より義務化されます。●取引等の記録について
どのような場合に何を記録するかというと、米・米加工品を@取引A事業所間の移動B廃棄などを行った場合にはその記録を作成、保存してください。ただ、例外基準として外食店の売れ残り食べ残しなどの廃棄の記録は必要ありません。つまり、どのような商品を、いつ、どこから、どのくらい購入したかということを記録する必要があります。【記録事項には品名、産地、数量、年月日、取引先名、搬出入の場所(搬入又は搬出した場合、名称及び所在地)記載が必要】
取引先から納品書、請求書というかたちで伝票をもらっている場合はトレーサビリティを果たしたことになります。伝票を発行してない場合などは入荷の記録として日付、商品内容、取引先名(生産者の名前)などを記録しておく義務があります。大学ノートやカレンダーに記録しておく方法でもけっこうです。●産地情報の伝達
米・米加工品を他の事業者へ譲り渡す場合、伝票等又は商品の容器・包装への記載により、一般消費者に対して産地情報の伝達が必要となります。(来年7月1日から義務化されます)スーパーで購入した場合も事業用であれば購入の記録としてレシートの保管が必要です。レシートに産地が表示されていない場合には、産地をレシートに記入して下さい。
産地の記録としては、「国産」「○○国産」「○○県産」等を記録します。また例外として、米飯類、もち、だんご、米菓、清酒、単式蒸留しょうちゅう、みりんについては、最終的な一般消費者販売用の容器・包装等に産地が具体的に明記されている場合は、伝票等への記録は不要です。
産地が2以上の場合、原材料に占める割合の多いものから順に記載してください。3つ目以降の原産地を「その他」と表示してもかまいません。
飲食店において一般消費者への産地情報の伝達手段としては、店内に産地情報を掲示、メニューに産地情報を記載、または店内に産地を知ることができる方法を掲示することです。(例:産地情報については、店員におたずねください。※この場合はマニュアルを定めて社員研修を行い、その記録を残す必要がある)全飲連で作成しているプレートに使用している米の表記をしてもらってもかまいません。自分たちの取り組みやすい方法で始めていただければと思います。
米トレーサビリティ制度について
1.どのような場合に何を記録?
米・米加工品を@取引、A事業所間の移動、B廃棄などを行った場合には、その記録を作成・保存して下さい。
・紙媒体・電子媒体いずれでも可。
・保存期間は原則3年。(賞味期限に応じて3カ月、3年、5年と異なる)2.対象品目・対象者
対象となる米・米加工品
@主要食糧に該当するもの(米粉、米菓生地、米こうじ、米粉調製品など)
A米飯類(定食、カレーライス、おにぎり、ライスバーガーなど)
Bもち、だんご、米菓、清酒、単式蒸留しょうちゅうみりん
品名、産地、数量、年月日、取引先名、搬出入の場所を記録
※他の事業者へ譲り渡す場合には伝票等又は容器・包装への記載により、
産地情報(米:産地 米加工品:原料米の産地)の伝達が必要■一般消費者への産地情報伝達手段
・商品の包装に産地情報を記載(WEBアドレスなど照会先の記載でも可)
・店内に産地情報を掲示(例:当店は○○国産の米を使用しています。)
・店内に産地を知ることができる方法を掲示
(例:産地情報は店員にお尋ね下さい。)
・購入カタログや注文画面上に産地情報を掲示
・メニューに産地情報を記載