2004年 酒類企業社長年頭挨拶
酒類企業社長からの年頭挨拶が全飲連に寄せられましたので、その概要を抜粋して掲載させていただきます。
アサヒビール株式会社
代表取締役社長 池田 弘一
我々酒類業界では、昨年はまさに激変の年となりました。5月の酒税改正、冷夏ともあいまって、売上に影響を与えました。また、9月には酒類販売免許の規制緩和が実施され、相次ぐ外資参入と合わせて、流通業界の大変動の足音が聞こえてまいりました。2004年は流通業界の変化による新しい競争構造の中で、「ブランド力」と「安心・信頼」があらためて問われる年になると考えております。
こうした状況の中で、2003年、弊社は“魅力づくり”の年と位置づけ、中核のビール・発泡酒事業での競争力向上と、総合酒類として成果を上げることに努めてまいりました。
ビールは、9月に「スーパードライ」の売上が33か月ぶりに前年実績を上回るなど、回復への兆しが見えつつあります。発泡酒では「本生アクアブルー」が1千万函を超える売上となり、「本生」と合わせて、発泡酒市場のなかでブランド確立ができたものと考えております。そして、増税以降伸び悩む業界の中で前年比二ケタ増の売上を達成し、ビール・発泡酒を合わせた市場でその地位をさらに盤石なものとすることができました。
また、本格的な総合酒類化二年目に入り、焼酎・低アルコール飲料・洋酒・ワインの各カテゴリーにおいても、着実に成果を上げることができました。洋酒では、家庭用商品の「ブラックニッカクリアブレンド」、業務用市場での「竹鶴」ブランドシリーズが好調で、シェアアップを達成できたと考えております。ワインは、主力ブランドの「カリテラ」「バロン・フィリップ」「サントネージュ」が好調に推移し、前年比で業界平均を上回りました。
一方、海外事業では、1995年から経営参加している中国の北京ビールにおいて、新工場の建設が始まり、今春の出荷開始を目指しております。
さて、本年はすべての企業活動において、より一層「お客様視点」に立った発想・行動に徹します。日々変化するお客様に対して、常に「うまい!」という感動をお届けできるよう、社員一人ひとりがチャレンジしてまいります。
営業活動面では、激戦の店頭でお客様視点での売り場づくりをご提案できる態勢を整えます。また、業務用市場では総合酒類化の基盤を活かし、多様化するお客様のニーズにお応えする提案力を高めます。業界の皆様とのパートナーシップをさらに強めて、市場安定化など業界の健全な発展にお役立ちできるよう、努めてまいります。
キリンビール株式会社
代表取締役社長 荒蒔康一郎
昨年弊社は、「お客様本位」「品質本位」の経営理念に基づき、「うれしいを、つぎつぎと。」を新たなスローガンとすることによって「総合酒類事業」を推進し、お客様にとって真に魅力ある商品のご提案を積極的に行ってまいりました。
ビールカテゴリーでは、前年来整備を進めてまいりましたチルド配送システムを一層拡充し「まろやか酵母」「キリン〈樽生〉一番搾り」の全国展開を実現。またお客様のご要望の強かった「クラシックラガー」の缶パッケージを全国エリアで発売、販売は好調に推移いたしております。
発泡酒カテゴリーでは、健康志向という時代のニーズにお応えしたプリン体カットの発泡酒「淡麗アルファ」や「極生」の姉妹品「生黒」などを発売し、確実にお客様のご支持を得られたと考えております。
また、缶チューハイ市場では「氷結」シリーズにプレミアムタイプを加えて商品ラインナップの充実を図り、缶チューハイを愛好する皆様のご期待に十分お応えできたものと確信しております。
この他にも、「新・焼酎市場」の創造を目指し業務用中心に拡売を図ってきた「麒麟麦焼酎ピュアブルー」、「キリン氷結21°ストレート」を全国展開いたしました。
さらにワイン事業では、世界No1ブランドである「フランジア」の販売を開始し、販売基盤をこれまでになく強化することができました。
販売体制の面では、マーチャンダイジングを専門に行うキリンコミュニケーションステージ社が春に全国で活動を開始し、売り場における企画提案をますます本格化するに至ったことが特筆されます。
さて、本年、弊社といたしましては、経営の原点であります「お客様本位」「品質本位」の理念にこだわることにより、お客様のご満足に的確にお応えし、より高い品質を実感していただける市場創造型の提案活動に邁進する一方、未成年飲酒防止や環境問題など、企業の社会的責任にも十分留意してまいりたいと考えております。
またご承知の通り、酒類業界における公正取引の実現は改善されるべき喫緊の問題となっております。弊社も、将来に亘る生販三層の発展にとって避けては通れない課題であると認識し、引き続き市場健全化に向け努力を惜しまないつもりでございます。
これまで以上に社会経済の情勢や市場環境はめまぐるしく変わっていくと思われますが、「変化はチャンス」と捉え、日々訪れる機会に新たな意欲を持って臨んでまいります。
サントリー株式会社
代表取締役社長 佐治 信忠
いよいよ2004年、新しい年の幕開けです。昨年5月から発泡酒やワインの増税が実施され、また9月からは酒類販売免許の規制が綬和され、流通の競合も益々激化するなど、成熟化した酒類市場を取り巻く環境には、大きな変化がおこっています。更に、消費者の価値観の多様化、個性化が進み、より多様で魅力的な価値の埠索が益々求められています。
こうした状況の中で、私どもは、公正な取引環境の醸成及び業界の発展のために努力を重ねるとともに、常に新しい価値の提案を積極的に行なってまいろうと考えております。
昨年10月には、グループの更なる発展・強化を目指して、サントリーグループにとって初の社内カンパニー制を導入しました。ビジネスモデルに応じた事業単位ごとに、「食品カンパニー」「ビール・RTDカンパニー」「ワイン&スピリッツカンパニー」「外食・開発カンパニー」「海外カンパニー」の五つのカンパニーに編成。企画、開発、生産、営業といった機能を事業ごとに統合し、一貫性・連携を強化して意思決定のスピードを上げ、市場への対応力の強化を図りました。そして、五つに編成したそれぞれのカンパニーが、あたかも独立会社のように事業経営を行い、売上げ・利益計画を追及するだけではなく、キャッシュフローや資産、投資、借入金等まで含めた事業経営全般に責任を持つことによって、新たな成長を実現する体制を整えたものです。本年は、このカンパニー制の本格的なスタートの年にあたります。創業以来、脈々と流れている「やってみなはれ」のチャレンジ精神を発揮して、新たな価値の創造に積極的に挑戦し続けたいと考えています。
また、本年もサントリーグループは、地球環境を大切な経営資源の一つと認識して、環境保全活動に更に真剣に取り組んでまいります。次の世代に「人と自然と響きあう」持続可能な社会を引き渡せるように努力を重ね、企業としての成長を続けながら、社会に対しても誠実で信頼される企業、“Growing & Good Company”サントリーを実現したいと思います。
本年の干支は申です。猿というと、「見ざる 聞かざる 言わざる」の三猿が有名ですが、私どもは、市場を良く見て(見る)、お客様の言葉にこれまで以上に耳を傾けて(聞く)、そして、新しい価値の提案を積極的に行なっていくこと(言う)で、皆様と共に未来を切り開いて参りたいと思います。