亀岡育男全飲連会長が逝去

幅広い見識とアイデア
行動力で業界を牽引

 
 令和3年6月26日、当連合会の亀岡会長(大阪府飲食業生活衛生同業組合理事長)が大阪府枚方市の病院にて、かねてより病気療養中のところ、薬石の効なく逝去されました。(享年71歳)
 葬儀等は親族会社関係者にて6月28日に執り行われ、お別れの会は改めて10月に開催の予定です。
 亀岡会長は昨年7月28日に行われた第58回通常総会で森川会長の後任として第12代全飲連会長に就任、その見識の広さと行動力は全国より大きな期待が寄せられており、内外より多くの惜しみの声が寄せられております。
 大阪府飲食組合理事長には後任に阿藤政己氏(現全国飲食業生活衛生同業組合連合会理事)が理事長代行として就任されました。
 亀岡会長のご冥福を心よりお祈りいたします。

 
 
 
 

全国飲食業生活衛生同業組合連合会における功績

 氏は平成22年5月に大阪府飲食業生活衛生同業組合理事長就任。併せて、全国飲食業生活衛生同業組合連合会理事に選任されるや総務委員を兼任しました。平成24年6月に副会長に推挙され、同時に近畿ブロック長を兼務。ブロック委員会議長を務め、ブロック内組合相互の連携、組合員相互の融和と団結、情報交換及び地域の食文化継承や観光振興に大きく寄与されました。
平成23年度より組合の必需性を記述した地方自治体へ毎年通知される厚生労働省生活衛生課長通知に鑑み、新規開業者への組合加入の促進や、組合員減少に歯止めをかけるため、平成25年度に発足された組織拡充対策委員会の委員として参画。連合会運営の基盤強化への的確な方策を提言しました。
 また、これまでに地域福祉事業への参画推進ガイドラインの策定や、食品リサイクル推進事業、衛生管理マニュアルの策定、受動喫煙防止対策事業、外食における原産地表示等、個々の組合員の営業実態に合わせた積極的な導入を実施できるよう配慮し全国的に推進しました。
 一方で、設備改善融資制度や生活衛生融資制度の改革に尽力。税制改正において、大企業への交際費課税損金算入が制度的に必要不可欠であると提唱。平成26年度改正により実現されたことも、氏の豊富な経営経験によります。
 平成12年6月に全国飲食業生活衛生同業組合連合会青年部会会長に就任すると、当時18都府県の参加を22組織にまで拡大しました。
 令和2年7月には前会長の勇退を受け、第12代同連合会会長に就任。同年2月国内に発生した新型コロナウイルス感染拡大に対し、全国の飲食店における感染症予防対策の陣頭指揮をとりました。
 同年5月に策定された「外食における感染症対策ガイドライン」に基づく店内及び従事者に対する対策の徹底を指示。生活衛生同業組合独自の感染症対策巡回指導事業では、チェックシートに基づき組合員が地域同業者の点検を確認し、適合店舗への独自の店頭表示を貼付する制度の普及に尽力しました。
 その後、新型コロナウイルスが世界的に蔓延する中、国内における緊急事態宣言の発令下では、飲食店の時短営業、休業要請に積極的に応じるよう全国組合員に呼びかけ、同時に政府及び自治体等に対し各種雇用調整助成金、家賃保証、持続化給付金制度、協力金等の創設を訴え、制度として確立させた功績は多大です。
 また、飲食店従事者からの新型コロナワクチンの早期接種が求められる中、「飲食店営業従事者が率先して接種の機会が付与され、飲食店利用者に対する一層の安心安全をアピールすることが、「今後のアフターコロナにおける飲食店営業の生産性向上に結びつく」といち早く職域接種制度の活用について、全国各地域における商工会議所や他団体等との連携を模索し高く評価されています。


