資料/政府系金融機関の見直しに対する要望書

 全飲連では、生衛議員連盟を中心に政府自由民主党および関係省庁に対し、生衛中央会とともに強力な陳情を展開してきました。1面記事で紹介の通り、政府の経済財政諮問会議は11月29日、国民生活金融公庫は他の4機関と統合されることになりましたが、経営改善貸付・生活衛生融資資金貸付は存続することになりました。
以下の文書は全飲連が、さる10月に「政府系金融機関の見直しに対する要望書」を生衛議員連盟、自由民主党および関係省庁に対して提出、陳情したものです。その要望の内容を改めて紹介します。

政府系金融機関の見直しに対する要望書
 政府系金融機関の見直しにあたっては、以下の理由により生活衛生融資並びに国民生活金融公庫の存続を強く要望する。

1、生活衛生関係営業(生衛業)は国民生活に不可欠
 理容業、美容業、クリーニング業、旅館業、公衆浴場業、飲食店営業などの生衛業は、国民生活にとってなくてはならない存在であり、公衆衛生の見地から、各種業法や食品衛生法等の衛生規制を遵守し、衛生水準の確保や消費の利益の擁護等を図らなければならない、また、雇用を創出しつつ就業の場を提供する等、地域経済にとっても重要な存在であることなど、公益性の高い業種となっている。
 特に、近年のSARS、BSE、鳥インフルエンザなどの例に見られるような事態が発生した場合にも、国民が安心して生衛業のサービスを享受できるよう、また、速やかな対策が講じられるよう、営業者の自助努力とともに、政策的な支援が不可欠となっている。

2、生衛業は中小零細で経営基盤が脆弱
 生衛業は、従業員規模4人以下の業者が8割を超えるなど生業的、小規模零細で経営基盤が脆弱、資金力・担保力にも乏しい事業所が殆どであることから、設備改善資金や運転資金の需要に対し民間金融機関からの融資が円滑に行われにくい業種である。また、民間金融機関による融資では、貸付姿勢、融資条件が必ずしも一定でなく、経済・金融情勢にも左右されやすいことから、全国的に安定かつ有効な融資環境及びこれに伴う全国均質な衛生水準が確保できないものである。

3、国民生活金融公庫は生業的な小規模・零細な事業者向けの専門的な政策金融機関
 国民生活金融公庫は、既に特殊法人等の整理・合理化方針に基づき、平成11年に旧国民金融公庫と旧環境衛生金融公庫が統合したものである。他の中小企業政策金融機関と比べても、貸付対象が極めて小規模・生業的であり、融資手法も無担保融資が主体で1件あたりの融資額も小口と異なっており、さらなる統合は経営理念を曖昧化させ、むしろ経営効率を損なうものである。よって、長年の生活衛生融資の実績と生衛業界の事情にも精通している専門性を今後も活かしていく必要がある。

4、生活衛生同業組合に与える影響
 生活衛生同業組合は、「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律」に基づく組合であり、営業者の自主的活動による生衛業の振興策の中心的組織として公衆衛生の向上及び増進に資し、国民生活の安定に寄与している。
 組合にとって、生活衛生融資は、国民の日常生活に密接に関連する生衛業の振興と経営の安定、衛生水準の維持向上を図る上で必要不可欠なものであり、組合の求心力の源泉となっている。仮に他の政府系金融機関と再統合した場合には、他の融資制度の中に埋没し、組合の目的達成が困難となり、組織が崩壊しかねない。
 なお、生衛業の営業者に対する調査結果でも、国民生活金融公庫を現状のまま維持してほしいと、9割の方々が訴えているという現状がある。