新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(改正)に基づく 外食業の事業継続のための
ガイドライン
令和2年5月14日、政府による緊急事態宣言が39県で解除されたことを受け、事業継続のための「外食業の事業継続ガイドライン」を、日本フードサービス協会と全国生活衛生同業組合中央会が共同で策定しました。
このガイドラインは、お客様と従業員の安心・安全を確保するため、営業再開の指針として具体的な対応策を示したものです。なお、本ガイドラインは同日、専門家会議及び諮問会議に諮られ承認されました。国内各業種が事業継続のためのガイドラインを策定したことから、それぞれの業種ごとの自粛要請解除が同日、内閣総理大臣の会見で宣言されました。
1. はじめに
現場の実情に配慮して3密(密閉、密集、密接)を避け、手洗いなどの一般衛生管理の実施、人と人との間隔の確保等を通じて、お客様と外食業に働く従業員の安全・安心を確保するための参考となる具体的取組等を示したものです。本ガイドラインを活用し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大予防に向けた取組みを推進してください。2. 本格的事業再開に向けて
感染防止のポイントは、従来の食品衛生法の一般衛生管理の遵守に加えて、社会的距離確保への留意、及び物理的接触削減のための創意工夫ですが、これからの具体的な方法は、店舗の実情によってそれぞれ異なります。また、国及び地方自治体の最新情報を得るよう十分留意する必要があります。
・店舗では食品衛生法を遵守して食品の安全で衛生的な取扱いを徹底させる。
・創意工夫として、例えば、営業時間や提供メニュー品目の工夫、予約・空席状況等について、お客様へ店内外の提示やITテクノロジー等を積極的に活用して情報発信し、店舗が社会的距離や安全性を考慮して感染防止に努めながら営業していることをお客様にわかってもらう。
・国や地元自治体から適宜発表される最新情報(方針や助言)の確保に留意し、新型コロナウイルス感染症防止策として以下の基本事項を確実に押さえながら、事業を継続する。
・食品の安全と衛生管理
・店舗・施設等の清掃と消毒
・従業員の健康チェックと個人の健康・衛生管理の徹底
・社会的距離の設定と確保への工夫3. お客様の安全
⑴入店時
・店舗入口には、発熱や咳など異常が認められる場合は店内飲食をお断りさせていただく旨を提示する。また、店舗入口や手洗い場所には、手指消毒用に消毒液(消毒用アルコール等)を用意する。
・店舗入口及び店内に、食事中以外はマスクの着用をお願いする旨を提示する。
・飛沫感染・接触感染を防止するために十分な間隔をとることが重要であることをお客様に理解してもらい、店内が混み合う場合は入店を制限する。
・店内飲食やテイクアウトで順番待ちをする場合は、各人ができるだけ2m(最低1m)以上の間隔を空けるように誘導する(床に間隔を示すテープを貼るなど)。
・順番待ちが店外に及ぶ場合は、従業員が間隔を保つように誘導するか、または整理券の発行等により行列をつくらない方法を工夫する。⑵客席へのご案内
・テーブルは、飛沫感染予防のためのパーテーションで区切るか、できるだけ2m(最低1m)以上の間隔を空けて横並びで座れるように配置を工夫し、カウンター席は密着しないように適度なスペースを空ける。
・真正面の配置を避けるか、またはテーブル上に区切りのパーテーション(アクリル板等)を設けるなど工夫する。
・少人数の家族、介助者が同席する高齢者・乳幼児・障碍者等対面を希望する場合は、可能としてもよいが、他グループとの相席は避ける。
・グループ間の安全を確保するために、他のグループとはできるだけ2m(最低1m)以上の間隔を空け、会話は控えめにし、BGMを聞くことを勧めるなど検討する。⑶テーブルサービスと カウンターサービス
・テーブルサービスで注文を受けるときは、お客様側に立ち、可能な範囲で間隔を保つ。
・お客様が入れ替わる都度、テーブル・カウンターを消毒する。
・カウンターサービスは、可能な範囲で従業員とカウンター席との間隔を保つ。
・カウンターでは、お客様と従業員の会話の程度に応じ、従業員のマスク着用のほか、仕切りの設置などを工夫する。
・大皿は避けて、料理は個々に提供する。従業員が取り分けるなど工夫する。
・お客様同士のお酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けるよう、業態に応じ、掲示等により注意喚起する。
・個室を使用する場合は、十分な換気を行う。⑷会計処理
・食券を販売している店舗は、券売機を定期的に消毒する。
・会計処理に当たる場合は、可能であれば、電子マネー等の非接触型決済を導入する。現金、クレジットカード等の受け渡しが発生する場合には、手渡しで受け取らず、コイントレイ(キャッシュトレイ)などを使用する。また、コイントレイは定期的に消毒する、会計の都度手指を消毒するなど工夫する。