大阪府飲食業生活衛生同業組合における功績

 氏は父が経営する飲食業の後継として、昭和45年に大学在学中に日本万国博覧会における飲食店の出店計画を実行、成功を果たし、飲食業界に第一歩を踏み出しました。飲食業界は高度成長期にあって過度の競争が目立ち始め、業界に対する消費者の動向も大きく変化すると、大阪の料飲業界では、新時代に対応するには若手二世経営者が、それにふさわしい力量と手腕を身に付ける必要があると考えられました。そこで氏は「大阪食堂研究会」(現、大阪府飲食業生活衛生同業組合食研支部)に加入し、飲食業界の健全な発展を目指して組織活動を開始。多年にわたり若手経営者との交流を活性化させ、調理技術の研鑽サービスの研究等を重ね、大阪府飲食業生活衛生同業組合理事、常務理事、副理事長を経て平成22年5月に理事長に就任。永きにわたり飲食業界の健全な発展をめざして尽力しました。
 一方、アウトサイダーの組合加入促進では、組合加入のメリットづくりが重要な要素を占めると判断し、物資の斡旋や共同購入の制度を提唱。飲食店で使用する材料、各種業務用機器などについて優れた商品を扱う商社を特約加盟商社として指定し、一括購入のうえ組合員に分売することにより組合員の仕入れ価格のコストダウンを図り、経営の改善に寄与しました。
 また、中小の飲食店の従業員雇用を助けるため失業保険対策の強化に目を向け、同保険の事務手続きの煩雑さを解消。「労働保険事務組合」への加入を促進するとともに、「大阪府食品国民健康保険組合」への加入も呼びかけ、疾病時の完全な医療の確保を図ることで、組合員ならびに従業員の安定した就業と生活の確保に努めました。
 平成10年副理事長に就任し、業界の衛生水準の向上に積極的に取り組みました。各支部長と連携のもと衛生水準が低下した店舗については、その改善を図るべく指導し、設備投資における経済負担を軽減するため国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)との連携のもと、融資の適正な活用により、食品衛生対策の強化に尽力。
 また、大手外食産業やチェーン店の進出が零細店の多い組合において大きな問題になると、若手組合員を指導養成することが、今後の組合発展に重要であるとの考えから、組合内に青年部結成準備委員会を設置するとともに委員長として青年部の設立に尽力。結成後は食研支部と連動して月例会を開催し、今後の組合のあり方や飲食業界の将来展望について研修会を開催し、次代を担う人材の育成に努めました。
 O―157や牛海綿状脳症(BSE)、鳥インフルエンザ、ノロウイルス等、食の安全を脅かす疾病に対し、飲食店での事故の発生を防止し、安心安全な食品の提供に努めるため研修会を開催、利用者の信頼拡大に大きく貢献。さらに飲酒運転による人身事故の発生に対し、自動車運転者に対する酒類の提供を自粛するべく警察当局講師による講演会を開催し協力を呼びかけました。
 令和2年2月国内に発生した新型コロナウイルス感染症対策について、中小飲食店でも実行可能な方策を自身の経験等から考察し、府下飲食店における感染症予防対策の陣頭指揮をとりました。


一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会における功績

 令和2年9月に理事に就任し、短い期間ではありましたが中央会の各種事業の企画、立案に参画しました。
 理事長をはじめ、中央会を構成する16業種の全国生活衛生同業組合連合会の信望も厚く、優れた統率力、企画力、行動力を発揮して生衛業界の衛生水準の維持向上はもとより、組合組織の育成強化及び事業の振興、生活衛生関係営業に係る予算の確保、日本政策金融公庫における生活衛生融資制度の拡充など、小規模事業者が中心の生衛業界の各種政策要望の実現に尽力しました。
 さらに、消費税の軽減税率対策、受動喫煙防止対策、食品表示など食の安全・安心対策、後継者育成対策、ハサップ(HACCP)を取り入れた新たな衛生管理、新型コロナウイルス対策など、生衛業界が直面する様々な問題について、常にその解決に向けて中心的役割を果たし、生衛業の社会的地位の向上と業界振興のために諸施策の拡充に全力をあげて奮闘しました。
 中でも、新型コロナウイルス感染症のまん延に伴う生衛業の窮状に関する意見・要望等を取りまとめ、政府及び与野党等に対して実現のための要望・折衝活動を積極的に行いました。一方で、新型コロナ禍により売上減少となった営業者を支援するための国による「一時支援金」について、Webによる申請等のサポートを行うため、全国指導センターと日本行政書士会連合会の連携による事業に、中央会として組合員への周知・勧誘、及び申し込み受け付け等において積極的に取り組みました。

 

■亀岡 育男(かめおか・いくお)
 昭和25年1月2日、大阪府枚方市楠葉花園町生まれ。昭和47年3月大阪学院大学商学部卒業。昭和46年7月~令和2年10月に株式会社初亀の代表取締役社長。令和2年11月~3月6月、株式会社初亀の取締役会長。平成22年5月~令和3年6月、大阪府飲食業生活衛生同業組合理事長、全国生活衛生同業組合連合会総務委員。平成24年6月~令和2年6月、全国飲食業生活衛生同業組合連合会副会長。令和2年6月~令和3年6月、全国飲食業生活衛生同業組合連合会会長。令和2年9月~3年6月に一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会理事等、様々な要職を歴任。

受賞歴
平成18年10月 社団法人全国生活衛生同業組合中央会理事長表彰(生活衛生功労)
平成20年 5月 大阪府知事表彰(生活衛生功労)
平成22年10月 厚生労働大臣表彰(生活衛生功労)
平成26年11月 藍綬褒章(生活衛生功労)