牛肉トレーサビリティ法案が衆議院を通過

牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案
飲食店まで徹底して固定識別番号の表示を行うことを義務付ける。

 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法案が5月16日に衆議院で可決成立し参議院に送付されました。この法案は農林水産省が今通常国会に法案提出したもので、BSEの蔓延防止の的確な牛肉の安全性に対する信頼を確保するため、牛を個体認識別番号により一元管理するシステムを構築し、生産から流通、消費の各段階において当該個体識別番号を正確に伝えるための制度を構築することが目的とされています。
 具体的には国内産の牛を生産からと蓄、流通及び食肉販売までを個体識別番号を通し、これらを扱う飲食店まで徹底して消費者に対し固定識別番号の表示を行うことを義務付ける法律です。ここでいう飲食店については「特定牛肉料理」政令で定められ、国産牛を取り扱う「焼肉店」、「しゃぶしやぶ店」、「すきやき店」、「ステーキ店」の専門店です。
 対象店については現在その仕入れ牛肉が売上の60%以上であることを条件に店頭等に提供している牛肉の個体識別番号又はロット番号を判りやすく表示すること等、農林水産省は業界の意見を充分に反映させた運用指針を法律制定までには策定することとなっております。
 全飲連としては、今後実施にあたっては当該営業者等(組合員)が経済的かつ労力的負担のかからない方策や、消費者に牛肉に対し不安を煽るような方法及び報道等を講じないよう、農林水産省に対し厳しく申し入れをしています。また、厚生労働省及び農林水産省と協議を重ね今後、支障を期たさぬ実施に向けさらに折衝を続けていきます。

※個体識別(トレーサビリティ)とは一頭の牛を生涯唯一の番号で識別・管理するシステムです。


牛肉トレーサビリティ(追跡可能性)法案実施について

●該当する営業者の意見(組合員)
1、東京都板橋区A店(焼肉専門店)
 現在仕入れ段階でのロットナンバーについては極力表示を行っている。しかし消費者は予想していたほど関心なく、むしろ信頼関係が重要であると認識している。
2、静岡県静岡市B店(焼肉専門店)
 店頭表示は可能と考えているが複数の仕入れ牛肉を提供した場合の表示方法に難点があると思われる。
3、三重県津市C店(焼肉専門店)
 三重県では松阪牛の表示問題でも現在地域の限定等の整理を行っている。
 ロット表示については簡素な方法(店内)であれば十分可能である。
4、兵庫県神戸市D店(焼肉専門店)
 消費者に安心を与えるため、早期実施を望む国産牛を取り扱う専門店ではサービスの拡大につながると認識している。
5、大阪府中央区E店(すきやき専門店)
 営業時間内において客に提供する仕入れ牛肉が変わった場合のその表示の切り替え等に煩雑感がある。伝票等の管理で客からの問い合わせがあった場合に限り提示させればよいのではないか。
6、愛媛県松山市F店(すきやき専門店)
 仕入れ段階でのロット表示されている伝票あるいは標識を適正に管理しておくことで消費者からその要求があった場合のみ提示することでこと足りるのではないか。
7、福岡県博多区G店(焼肉専門店)
 焼肉店は一般的にブロック単位で仕入れをする場合が多く仕入れ段階での安易な方法での表示は可能であっても、BSE発生以降、全頭検査で安全性が確保されていることとなっているので、消費者に対しては反対に不安を与えることが予想されるのではないか。仕入れ段階までで十分なのではないか。
(平成15年1月30日・全国飲食業生 活衛生同業組合連合会)