・飛沫を防止するために、レジとお客様の間にアクリル板等の仕切りを設置するなど工夫する。⑸テイクアウトサービス
・テイクアウトを実施している店舗では、お客様の店内滞留時間を短くするために、事前予約注文を受け付けるなどの仕組みを導入。
・テイクアウト客と店内飲食客の動線を区別し、接触を避けるように工夫する。
・食中毒等の防止のため、料理は早めに消費するよう、口頭もしくは注意書きを添えてお客様に注意を促す(特に気温の高い時期)。⑹デリバリーサービス
・デリバリー担当者の配達員と来店客が接触しないように、可能であればデリバリー専用カウンターを設け、両者の動線が重ならないように工夫する。
・料理の受け渡しは必ず手指を消毒してから行う。
・代金が支払い済み(オンライン決済等)で、注文者が希望する場合は、注文者が指定した所に料理を置くなど非接触の受け渡しを行う。
・配達員は、店舗従業員と同様の健康管理、手洗い等の衛生管理を実践し、マスクを着用する。
・配達する料理の容器は、配達員が直に触れないよう袋等に入れ、配達に使用する運搬ボックス等は使用の都度、消毒する。
・食中毒等の防止のため、料理は早めに消費するよう、口頭もしくは注意書きを添えてお客様に注意を促す(特に気温の高い時期)。4. 従業員の安全衛生管理
・食品を扱う者の健康管理と衛生管理を徹底する。
・従業員の健康管理において最も重要なことは、各自が店舗に新型コロナウイルスを持ち込まないことである。
・従業員は必ず出勤前に体温を計る。発熱や風邪の症状がみられる場合は、店舗責任者にその旨を報告し、勤務の可否等の判断を仰ぐ。
・感染した従業員、濃厚接触者と判断された従業員の就業は禁止する。
・店舗ではマスクやフェイスガードを適切に着用し、頻繁かつ適切な手洗いを徹底する。
・従業員やその家族が過度な心配や恐怖心を抱かないよう、また風評被害や誤解などを受けないよう、事業者は現状を的確に従業員に伝える(従業員へのリスク・コミュニケーション)。
・従業員のロッカールームや控室は換気し、空調設備は定期的に清掃する。5. 店舗の衛生管理
・店内(客席)は適切な換気設備の設置及び換気設備の点検を行い、徹底した換気を行う(窓・ドア等の定期的な開放、常時換気扇の使用など)。
・店内清掃を徹底し、店舗のドアノブ、券売機、セルフドリンクコーナー等の設備等、多数の人が触れる箇所は定期的にアルコール消毒薬、次亜塩素酸ナトリウムで清拭する。また、テーブル、イス、メニューブック、タッチパネル、卓上ベル等はお客様が入れ替わる都度、アルコール消毒薬、次亜塩素酸ナトリウム、台所用洗剤(界面活性剤)で清拭や用具の交換を行う。
・ビュッフェやサラダバー及びドリンクバーは、利用者の飛沫がかからないように食品・ドリンクを保護する(カバーを設置する、または従業員があらかじめ、またはその場で小分けする。客席と料理提供空間が近い場合には適度に仕切るアクリル板等の仕切りを設けるなど)。トング等は頻繁に消毒もしくは交換するか、または手袋の着用を促す。
・従業員は、店内の一箇所にお客様が集まらないように留意する。
・トイレは毎日清掃し、ドアやレバー等の不特定多数が触れる箇所は定期的にアルコール消毒薬、次亜塩素酸ナトリウムで清拭する。
・トイレのハンドドライヤーは使用を中止し、ペーパータオルを置く。また、汚物は蓋をして流すよう、使用者に注意を促す。
・厨房の調理設備・器具を台所洗剤(界面活性剤)で清拭し、作業前後の手洗いなど、従来から取り組んでいる一般的な衛生管理を徹底する。
・感染防止対策に必要な物資(消毒剤、不織布マスク、手袋、ペーパータオル、及びそれらの使い捨て用品を廃棄する容器等)の一覧表(リスト)を作成し、十分な量を準備しておくか、または緊急時にすぐに入手できるよう予め手配しておく。平時から使用した分をその都度補充し、常に一定の必要量を備蓄しておくことが望ましい(ローリングストック)。
・ユニフォームや衣服はこまめに洗濯する。
・食品残渣、鼻水、唾液などが付いた可能性のあるゴミ等の処理は、手袋・マスクを着用してビニール袋等に密封して縛り、マスクや手袋を着用して回収する。マスクや手袋を脱いだ後は、必ず手を洗う。
カウンターに透明の仕切りを設け、席の椅子の間隔も開けた例
Information ガイドライン運用にあたって 1.このガイドラインは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止・予防しつつ、店舗営業を再開・継続していくための「手引き」です。
2.ガイドラインの活用は強制ではありません。
3.このお店はガイドラインを取り入れているから安心」とお客様に思ってもらい、来店の機会を増やしてもらうことをめざしています。
4.座席の間隔を空けるのは「最低1m」という考え方は、専門家のお墨付きを得ています。
5.ガイドラインを活用していても、地元の衛生行政をクリアするとは限りません。都道府県等との連携や情報収集が必要です。