加藤隆新会長に聞く

katou

 


全飲連の再生へ向けて―


時代とお客様のニーズとスピードに対応
「食」を通じて社会に貢献

■受け取ったバトンを次代へ繋ぐ
 優しくおおらかな性格と強力なリーダーシップで全飲連を牽引してきた田中清三会長の元で、総務会長の任を8年間務め、田中会長を支えてまいりました。昨年秋には叙勲をいただき、全飲連には十分に添ったなという気持ちでおりましたら、田中会長から突然ボールを投げられました。受け取らざるを得ない状況、私に課せられた使命と考え、誠心誠意務めさせていただこうという想いです。
 最近の野球を見ていましても、昔と違って9回まで一人で投げきれるようなゲームはなかなかできません。先発、中継ぎとつなぎながら試合を壊さないような形が最近の傾向のようです。全飲連に強烈な個性の宿る次代を担う人材を育て、しっかりバトンを渡していきたいと考えています。

■舵取りの方向を見据え、柔軟性を持って対応
「全飲連は何よりも融和と団結が必要であり、生衛業界最大の組合である全飲連の組織力を発揮し、飲食業界の発展と社会的な使命を果たしていくことが重要である」と、田中前会長が常々唱えられてきましたが、私もこの精神を継承しながら全飲連の発展に寄与していきたいと考えています。
 私は戦前の生まれで後期高齢者ですが、頭の柔軟さは持ち合わせているつもりです。何でもご意見やご意向を気軽にお話しいただければ、ご相談に乗れるところは乗り、勉強するところは勉強させていただくつもりでおります。
 いろいろ難しい時代ですが、舵取りの方向性を間違えないよう、全飲連の組織や活動を再点検しながら、組合員の目線に立った組織運営を心がけていきます。

■地域で頑張る飲食店のために
 地球規模の食糧問題、エネルギーの高騰、環境問題、金融危機等、国際経済や国際政治の動きとわれわれ飲食業界も決して無縁ではありません。石油の高騰などは、まさに象徴的な出来事です。業界を取り巻く経営環境は厳しいものがあり、多くの課題をかかえています。とくに規模、業態、地域による格差が大きくなっています。
 それぞれ地域や風土の違う各都道府県の組合員さんたちのご商売については、地域にしっかり根を張り、自力で踏ん張っていくしかありませんが、全飲連は、組合員同士の情報交換や親睦を図れる場・研修や知識習得の場の提供、低利融資を利用できる環境づくり、有用で適切な情報の提供等を通して、組合員の皆さんの心強い支援部隊であり続けたいと考えています。

■時代のニーズとスピードを捉える
 厳しい状況下にあって「時代とお客様のニーズとスピードについていく」ことが、活動のキーワードとして何より求められます。食品表示偽装問題等で食に関する様々な社会問題を背景に、消費者の食に対する「安全性」へのニーズは高まり、「健康」への関心へと向かっていきます。原産地表示の実施や栄養成分表はもちろん、受動禁煙防止対策、食品リサイクル、省エネ対策等は、業界全体で早急に取り組まなければならない問題となっています。

■組合活動の初心に立ち返る
 全飲連は議員立法により組織されました。自民党の有志の議員さんたちに窓口になっていただき、昭和32年6月に「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(生衛法)ができたのを機に、静岡を中心とする佐賀、鳥取、広島、石川、大分、長崎の7県350人により全飲連を立ち上げました。そして平成18年6月に改正され、現在に至っています。昨年は生活衛生法が施行され50周年という節目を迎え、約10万人を擁する大きな組合に成長しましたことは感慨に耐えません。
 現在こうした厳しい状況下にあって、来年6月に全飲連発祥の地である静岡県で全国大会が開催されることは、誠に意義深く、「食を通じて社会に貢献する」というわれわれの社会的使命に真摯に向き合うにふさわしいステージといえます。
 今後、皆さんの心をひとつにして全飲連を盛り立てていただきながら、ともに苦境を乗り越え、成長発展を遂げられるようご協力をお願い申し上げます。