未曾有の危機に相次ぐ対応 いち早く「新型コロナウイルス感染症対策に
関する要望書(第一弾)」を提出
全国生活衛生同業組合中央会は16業種の構成団体の意見をまとめた要望書を作成し、令和2年3月3日付で自由民主党生活衛生議員連盟及び厚生労働省等に提出しました。
要望書では、生活衛生業界全体として、収益減少に伴う従業員の給料への影響や雇用調整が喫緊の問題となっており、営業継続への危機感が一層増大している窮状を踏まえ、緊急を要する救済対策への要望を具体的に示しました。
緊急を要する救済対策
1. 融資関係
日本政策金融公庫による特別貸付等の融資が拡充され、多くの事業主は助かっていますが、引き続き資金繰りの不安を早急に解消するため、次の点を改善・実施されたい。
⑴新規融資施策をはじめ融資による支援策の周知徹底、活用促進
⑵「無利子化」「利率低減措置」の貸付限度額を増額し、無利子化等の期間を延長
(無利子化限度額の枠内で既往貸付の無利子化、一元化を許容)
⑶既往債務の条件変更による利息・返済の猶予、条件変更先への支援
⑷自然災害被災事業主の既往債務との二重債務問題を解消
(東日本大震災の既往債務事業主は、苦慮するも新たな融資を躊躇)
⑸貸付審査事務の簡素・迅速化、丁寧な相談対応と指導が必要
(柔軟かつ丁寧な審査事務、融資進捗状況の客観的な監視〈貸し渋り防止〉が必要)
⑹民間金融機関の融資(既存融資を含む)について少なくとも新型コロナウイルス感染症終息まで返済猶予、金利を減免
⑺信用保証協会の保証料の減免、給付猶予2. 雇用調整助成金関係
助成の対象拡大等が図られましたが、雇用不安解消のため、速やかに次の点を改善・実施されたい。
⑴中小企業・小規模事業者の受給要件をさらに緩和し、助成率は地域を指定せず全て4/5に改善
⑵申請資料の簡素化、審査事務の迅速化(電子申請の導入等)
(申請資料の作成に苦慮し申請を断念する事例が報告されている)
⑶社会保険労務士等の申請代行事務費用に対する助成策3. 租税公課・公共料金関係
国税の納付猶予等が図られ、また、固定資産税、社会保険料、公共料金の納付猶予等も検討・要請中と報道されていますが、さらに次の点を改善・実施されたい。
⑴消費税の減免(免税点引上げ等)、納付猶予・遅延延滞金を免除
⑵キャンセルによる急激な減収、緊急の衛生管理に要した費用、社会保険労務士等による各種申請事務代行費用が増加するなか、収益確保のため、時限的な所得税及び法人税の減税措置が必要(雇用調整助成金等の緊急措置による助成金が課税対象となっている)
⑶固定資産税、事務所税を含む地方税の減免、納付猶予(延滞金免除)(固定資産税減免の効果を直接受けない事業主の家賃等への助成策も必要)
⑷入湯税、宿泊税の納付を猶予し、徴収後は生活衛生業復興に活用
⑸社会保険料、電気・水道料等の公共料金、NHK受信料等の減免、納付期間の延長(社会保険料の標準報酬月額の見直による納付額の調整が必要)4. 新たな助成金等制度の創設関係
学校臨時休業に伴う保護者である従業員への助成金と同様、個人事業(いわゆる一人親方事業)の事業主や妻等の休暇(休業)に対する助成金が必要。緊急小口資金及び総合支援資金(生活支援費)が設けられたが、貸付上限の引き上げ、据置、償還期限の延長が必要5. 衛生管理用品の確保関係
感染防止に必要な従業員用マスク、消毒用アルコール・殺菌薬等の入手が未だに困難な状況となっており、速やかな解消が必要事態収束後の復興等に向けた要望
1. 事態の収束に伴って、景気低迷の中で業界の復興、収益回復を図っていくための方策を検討し、準備・実施することが必要です。
⑴キャッシュレス(ポイント還元)事業の継続延長
⑵過去の災害等からの復興に際して実施された地域振興券、復興支援券のほか、ふるさと旅行券等を参考とした旅行需要を喚起する事業の実施、高速道路料金等の減免、公共交通機関の活用促進を支援
⑶東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた業界振興策の実施
⑷インバウンドの受入れ開始に向け、特に影響が少ない事業主向けに引き続き、キャッシュレス化、ICT化、多言語対応やバリアフリー化を推進
⑸中長期的には、観光産業の振興を図るためJNTO(日本政府観光局)のイニシアティブによるMICE(国際会議、展示会、イベント等)の誘致促進や、国内各地におけるDMO(観光地域づくり)を促進2. 生活衛生業をはじめ、中小企業・小規模事業者は大きな影響を受け、運転資金確保のため多くの事業者が融資を受ける状況となっており、今後長期にわたって負債を抱えつつ収益力の回復に取り組んでいくことになりますが、これら負債の解消には収益向上が必要であり、長期間を要します。このため、現在、国会に提出されている被用者保険適用拡大を実施する法律改正案については、このような我が国の状況と業界の事情を踏まえ、法改正案の適用基準の変更、実施時期については延期していただくよう強く要請します。
写真は3月3日(火)自由民主党 生活衛生議員連盟・観光産業振興議員連盟 合同幹部会で窮状を訴える森川会長(自民党本部)
自由民主党 生活衛生議員連盟・観光産業振興議員連盟 合同幹部会 新型コロナウイルス感染症対策
要望について意見交換令和2年3月3日(火)に自民党本部において、「自由民主党 生活衛生議員連盟・観光産業振興議員連盟合同幹部会」が開催されました。厚生労働省、観光庁、中小企業庁・経済産業省、日本政策金融公庫の代表者の他、宿泊・美容・興業・クリーニング・飲食等生活衛生同業組合連合会の各団体の代表者が出席。全飲連からは森川進会長と小城専務理事が出席しました。
会議は、伊吹生活衛生議員連盟会長と細田観光産業振興議員連盟会長のあいさつで始まり、新型コロナウイルス感染症対策に関わる要望書が、北原茂樹一般社団法人日本旅館協会長と森川進全国生活衛生同業組合中央会理事長より提出され、意見交換が行われました。
会議では、新年会や謝恩会、歓送迎会の季節の需要が皆無になった飲食店や学校給食納入事業者のほか、在宅勤務者増加によりランチタイムの売上げが半分以下に減少した飲食店、中華街を抱えている神奈川県や兵庫県等で中国人観光客のストップや日本人観光客の減少により、売上が激減した中華料理店。宿泊施設や飲食店、学校給食業者への食材販売が滞った食肉・食鳥肉販売業者、舞台や演劇場、映画館の休業で、会社の倒産も想定される興業業者。卒業や結婚式等イベントの中止、来店を控える傾向にある高齢者などで売上が減少している美容業界などからの窮状を訴える様々な声が届けられました。
浴場業については、レジオネラ等の衛生管理を徹底しており、かつ、高温・多湿であることから安全を周知してほしいといった声がありました。