理事長訪問 第1回 東京


東京都飲食業生活衛生同業組合
阿部新治郎理事長に聞く


自立、自助努力と和の精神で、日本最大の組織を束ねる。

―今、阿部理事長が最も力を入れて取り組まれていることは?
阿部理事長●法が改正され生衛業の振興という新しい形に挑まなければならないわけです。これをどのように組合に定着をさせるか、ということですね。
 長い間不況も続いていますから、組合員については東京だけでなく、よそも大きく減っているのではないかと思います。いろいろと財政危機の問題もありますし、大変な時代だと思っています。
―東京都と他県の組合との違いや、特徴はどんなところがありますか?

阿部理事長●やはり、首都東京の組合として、全国をリードできるような東京独自の体制で組合運営をしていきたいと。また、全国の皆さんに迷惑のかからないリーダーになっていかなければならないと思っているわけです。田中会長から副会長にご推薦いただいているわけですから、これを汚さないようにやらなきゃいけないなと思っています。
―東京都の組合は世帯が大きいですね。
阿部理事長●今、東京は120支部あります。1 万名を超える会員数を誇る、全飲連最大の組織なんです。とにかく、減少しないように新規開拓をして、同業者はみんな組合に入れるという形をとっていかなきゃいかんと思っているのですよ。
 振興事業はもちろんですが、やはり共済事業を基本として、これを絶やさずに組合員に喜ばれるような体制を維持していく努力をしています。そのために、組合員との意思疎通がキチンといくように、どんな小さい店でも企業でも受け入れてね、対応していこうという姿勢、これが必要なんだよ。
―これからの飲食業について何か、お考えをお持ちだと思いますが、お話いただけますか?
阿部理事長●今は、不況なんだから他力本願じゃいかん、ということなんだよね。自分の足元をしっかり見つめること。そして、不況だ不況だと、政治や環境が悪いんだと言っても仕方ないんだから、やっぱり自立をして、自助努力で開拓をしていかなければいかんというのが基本。誰も助けてくれないんだから。
―1万人を超える組合員さんを束ねていらしゃるわけですが、長く組合活動をしてこられた中で今まで一番心を砕いたことはどんなことですか?
阿部理事長●それはね、120もの支部があるわけですが、その各支部に溶け込み、それぞれの組合の意見をひとつずつ全部聞き、そしてそれらを一つに、輪を作れるような形を保つことが大事なことで、それを努めてやろうと思っているわけです。
―東京は広いし、組合によっては温度差もあるのでは?
阿部理事長●実際それはありますね。だから、すべての支部に組合の精神というものをきちんと理解してもらえるような、改革をしていかなければいかんと思ってる。だからなるべく足をこまめに運ぶように努力をしてる。可能な限りね。でもとにかく、支部の数が多いから、一日に四つも五つも駆け足しながら回ってるよ。でも、このことがすごく大事だと思っている。組合員と合う時間を大事にして、走りまわることが。これからもそういうことが続くでしょうね。
―毎日忙しく組合活動されていらっしゃいますが、理事長はご自身のご商売の方は携わっていらっしゃらないんですか?
阿部理事長●うちに行けばちゃんと、仕入れもするし仕込みもしますよ、やってますよ。やっぱり自分でも自主活動しないとね。業にある程度タッチをしながら、やらないと。
 でもあんまり売上ないから金もらえないんだよ。(笑)プロフィール
 阿部新治郎理事長は大正14年年生まれ。山形生まれの、水戸育ち。若いころから文学青年でもあり、師匠は菊地寛。
 蒲田で長く飲食業を営み、蒲田での組合活動を皮切りに、長く東京都の組合活動のリーダーとして活躍され、一昨年、東京都の理事長に就任。また、かつて日本でたったひとつ、組合で有線放送を独自で手掛ける。
 総会時期には一日にいくつもの支部総会が重なり、また年二回のブロック会議など、傘下の組織まわりだけでも多忙である。