防火マニュアル 増える飲食店火災を防ぐ
組合の加盟店は中小規模で、施設建物も木造が多く、出火のリスクが高いといわれています。特に焼肉の炎を原因とする火災が全国で多発。平成29年11月に名古屋で、12月に東京都渋谷区、特に4月に起きた群馬県渋川市の火災では、8名の死傷者が出る惨事になりました。これらの直接的な原因は、ダクト火災と指摘されています。焼肉の食材は脂が多く、焼くと炎が燃え上がり、この炎と煙がテーブルの上や下にある煙を吸い込むダクトに引火すると火災の原因になります。しかも、ダクト内で火災が発生しても、食事中のお客様や従業員は気づかず、通行人から「ダクトから火が出ている」と通報され、はじめて気がつくというケースが大半です。飲食店における防火意識の向上と、対策が求められています。
■飲食店の出火原因 ワースト3
1.食材を火にかけたまま、その場を離れる。忘れる……52%
2.揚げ物、調理器具の過熱による油に引火……13%
3.吹きこぼれなどにより、ガス等への引火……6%■火災を起こさないために
1.調理中は、こんろから離れない。うっかりミスを防ぐ
2.ダクトの油汚れの掃除はこまめに行う
3.たばこは灰皿のある場所で。吸い殻は必ず水につけてから捨てる
4.タコ足配線はしない。コンセントの掃除を心掛ける
5.建物の周囲の整理整頓を心掛ける
6.放火されやすい物を放置しない
■火災に備えて
1.消防用設備などの位置と使い方を確認しておく
2.消防用設備などの異常を発見したら、点検を依頼する
3.階段や廊下には物を置かない。避難出口は見えやすくしておく
4.防火戸や防火シャッターの作動の障害になる物を置かない
5.避難器具の操作の障害になる物を置かない
■火災が起きたら
1.大きな声で回りに知らせる
2.119番通報 所在、名称、階数、何が燃えているか、逃げ遅れた人の情報を落ち着いて、しっかりと通報する
3.防災センターへ連絡する
4.店内放送をする
5.複数の避難退路を把握しておき、炎や煙の状況から判断して安全な退路を選択する
6.エレベーターは使わない
■初期消火
1.近くの消火器を持って出火場所に向かう
2.消火器で消火できない時は消火栓を使う
3.火災が拡大している場合など危険を感じたら、無理をせずに避難する
4.粉末消火器の場合、火が消えた後も水をかけて完全に消す
5.消火栓による放水は過剰注水による水損に注意する
■備えよう店舗用防災機器
1.スプリンクラー
2.店舗用火災報知器
3.防災製品
4.消火器・小型消火器・スプレー型消火器
★防火管理者制度★
防火管理者とは、消防法で定められている防火管理の責任者であり、消防計画の作成や消防訓練の企画など防火対策を行なう役割を担います。
店舗の収容人数が30人未満であれば、防火管理者の設置は必要ありませんが、30人以上になると防火管理者が必要です。この収容人数には座席数だけでなくスタッフも含まれるため注意が必要です。