食品リサイクル推進事業の概要
〜平成14年度予算の概算要求より〜平成13年5月1日に施行された、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」をご存じでしょうか。これがいわゆる「食品リサイクル法」と言われるものですが、この資源の再利用問題については、地球環境の面からも、あるいは限りある資源の有効利用の面からも、今一番重要な課題であると言われています。
厚生労働省ではこの課題に対応して、平成14年度の予算の概算要求に、新規に次のような事業を盛り込みました。◆食品リサイクル事業の流れ
1.減量数値目標設定
食品関連事業者は平成18年度までに、食品循環資源の再生利用等の実施率を20%に向上させることを目標とします。なお、現状20%を上回る食品関連事業者は、これを維持・向上することを目標とします。
2.各食品関連事業者の取り組み@
イ、自分の施設から出る生ごみの量を記録し、目標値を決めます。
ロ、出るごみの量を減らします。(ごみの発生の抑制)
ハ、ごみを再利用できるものとできないものに分けます。
ニ、出たごみの量を減らします。(ごみの減量化)
ホ、再利用できるごみを資源化します。(自前か委託)
3.農業者・酪農者等
再生資源化された肥料・飼料を利用して、生産を行います。
4.各食品関連事業者の取り組みA
再生資源を利用した農業者・酪農者等の生産品を購入し、販売、調理等を行います。
★各食品関連事業者は、上記2〜4の流れの中で、生ごみの減量化を行っていきます。
★取り組みの評価
年間100トン以上の生ごみを出す食品関連事業者については、目標値が達成できない場合、取り組みが不十分として、担当大臣から勧告・命令を受けることがあります。また、悪質な事業者の場合、事業者名を公表したり、罰金が科せられたりすることもあります。◆一般消費者の対応策
このことについて、平成12年3月に農林水産省から出された『食生活指針』では、食品リサイクルに協力できる次のような提案がなされました。
☆買いすぎ、作りすぎに注意しましょう。
☆賞味期限と、消費期限を考えて購入・調理しましょう。
☆定期的に、冷蔵庫内等の食材を点検し、献立を工夫して無駄を省きましょう。
また、外食でも残さず食べる量を注文する等、一人一人の協力が、各店の生ごみ減量化につながります。◆リサイクルを促進するために
リサイクルを促進するために、次のような方策が取られています。
イ、リサイクル業者のうち、一定の要件を満たす業者を登録します。(登録再生利用事業者制度)
※食品関連業者は、登録リサイクル業者に業務委託ができます。
ロ、リサイクル計画の認定を行います。(再生利用事業計画の認定制度)
ハ、廃棄物処理法、肥料取締法等の特例が設けられています。
ニ、リサイクル業者や関係施設、食品関連事業者のうち、一定の要件を満たすものに税制等優遇措置が設けられています。
食品リサイクル法は、農林水産省を中心に、財務省、経済産業省、環境省、国土交通省、厚生労働省が協力していますが、上記以外にも省庁ごとに、指導・助言等を行っています。◆食品リサイクルに係る税制等優遇措置
下記のような優遇措置があります。
■国税
○再商品化設備等の特別償却(租税特別措置法第11条の7第1項及び第44集の9の第1項関係)
1.対象者/青色申告の個人又は法人
2.対象施設/生ごみ処理装置(発酵型)・食品循環資源肥料・飼料化設備(大型施設)
3.特例の内容/初年度に取得価格の25%の特別償却
4.適用期間/平成13年4月1日〜平成14年3月31日
■地方税
(1)廃棄物再生処理用施設に係る固定資産税等の課税標準の特例(地方税法附則第15条第22項関係)
1.対象者/食品循環資源再処理業(食品関連事業者、食品循環資源再生利用事業者)
2.対象施設/食品循環資源肥料・飼料化設備(大型施設)
3.特例の内容/課税の初年度から3年度に限リ3分の2に軽減
4.適用期間・平成13年4月1日〜平成14年3月31日
(2)資源の有効利用のための施設に係る事業所税の課税標準の特例(地方税法第701条の41第1項第4号及び第4号の2関係)
1.対象者/食品関連事業者及び再生利用事業者
2.対象施設/食品循環資源肥料・飼料化設備
3.特例の内容
◇食品関連事業者においては、資産割及び新増築について、当該事業所床面積又は新増築事業所面積から4分の3に相当する面積を控除
◇再生利用事業者においては、更に従業者割について、従業者給与総額から2分の1を控除
4.適用期間/なし
■融資制度
(1)対象企業/動植物性残さを再資源化する企業
(2)対象事業/動植物性残さを再資源化するために必要となる運搬、貯蔵、回収若しくは加工のための設備及びこれに付随する設備
(3)融資内容
○取扱機関:農林漁業金融公庫、日本政策投資銀行
○融資比率:40%以内
○金利:政策金利T(2.10%)[※法に定める基準以上の者及び登録又は認定を受けた者は政策金利Uを適用]
○償還期限:15年以内(据置3年)